「サイズ」と「着け心地」が最重要!
ウェアラブルEXPO雑感
ウェアラブルデバイスの展示会、ウェアラブルEXPOが盛況の内に終わりました。
眼鏡型なども多数出展され、これからはこうなるのかと思った人も多いと思います。
1年以上、手首に「24時間活動量計」を身につけて着た私は、かなり別の感想を持ちました。
■「ドラゴンボール」の「スカウター」
鳥山明の代表作「ドラゴンボール」。
その中に、ウェアラブル機器として、「スカウター」が出てきます。
片眼鏡の形態。
表示される情報は、敵の戦闘能力と、敵の位置。
地図も示されるのですが、ドラゴンボールに出てくる多くのメンバーは、飛行できますので、地図は簡略型です。
さすがの人気漫画ですから、「スカウター欲しい!」と思った人も大勢いたでしょう。
しかし、このスカウター、種類はスゴく多いことはご存じでしょうか?
当然ですよね。
全員、ヒューマノイド形の体系が基本とはいうものの、耳の位置など違っていますので、他人のスカウターを装着することはできません。
更に鳥山明は、「格闘しても問題ないスカウターは、どのように取り付けいるのですか?」という質問に、「分かりません。宇宙の技術ですからね。」と答えられたそうです。
■古田敦也のメガネ
2015年1月、メガネ捕手 古田敦也が野球殿堂入りしました。
古田氏が掛けているのは、アイメトリックス。
セミオーダーの眼鏡です。
眼鏡は、レンズが重いので、鼻の脂も手伝い、使っている内に前にずれて行きます。
アイメトリックスは、それを最小限に抑えるようにできています。
レンズはなるべく軽量。フレームも軽量。大きな耳掛け。
何よりも、個人個人の顔かたちに合わせたフィッティング。
キャッチャーマスクを、何度も着けたり脱いだりしなければならない過酷な環境に柔軟に対処できる。
もちろん頭のいい古田氏ですから、いろいろな対応策を駆使されたと思いますが、メガネ使用負担が成果に直結します。
■3D映画用眼鏡
現在の3D映画は、光学偏差を利用するため、専用眼鏡が必要です。
ただ、方式が映画館により違うので、その映画館が指定した眼鏡を掛ける必要があります。
眼鏡を掛けている人でも使えるように、ブカブカのオーバー眼鏡サイズ。
とてもじゃないですが、フィットには程遠い。
これが使えるのは、映画が暗闇の中、基本的に頭を動かさずに観るのが原則だからでしょうね。
そうでない場合は、外れたりしてクレームのオン・パレードでしょう。
逆に言えば、その様な特殊状態だからこそ、大きめサイズの眼鏡で対応してこられたともいえます。
■絶滅しないガラゲー
日本のケータイユーザーの内、ガラゲー半分、スマホ半分のシェアだそうです。
ガラゲーは、ガラパゴス携帯(電話)の略です。
日本で独自の進化をした携帯、海外機器とは違うという揶揄を込めてのネーミングですね。
じきにグローバルスタンダード品に飲み込まれ、絶滅してしまう・・・。
という意味も含まれています。
ところが、この春、シャープがさらに進化させた携帯、Kシリーズを出します。
市場があると踏んだわけです。
新製品発表会で久しぶりに持って見ると、まさに手頃なサイズですね。
電話、メール、ネットの順に使いやすい。
始終ネットをしていると画面は大きくですが、余りしないとなると俄然このサイズがイイですね。
手にしっくりくる。
iPhoneも、ジョブスが亡くなってから肥大しつつあります。
ジョブスは、「iPhoneは片手で使えること」と規定していましたが、・・・。
マーケット調査を繰り返し、その通りに作ると、かなりの確率で「イイ商品は出ません。」
商品の骨格が明確でなくなるのです。
特にサイズ、大きさは重要です。
ガラゲーが生き延びた最大の理由は、この携帯し易いサイズではないでしょうか?
