コーヒーメーカーの話も、折り返して後半。
エスプレッソマシンのお話です。
まずは、コーヒーメーカーのポジショニングから。
マゼンダの部分ですね。
カフェポッドの部分が薄いマゼンダが入っているのは、一部兼用機となるからです。
さてさて16世紀にヨーロッパに伝わり、広く飲まれるなったコーヒー。
しかし豆は生鮮食料品。不作だと値がはる上に、手に入らない。
そんな時、加圧することによりコーヒーの成分を残らず出してやろう。そうすると豆が少なくても美味いコーヒーが飲めるはずと、考えた人がいました。
エスプレッソができた瞬間です。
1901年にイタリアでエスプレッソマシンコーヒーメーカーではなく、エスプレッソマシンという。こちらの方がカッコイイ!が開発され、1906年ミラノ万博万国博覧会。国際博覧会条約に基づいて行われる複数の国が参加する博覧会。大阪万博のインパクトは大きく、未だに影響を受けている者多数。でお披露目、大流行。ヨーロッパに普及したのであります。
■美味しいエスプレッソにまつわる数値
エスプレッソは専用マシンが必要なだけあって、抽出気圧:9気圧、抽出温度:90℃、抽出時間:20秒、抽出量:30cc、飲用温度:67℃が美味しいと明確に数値化されています。
更に言えば、これを実現するのは、豆は焙煎度:6. フルシティ〜7. フレンチ・ロースト、極細挽き、6.5〜7g/杯であることが必要です。
機械が専用である上にこれだけデータがあるので、常に美味く淹れられるかと言えば、そうではありません。
中でも重要な、コーヒー豆の鮮度・温湿度に状態に応じた最適な挽き方、正確な重さ(0.1g単位!)と詰め方の均一さが甘いと味はすぐ変わってしまいます。
エスプレッソの基本は極細挽きなので、湿度の影響を特に受けやすく、繊細な感覚と経験による挽き方の微調整は特に重要です。
そんな訳で、バールイタリアでコーヒーや軽食を提供する店。かなり気軽な店。でエスプレッソをいれる人はバリスタバールで働く人の意味。地位が高い職人である。趣味の喫茶店オーナーとはかなり違う。と呼ばれ、一目置かれます。
■何はなくてもグラインダー
こんな感じなので、豆からエスプレッソを抽出しようと思っている人には、微調整の効く高性能なグラインダーを買うことをお勧めします。(ただし全自動エスプレッソ・マシンには予めグラインダーが付いているので不要。)
マシンの抽出能力の差は少ないので、こちらに金をつぎ込んだ方が良いという人もいる程です。
⇒グラインダーの詳しい情報は、下記の「■シリーズ 自分に合ったコーヒーメーカーを探そう!」
03 デロンギ コーン式コーヒーグラインダー KG364G よりご覧頂けます。
■エスプレッソマシンができること
実はエスプレッソマシンがするのは、下図マゼンダで色付けされた部分。他の部分は基本的にユーザーがすべきことです。
抽出しかできないエスプレッソマシンでも、ドリップ型のコーヒーメーカーより高額なのは「加圧能力」を持っているからです。
■エスプレッソ機の差はどこででるのか?
実は、全自動というのは、ユーザーがする部分(黄色)をマシンがしてくれます。また、全自動でないにせよマシンは高くなるにつれ、何かしら機能が追加されています。
1)暖め機能 飲用温度:67℃にするためには、暖められたカップが必須。
2)グラインダー 挽きの正確さは味の命綱です。
3)タンピング 均一にコーヒー粉を詰めることが肝心。均一にすればよい
だけだが、これが中々難しい。
4)ミルクスチーム
ミルクをスチームで暖めスチームミルク
を作ることと、泡立たせフォームミルク
を作ること。これもテクが要る。
5)クリーニング
機械であるためメンテが必要。特にミルク
関係の部分は、ほったらかしにしておく
と、すぐ臭くなる。
最後はデザイン。伝統的、プロ的、近未来的、など違いはあっても洗練されたデザインが、エスプレッソ・マシンの魅力の1つ。
さすがイタリアで開発された技術! デザインに手抜きなし!
大いに心引かれるものがあります。
■買って使いこなせるのか?
