コンセプト発表の意図
三菱のスマートホーム・コンセプト説明会にて
2月13日、三菱のスマートホーム・コンセプトの説明会がありました。
コンセプトの説明会は、極めて珍しいのです。
今、なぜコンセプト説明なのでしょうか?
■デザイン研究所のメッセージ
今回の説明は、デザイン研究所長 杉浦氏の説明で始まりました。
冒頭、デザイン研究所の理念の説明からされました。
理念は、ごくごく当たり前ですよね。
そして、実際の仕事と、製品をどうやって作るのか?
で、今、注目しているのは、「ユーザー エクスペリエンス デザイン」だそうです。
ちょっと余談をします。
日本で一番遅れているのは、実学の体系化でしょうね。
一番良い例が「企画」。
大学で片鱗も教えてくれません。
が、商品企画も基本ルールと、手法があるのです。
海外では割と流布していますようですが・・・。
そのためか、この手の話をする時、やたら横文字が出てきます。
その上、意味が違うことも多い。
余り横文字を使わないでと言いたいのです。
この「エクスペリエンス」もそうでしょうね。
「経験」のことです。
余談、終わり。
「ユーザー エクスペリエンス デザイン」とは、ユーザーが製品やサービスを通じて楽しい、心地よい『体験』を得られるよう、ユーザーの感情や行動・態度を考えてデザインとしています。
これが「三菱電機スマートホーム」のコンセプトだそうです。
■HEMSホーム・エネルギー・マネージメント・システムが基本
このコンセプトは、家族の「ココロとカラダ」の状態変化に着目し、現状のHEMSを用いたスマートハウス家電や住宅設備をITで接続し最適に制御することにより、エネルギーの見えるかを実現に、「心理的なストレスを感じない快適で気持ちのいい生活」という新しい価値を加えたモノだそうです。
でも、気持ちのいい生活をしようと愛する人と作るのが家庭ですからね。
これって制約の少ない新婚さんに尋ねたら、同じ答えが返って来そうです。
このコンセプトに従い、立てられたのが下の概要です。
初めの三品ということだそうです。
では実際に作ってありました、モデルをチェックしてみましょう?
まずは玄関です。
①家族が見える ドアが家族の体調を管理 です。
実は玄関で一番感心したのは、扉のデザイン自体です。
家族を認めると、壁から取っ手がでてきて、扉になる。
実際これでは、急いでいるときどうしようもないですから、まだまだですが面白い。
デザインの妙です。
でも、パパの帰る時間と状況には、ちょっと「?」。
帰る時間は、1時間位誤差があるとしても、大体同じですし、飲む時にはメールで連絡します。
疲れているなら、書き添えます。
年頃の娘なら、情報が出ること自体NGの可能性もあります。
反抗期もあるわけですし・・・。
次は、「②おいしさが見える。
冷蔵庫が献立を提案」ですね。
主婦で一番面倒臭いのは、献立を決めることといいます。
いまある材料、料理に使える時間、そして予算。
さらにここ一週間の献立、家族の好き嫌い、健康、等々を考慮しなければならないからです。
HEMSでかなりの情報があるので、手助けというわけです。
しかし、どこまで有用なレシピが出てくるのかは未知数です。
悪いとは思わないですが、余りイイとも感じられませんでした。
ちなみに、液晶を扉に組み込んだ冷蔵庫は、三菱が初めてではありません。
最後は、③つくりたいが見える。
キッチンカウンターが手順に合わせて調理をサポートです。
子供にも手伝ってもらいやすい。
ま、これはわかりやすいですね。
またシステムキッチンのIHヒーターは自在に動きます。
こちらは、超便利です。
しかし、料理で一番重要なのは、カスタマイズだと思っています。
基本レシピがあった時、それを自分の好みにアレンジするわけです。
常に基本レシピではないです。
要するに、料理サービスは、いろいろとユーザーが手を加えられることが重要だと思います。
■私見
「思うこと」のコーナー「“HEMS” ビジネスは、誰が主役なのか? ENEX/SEJ/新電力EXPO展示会から」でも書きましたが、現在のHEMSは普及のために新しいサービスを求めています。
経産省は「皆で考えましょう。」というほどです。
HEMSはインフラ設備ですから、基本どのメーカーが作っても大きな差はでません。
つまり新しいサービス、仕様で、差別化しなければならないのです。
メーカーは、このような時マーケティング・リサーチを行います。
が、多くの場合、見たことがないものに対しては、このようなリサーチは余り有効な手ではないです。
コンセプトから、イメージを膨らませてくれるユーザーは、そうはいませんので。
このため、完全に煮詰められていない時点で、コンセプト発表をおこなったのではと思います。
海外では、この様な新しいモノが勃興する時、起業家が多くでます。
が、日本はいろいろな意味で起業しにくい。
その代わり、老舗が頑張ってきました。
よく日本は、創業600年とか、400年とかあります。
このような老舗は、何度も歴史的な転換危機がありました。
それを乗り越えてきた。
つまり、その時々に合わせ、自分を時代に融合させて来たわけです。
今回の三菱の発表は、新しい時代と手法を何とか掴もうとしている姿に見えました。
詳しい情報は、三菱のホームページにてご確認ください。
http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2015/0213.html?cid=rss
■関連記事
思うこと「“HEMS” ビジネスは、誰が主役なのか?ENEX / SEJ / 新電力EXPO展示会から」
2015年2月14日