■さてウェラブル・ギアの条件は・・・
アクションカメラを頭に取り付け、撮影してみれば直ぐ分かりますが、頭は自分が思っている以上に揺れています。
歩いていると、基本かなり大きめの対象物でないと読めません。
スホマを見ながら歩くと危ないのは、それが原因です。
読めないので、かなり立ち止まり動作が多くなるわけです。
つまり、普通の歩行をしている人の動きからは、浮いてしまうわけです。
で、「ドスン」「アタタタ・・・・っ」てことになります。
これは、「ドラゴンボール」に示される通りです。
スカウターは格闘時も使いますので、示されるのは大まかな情報です。
次に、普段使いだと、古田氏の眼鏡の通り、気にしないで行動できるフィット感が要求されます。
ただし、3D映画の例でわかるように、特定の条件下で、異なることがわかります。
つまり眼鏡型のウェアラブル・ギアは、何よりも先ず、相当なフィット感がないとダメということです。
■フィット感を出すには・・・
今回のウェアラブルの展示会では、相当数掛けてみました。
業務用は椅子に座り、頭をほとんど動かさず使うのが前提でした。
内容は「マニュアル」が多いですね。
頭を動かさないのが、前提ですからね。
民生用は、フィット感が足りないように感じています。
展示会では、装着時大きな動きをしません(というより会場が狭い上、人が多くてできない)ので、「これはスゴい」というようにいわれますが、実際使って見ると厳しいと思います。
フィット感を出すには、限りない軽量化と、人の顔への合わせ込み作業です。
大会社でも、右から左へ作れません。
昔、ソニーにお邪魔した時、大量の耳形を見せてもらったことがあります。
インナーヘッドフォンのためですね。
この部分はまだデジタル化できていません。
一人一人違いますし・・・。
また、出てくるデーターも、本当に行動時に必要なのと思われるモノが多いです。
例えば、「スキーに乗っている時に速度が表示される」とありました。
一瞬良さそうに思いますが、これって本末転倒ではないでしょうか?
早くなればなるほど、雪面を読まなければなりませんからね。
時速:30kmを超えると、小さなこぶでもかなり吹っ飛びます。
五官で速度と遊ぶのに、数値は必要ないです。
視界を妨げるモノは極力なする方向で進化してきたスキーですからね。
こちらも精査が必要だと思います。
単に「こんなのがあります。目新しいですね。」ではなく、使えるかどうか、そして何が変わるのかが重要なのです。
■何故、頑張るのはベンチャーなのか?
あと、ウェアラブルの展示会で気づいたのは、ブースの小ささです。
端的にいえば、ベンチャー企業、中小企業が多い。
これは、今の大企業が真面目に取り組んでいないのが原因ではないかと思っています。
ギアの開発時に、「掛け心地が重要」と言ったところで、数字を大切にする経営者、上司はわかりません。
しかも進化は、薄皮を剥がしていくが如くです。
で、試作に次ぐ試作ですからね。
これを理解し、待てる経営者は、中々居ません。
ベンチャーは、経営者=開発者ですから、自分が一番良く知っています。
逆説的な言い方をすると、技術を十分理解して、その技術の活かし方を知っている経営者の会社でないと、いいウェアラブルは作れないかも知れません。
そして身につけるモノですから、終わりがない。
時間を計るための腕時計。
あれだけ進化して、まだ進化中なのですよ。
そういう眼でみると、グーグル・グラスの発売延期も何か、感じるところがあります。
■がんばれ日本メーカー
軽・小・短・薄。
そして職人芸。
どれも日本の得意技です。
江戸時代の身につける小道具で、海外で美術品として高い評価を受けているモノに、「根付」があります。
江戸時代、煙草入れ、印籠などを紐で帯から吊るし持ち歩くときに用いた留め具です。
江戸人は、自分の洒落気を見せるために、たいそう凝った根付を作りました。
象牙を掘って、目に水晶を埋め込んだりもしました。
最先端の技術を惜しげもなく、つぎ込むのです。
そして帯の留め具ですから、大きさ、形なども、千差万別。
日本は、その様な所に、創意工夫を凝らすのが大得意ですからね。
スマホカバーもそうですし、ヘッドフォンもそう。
個人持ちの、身につける道具は、非常に洗練されています。
ならウェアラブル製品もそうですよね。
技術があり、人材もいます。
品川のS社など、スマホでなく、こちらの方がよほど似合っていると思うのですが、それは私だけでしょうか?
■違った視点で・・・
さて、ウェアラブルEXPOでは、完成品だけでなく、パーツ、素材なども展示されています。
気になったものを2点上げておきます。
その1、位相シフト法を利用したカフ(圧迫帯)なし連続血圧用デバイス・チップ。
手首に付ける24時間活動量計に搭載も可能です。
簡単にいうと体重計以外、全ての健康計測を手首で行うことができる可能性があるわけです。
スゴくなりそうです。
その2、銀メッキを使った通電繊維。
現在、銀メッキは「抗菌」で使われていますが、それを電線として使おうというわけです。
ケーブルでつないでいるモノが、服を着るとつながるわけです。
服ですからね、完全にウェアラブルです。
まだ、どう使うのが一番効果的であるのかは、決まっていませんが、案外数年後ユニクロから、ヒートテックの様な扱いで販売されるかも知れませんね。
2015年1月27日