コーヒーメーカー、特にエスプレッソマシンが、他の家電と違うのはここです。
使いこなせないと、まずいエスプレッソを「堪能」し続けることになります。
そう言う意味では、オーディオ機器に近い家電です。 音は誰でも出せるが、イイ音で聴こうとすれば、理にかなったセッティングをしなければならない。
つまり使いこなすことが必要です。
使いこなすためへの筆者のお勧めは、購入前にエスプレッソ・メーカーとか、カフェで行われているコーヒーセミナーを利用することです。
3000〜5000円/回の費用が掛かりますが、丁寧にポイントを教えてくれる上、実際に操作することもさせてくれます。
時間を考えるとコストパフォーマンスも良く、さらに時々お土産が出るのも嬉しいです。
最後に近くなって言うので怒られそうだが、割と多くのエスプレッソマシンで、カフェポッドが使えます。この場合、抽出は「極めて」イージーになります。
■全自動はお勧めなのか?
金銭的余裕があるなら候補の1つ。あとは主義と趣味。
洗練された仕草で、マニュアルのエスプレッソマシンを操作しているのは本当に格好良く、女性も心引かれるはず。
特にラテ・アートまでこなすと・・・♡。
なので、コーヒーは趣味のうちである筆者としては、全自動は目と手が効かなくなった後と思っていましたが、実際使ってみるとイイです。 エスプレッソは「急行」というのは何度か書きましたが、エスプレッソの特長の1つに量が30ccと言うことがあります。つまり一口で飲めるわけです。
つまり、さっと出して、さっと飲む。
生活のアクセントの様なものですね。
これが可能になります! かなりイイです。
ただし、全自動を扱うにもコーヒー豆の扱いも含め、コーヒーの知識は必要です。
⇒全自動エスプレッソマシンのレポートはここへ
デロンギ、コンパクト全自動エスプレッソマシン マグニフィカS ECAM23120B
■ドリップと、抽出方法、味以外で大きく違うところは?
1)必ず砂糖は入れる。
ドリップはブラックで飲む人も多いともうが、イタリアでブラックを飲む人は、
まずいません。30ccのエスプレッソに大さじ2杯とか入れる人もいる位です。
2)ストレートで飲まない。 エスプレッソの豆は、アラビカ種、ロブスタ種のブレンド比で示されます。もちろ
ん、アラビカ種:100%もあるが、いろいろな産地の豆をブレンドします。内容は
企業秘密だが、3種類とかでなく、10種に近いそうです。こうなるとある国で
豆が不作でも、全体の味を壊さずに済む。
混ぜ合わせて作るシャンパンと同じである。(正規の作り方です。)
尚、単一種の豆だけで、エスプレッソを作ると味が単純過ぎで、コクが感じられ
ないといいます。ドリップとエスプレッソはこうも違うのです。
■シアトル系エスプレッソ 〜コーヒーは文化差を表す〜
1990年後半以降、世界でエスプレッソばやりなのは、スターバックス・コーヒーの力が大きい。
エスプレッソと言いますが、これがイタリア系とかなり違うシロモノ。
一番違うのは「量」。
アメリカでは量は必要ですから。
このため かなり濃いエスプレッソ、具体的に言えば、焙煎をギリギリ(8.イタリアンより深い)まで深くした濃いエスプレッソにミルクを大量に入れます。これが、主力商品の「ラテ」です。
食事は量が必要とする典型的な「アメリカ文化」。それが世界中で飲まれ、ある種の基準となり、世界のコーヒー全体が濃い味になったとも言えます。
嗜好品の世界は、これほどにも曖昧な世界でもあります。
(決してアメリカの悪口を言っている訳ではありません。)
皆さんも自分の舌にあったコーヒーを見つけてください。
商品のより詳しい情報は、デロンギのホームページにてご確認ください。
http://www.delonghi.co.jp
■シリーズ 自分に合ったコーヒーメーカーを探そう!
01 初めに、あるいはコーヒーの基礎知識
02 コーヒー豆/粉より抽出するドリップ式コーヒーメーカー
03 デロンギ コーン式グラインダー KG364G
04 カフェポッド、コーヒーカプセル、ネスカフェ用コーヒーメーカー
05 エスプレッソマシン(本編)
06 コーヒーカプセル用エスプレッソマシン
07 ミルク四方山話