賛否両論入り乱れますが、東京で2月の国際イベント「東京マラソン2015」が行われました。
折しも、ISIL(アイシル)を筆頭とするテロの問題もあり、国際線航空機と同様の警備。
さらには、CA(キャビンアテンダント)の代わりでしょうか、ランニングポリスも登場しました。
このランニングポリスの秘密兵器が、ポリスと同目線の小型4Kカメラ。
このカメラの映像を、センターに飛ばし、複数の眼で監視しようというものです。
えっ、このカメラ知ってるですって。
そうですよね。市販品ですから。
しかも、秋葉原のマニアック店で売っているモノではありません。
メジャーもメジャー、映像の老舗、パナソニックのウェアラブルカメラ「HX-A500」ですから。
■アクションカメラとウェアラブルカメラ
ムービーというカテゴリーがあります。
この分野、8mmフィルムの時代から、日本の十八番。
高性能レンズと高感度フィルムの組み合わせですからね。
それを、軽・小・短・薄でより使い易くするのが、開発方向ですからね。
フィルム時代は、米国のコダック、欧州のアグファなど、海外にも優秀なフィルムメーカーがありましたが、小型化、低価格化に伴い、メディアが磁気テープ化されますと、もう日本メーカーの独壇場。
ソニーの8mm 対 パナソニック&JVCのVHS-C とメディア規格の勝負も含め、大立ち回りです。
こんな時、技術は飛躍的に伸びますね。
肩に乗せて取るモノから、ハンディ、パスポートサイズへ。
小型化が進みます。
ただし、2000年以降、足踏みとなります。
いろいろな理由がありますが、一番大きな理由は、そんなにムービーで残しておきたい対象がなかったことでしょうね。
作品対象の基本は、子供と旅行です。
ようするに子供がある程度大きくなると、ムービーの第一期は「卒業」。
定年以降の第二期を待つわけです。
写真とは違うわけです。
現在、ムービーには、これ以外にもう一つのカテゴリーがあります。
「アクションカメラ」ですね。
ムービーというのは精密機器ですから、アクションには向きません。
このため、映画的な映像を撮るのは大変です。
ところが、その撮れないとされたアクションを撮るカメラを出したのが、「ゴープロ」ですね。
何故、ムービー先進国、日本から発売はないのでしょうか?
理由は、「画質」です。
日本は、はっきり見えることにこだわります。
写真でもくっきり見えることを重要視します。
アクションカメラが重視するのは、「その時」です。
その時にしか撮れない画を、とにかく撮るわけです。
雰囲気と言い換えてもてもいいです。
「画質」より「雰囲気」です。
日本メーカーの信条の1つは「画質」です。
TVがそうですね。
アナログ放送からデジタル放送に移行する時に用いられたのが、ハイビジョン画質です。
アナログより遙かに高精細です。
しかし、その日本でさえ、ギリギリになるまで地デジTVは買わなかった。
つまり画質は積極購入点ではなかったわけです。
動画投稿サイトのYouTubeを見るとよくわかります。
アクセス数が多いお薦め動画の中には、汚い画質のモノが多くあります。
でも、面白ければアクセス数が増えるのです。
TVでいえば視聴率です。
TVはエンターテイメントですからね。
面白くなければ、誰もTVで時間を潰そうとは思いません。
今の視聴率低下は当たり前で、TVより面白いモノがネット上にいろいろとありますからね。
■日本人が作った、日本人のための、アクションカメラ
それでも、日本は「画質」にこだわっている。
私はそう思いますね。
そうでないと、既成路線とはいえ、「4K(ハイビジョンの2倍の高精細)」だけを打ち出すことはしなかったでしょう。
私はここに日本の技術の確かさと、マーケティングの愚かしさを感じます。
さて、パナソニック ウェアラブルカメラ HX-A500です。
パナソニックは、これをわざわざアクションカメラでなく、ウェアラブルカメラと呼んでいます。
多分、「目で見た通りが撮れるんだぞ。
初期のアクションカメラのように、ボヤッとした画じゃないんだぞ。」
という気持ちで付けたと思いますが、
見た目は、かなりカッコイイ。
ヘルメットにゴープロを付けた姿は、ちょっと人に見せたくないですが、これは「見せてもいいかな。」と思いますね。
SF映画などでの科学班が所持している最新機器のよう。
構成は、レンズ部が顔横、つまり眼と同じ動きをして、そこからワイヤーで腕に装着した本体に信号を送るようになっています。
本体部には小さいながらも液晶モニターが装着されています。
正直、ウェアラブルというには少し大きいかなと思いますが、それをカバーしているのが先ほど述べたデザインですね。
装着は2種類。
激しく動かない時は、額の所を開いたセッティング。
