「東日本大震災の仮設住宅(築2年位)で、カビが大発生。
健康に影響を及ぼしている」という記事は、今の日本を象徴する出来事でもあります。
言葉でいうと「換気が不十分」となるのですが、昔と今では、「換気」はすごく違っています。
ということで、重要な換気の話を何回かにわけて説きます。
■換気を考える上で・・・
換気は、端的にいえば「室内の空気と外の空気を入れ替えること」です。
換気が十分できないために、冬、燃焼型暖房器具を使ったため、一酸化炭素中毒で死亡という記事が踊ることがあります。
それがどういうことか、まず換気の根本である、空気の話から始めさせて頂きます。
■人間にとって空気とは?
呼吸は人間にとって必要不可欠なモノであることは、口の悪い言い方を許してもらえるなら幼稚園児でも知っています。
空気、水分、食事は生命活動に不可欠です。
では、この中で一番重要なモノは何でしょうか?
そうですね。
空気ですね。
水、食べ物は、半日以上取らなくても死にません。
が、空気は数分と我慢できませんからね。
その位、空気は重要なのです。
1日の摂取量で比べてみましょう。
まずは食事。
ギャルそねだと、数kgぺろりですが、普通の人はそんなわけには行きません。
大人で大体1.3〜2.0kgですね。
次に、水分。
1.2〜3.0lだそうですから、1.2〜3.0kgですね。
では空気は?
水と違って軽いモノの代表のようなモノですからね。
実は、18kg
桁違いに多いのです。
■酸素が及ぼす人体への影響
人間に必要なのは、酸素です。
基本、大気の21%は酸素だと言われております。
それが足らなくなるとどうなるのかをまとめてみました。
酸素濃度 | 症状 | 備考 |
21% | 通常 | 空気中の酸素濃度 |
18% | 頭痛など | 安全の限界=連続換気が必要 |
16~14% | 脈拍、呼吸数の増加 頭痛、吐き気 細かい筋肉作業がうまくいかない 精神集中に努力がいる |
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12% | めまい、吐き気、筋力低下 判断がにぶる 墜落につながる |
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10% | 顔面蒼白、意識不明、嘔吐 | 気管閉塞で窒息死 |
8% | 失神昏倒 | 7~8分以内に死亡 |
6% | 瞬時に昏倒、呼吸停止 | 6分で死亡 |
たった「3%」。
消費税より少ない!
それでも人間はアウトなのです。
人間がいかに地球に合わせて進化して来たのかがうかがい知ることができます。
逆の言い方をすると、自然を壊してはダメなのです。
人間は自分の首を自分で絞めているようなものなのです。
ちなみに酸素は多すぎてもダメ。
人間は生きるのが難しい。
まさに、地球は「奇跡の星」。
これを護らずに何を護るのかと思います。
■脳がダメになる
人間は、化学的に見ると発電所と同じです。
石炭の代わりに、糖分を燃やすことにより、体を動かすエネルギーを出しているわけです。
燃やすのですから、酸素が不可欠です。
このため、人は酸素がないと、体が動かせなくなります。
しかし一番ダメージを受けやすいのは、脳です。
成人男性の脳は、体重比:約2%です。
ところが、取り込んだ酸素の25%が脳で消費されるといわれています。
これはスゴいことです。
さらに言いますと、筋肉は酸素をため込むことができます。
「ミオグロビン」という物質のお陰なのですが、脳は全くそんなことはないです。
酸素が供給されないと、即動きを止めます。
体より先にダメになるわけです。
臓器が生きていても、脳が死んでいる状態、いわゆる「脳死」というやつです。
■呼吸による消費
人が呼吸で酸素を取り込む量は、安静時で0.3l/分。
運動時で3l/分といわれています。
「早すぎた埋葬」はミステリーではよくあるテーマですね。
悪趣味ですが、どの位棺の中で足掻けるか、計算してみましょう。
日本人の棺桶は、183×55×46cmでMサイズです。
一応これが基準とします。
容量:463l。
本人&副葬品で、50%の容量が取られるとします。
つまり空気量は、232l。
この中の3%分の酸素がなくなったら、人間ダメになるとしましょう。
つまり、酸素 6.96lが生死の分かれ目です。
安静にしていて23.2分。
騒ぐと2.3分。
アドレナリンが大量に分泌されても、5分ですかね。
あっという間ですね。
南無阿弥陀仏。
極端なことまで書きましたが、空気の入れ換え、つまり「換気」は人間の生活に不可欠であることが、何となく理解して頂けたらありがたいです。
次回は、換気する場所「日本の部屋の歴史」を紐解きます。