LGエレクトロニクスの二槽洗濯機
CES2015
LGエレクトロニクス(以下LG)の趙成珍社長は、白物家電の出身で、特に洗濯機&冷蔵庫に思い入れがあるとのこと。
ただちょっと行き過ぎ感が噂される人でもあります。
そんな中、現在、米国ラスベガスで行われているCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)2015で、変わった洗濯機が発表されました。
■CESとは
9月に、ドイツ ベルリンで行われる「IFA」は、世界最大の家電ショーとして有名です。
次に有名な家電関係のショーは、米国ラブベガスで行われる「CES」です。
米国はエレクトロニクス・ショーを昔は、夏、冬に分けて行い、それぞれサマーCES、ウィンターCESと呼ばれていました。ここでいうエレクトロニクスは、TVを初めとする「黒物家電」の意味です。
そして春と秋は、コムデックス。パソコンのショーでした。
ホテル数が全米で最も多いラスベガス(一声、100万室。つまり100万人の宿泊客までは対応可能。)で行われることでも想像がつくと思いますが、それぞれ巨大なショーでした。
で、お分かりの通り、採算が取れなくなると、吸収合併されます。
コムデックスは、CESに吸収。
CESは、PC&黒物家電となり、夏は冬に吸収されます。
こうして、世界第2位、そして米国という魅力的な市場をを背景にした、CESというショーが出来上がったわけです。
CESは、主にはPC&黒物家電のショーなのです。
しかし今回、LGの面白洗濯機が、展示されるなど、また変わってきています。
近々、IFAライクになるのかも知れません。
■LGのポジション
LGグループは、韓国第三位の財閥。
サムソングループ、現代グループに次ぐポジション。
グループでなく、会社で見て見ますと、白物家電以外、TV、スマートフォンなどでは、正直サムソンの後塵を拝しています。
しかし、LGは白物家電に強いです。
特にエアコンには定評があります。
2014.春に出た、サムソンの洗濯機 WW9000はスゴいです。
私もIFAでレポートさせてもらいましたが、ヨーロッパの家電評価で完全にトップランクです。
洗濯機に自信を持っていたLGとしては、焦ったでしょうね。
知っている方も多いと思いますが、IFA2014の会期中、LGの趙成珍社長は、ベルリンの電気店で、サムソンの洗濯機のヒンジを壊したかどで訴えられました。
現在、法廷で係争中です。
私は、メーカーは商品力で、市場で競うべきであると考えています。
サムソンの洗濯機が魅力的なら、それ以上魅力的な洗濯機を出すべきだと思います。
相手の足を引っ張るのではなく、自分を高めるわけです。
そんな時に、LGが洗濯機で、商品で動いたわけです。
興味ありますよね。
■二槽洗濯機
さて今回の展示品です。
ドラム式の洗濯槽の下に、冷蔵庫の冷凍室の様な大きな引き出しがあります。
引き出してみると、高さはありませんが、縦型の洗濯槽。
大量に洗いながらも、少量洗いのニーズにも答えられるということだそうです。
見た瞬間唸りましたね。
「ちょいと拙いんじゃない」というのが大印象でした。
■今後の洗濯機は、「手洗いをどうするのか?」が問題
最近の洗濯機は、かなりのものです。
しかし、洗濯が楽になったかというと、そんな感じは余りしないと思います。
理由は簡単ですね。
物理的にできる部分、洗剤と一緒に撹拌する工程、すずき工程、脱水工程は、機械化されたからです。
残りの部分は、汚れが酷い洗濯物、特殊な素材の洗濯物をより分けること。
そしてそれを「手洗いする」のですが、そこは今まで通りですからね。
洗濯の手間は同じなわけです。
洗濯を楽に、短くするためには、ここが肝心です。
そう考えた時、新しく設けられた下槽ですが、適しているようには思えないです。
確かにコントロールパネルは手洗い、もしくは特殊洗いに強い感じの言葉が並んでいます?
現代、特に日本では、洗濯機は独立、風呂の隣に鎮座まします。
この周り、簡単に手洗いできる場所がありません。
洗濯機に、手洗いする場所を付けるというアイディアはあると思います。
ただし、しゃがみ込んで仕事するのは効率が悪いですし、撹拌するより洗剤に洗濯物を馴染ませれば良いもの、付け洗いが必要なもの、多種多様なケースを一手に引き受けるということもなさそうです。
■今回はアイディア倒れとしても・・・
今、私が話しているのは、日本の洗濯事情を踏まえた上での話であり、他国に行けば話が変わります。
そうですね。
例えば、架空の国で、靴は布製。
そして白いのが礼儀となると、このような洗濯機は重宝されるでしょう。
ただ面白いと思うのは、LGエレクトロニクスは、サムソンの単純な後追いはしなかったこと。
そして、売る、売らないは別にして、こんなものをショーモデルでも作って見たことです。
今の日本だと、アイディアを説明して、「あーダメ」というのが普通でしょう。
しかしアイディアは、それで叩くと、ダメな場合が多い。
できる限りは、不格好でもモデルまで作って見ることです。
すると、ダメな所と、ダメな理由が、実感ベースでわかります。
何か引っ掛かるところがあると、そこは使えるアイディアです。
開発はトライ&エラーですからね。
このようなことができると、大化けする可能性があります。
LGエレクトロニクス 対 サムソン。
闘志剥き出しの両社ですからね。
今年も楽しみです。
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2015年1月9日