激しく動く時は、額の所にゴムを付けたセッティングで対応します。
付けてみると、額の所を開いたセッティングがかなり追い込んであり、割といい塩梅です。
で、画を見て見るとかなり揺れています。
巨大ロボットの頭部に乗り、操縦するのは、永井豪の「マジンガーZ」から始まり、「機動戦士ガンダム」では、モビルスーツのコックピット、すなわち腹部に搭乗します。
しかし実際は2足ロボットですから、激しく揺れるわけで、こんな画になりません。
それを指摘したのが、「新世紀エヴァンゲリオン」と浦沢直樹原作の「20世紀少年」。
エヴァは首の付け根にエントリープラグ挿入、そこから操縦しますが、エントリープラグはL.C.L.という羊水に似た液体に満ちています。
分かりやすくいうと、お腹の中の赤ちゃんです。
「20世紀少年」では、明確に「2足歩行はできない」と言い切っていました。
2足歩行でないのにも関わらず、巨大ロボットのコックピットは大揺れに描かれていました。
その意味では、人間も変わりません。
大いに揺れるわけです。
しかし、それを認識するのは、脳ですからね。
脳が揺れていないと認識するなら、本当は揺れていても、なんら問題ないわけです。
と書きましたが、まずは画をご覧ください。
長さは17分15秒ですが、頭1分ご覧頂ければ、どんなモノかがわかります。
画質は、当日の録画時間を考慮して、2K(ハイビジョン画質)、30fpsfpsはフレーム/秒のこと。1秒間に30コマは、映画の標準規格でもあるで録画してあります。
階段から降りる時の、状況ってかなりきわどいですよね。
これを見ると、映画、TVの映像表現が、洗練されていることがわかります。
それが味わえるようにホームムービーが洗練されてきたとしたら、確かに違うと言う気がわからないでもないです。
と書きましたが、HX-A500も悪くありません。
まず、アクションカメラとは思えない位、画質がキレイです。
なんせ、最大:4K、30fpsfpsはフレーム/秒のこと。1秒間に30コマは、映画の標準規格でもある。
キレイな画が、カクカクせずに撮れます。
ランニングポリスにHX-A500を持たせたのは、この画質が理由でしょうね。
画質がイイと、人だけでなく、PCでの照合もできるはずですからね。
ほぼオートなので、自分で思った画が撮れるわけではありません。
撮れる画は、自分が見た画なのです。
ここが普通のムービーと違うところです。
泣き所は、いろいろあります。
全て、極端な小型化が原因です。
一番難点は暗いところに弱いことです。
レンズが小さいため光量を集めにくいためです。
ムービーの特徴は暗いところでも画を撮ることができるでしたが、変わるモノですね。
更に付け加えますと、常時モニタリングはしません(モニタリングすると、目線=画ですので、モニターしか映りません)ので、ここ一番でキレイに撮れているのかがわかりません。
バンドのズレにより角度も狂うことがありますし、光量とタイミングによってはアウトな画像になるかも知れません。
この日、結局、2時間30分ほど録画し、BGMのラプソディ・イン・ブルーに合わせ、17分15秒を抽出した画を作りました。
ここ一番の画は、どうしてもプアなので、デジカメ写真を差し込みました。
HX-A500だけで、魅せる画を作るのは厳しいですが、他のメディアと上手く重ねると、個人的には割と見られるものだなぁと思います。
逆にいえば、悪いところが、その程度だと思ってもらえれば合っていると思います。
■お勧めは、デジカメとの併用
今、デジカメには、ムービー機能が付いており、かなり使えます。
そのサポートとしてHX-A500をヘッドに付け、撮りたいところでサッサと録画するなら、かなりイイと思います。
あくまでも流し録りであり、その中のイイ画をピックアップするわけです。
画質はかなりキレイですから、上手くハマると使い道は山ほどあると思います。
流し撮りといっても、チャンスをモノにしているわけですからね。
ポイント高い画もいろいろあります。
価格も、実売3.5万円程度ですから、懐もそんなに痛みません。
更に、スマホとの連携はピカイチで、映像再生、映像の即配信も可能です。
(うーん、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」なんて、即録画できそう。)
アイディア出した分だけ遊べるって感じでしょうね。
ここは「子ども」「旅行」に限られていた時と、かなり違います。
むしろ、育児をしながらも、ビデオ撮影できるので、普段ではより面白いかも知れません。
一度手に取って見てください。
楽しめますよ。
商品のより詳しい情報は、パナソニックのホームページにてご確認ください。
http://panasonic.jp/wearable/