「ブラーバ」は、ロボット掃除機「ルンバ」で有名なiRobot社のロボット掃除機です。
ただし、違うのは、「吸う」のではなく「拭き」掃除をすることです。
5ヶ月間、使ってみた感じをレポートします。
■「ちっちゃいなぁー」
同じiRobotから出されているルンバと比較してみましょう。
機種名 | 大きさ(mm) | 重さ(kg) |
ルンバ880 | 353(W)×353(D)×92(H) | 3.8 |
ブラーバ380j | 244(W)×216(D)×79(H) | 1.8 |
なんと42.3%の投影面積しかありません。
というわけなのですが、第一印象は、「ちいちゃいなぁー」でした。
箱が小さいですし、本体も小さい。
本体が小さいのには理由があります。
ブラーバは「拭き掃除」ですから、「ダストボックス(ゴミ入れ)」が付いていないからです。
ルンバ880のダストボックスは大きめ780と比較して約1.6倍で、約4.2L(4,200,000mm3)です。
ダストボックスが、37.7%を占めていることがわかります。
小さくできるわけです。
形は角がまるめの四角という、ロボット掃除機では異色の形状です。
IFA(ベルリンショー)世界最大の家電ショーで、iRobotの製品を幾つも見ましたが、四角なのはこれだけです。
モップと同じ機能を持たせた(要するに水を使い拭く)「スクーバ」もありましたが、黒く円形。
白くて四角なのでは、異色なのです。
このデザインは、どうしてなのでしょうか?
一番大きいのは出自ですかね。
新製品の時も書きましたが、元々はエボリューション・ロボテックス社の「ミント」ですからね。
iRobot社は、ロボテックス社を買収。
「ミント」の名を「ブラーバ」に変えて発売したわけです。
外観、そして状況から判断する限り、変更した部分はほとんどないです。
逆に言えば、iRobot社は、「ミント」はイイできと認めたのではないでしょうか?
そのため、ブランド(会社名)と名前だけ変えて発売したのではないでしょうか?
iRobot社「ルンバ」の売り上げは、並みではないですからね。
外観を変えようと思えば、できたはずです。
ところがそれをしていないのです。
白四角は、清潔感のあるタイルに似ています。
谷崎潤一郎は、「陰がなさ過ぎる」として、日本建築の風呂場にタイルがあることを嫌いました。
が、私は半西洋化した日本のリビングに、かなりマッチしたデザインと思います。
またタイルは、いろいろな使い方ができ、ガウディの建築で有名な「粉砕タイル」という方法もあります。
グエル公園のトカゲのようなデザインも面白いと思います。
異色の、端正なデザインを見ていると、そんな思いに駆られます。
■雑巾掛けにあったナビゲーション
iRobot社の「ルンバ」に採用されているランダム・ナビゲーションシステムは、考え方、作り込み共に大したものです。
見る度に、そう思います。
ところが、これは雑巾掛け型ロボットには合わないナビゲーションなのです。
何故でしょう。
ランダム・ナビゲーションの考え方は、同じ場所をランダムに4回通るということです。
4回というのは、前後左右別々の方向から、その場所を通るということです。
方向を変えることにより、1度では取れないゴミを取るのです。
このナビゲーションの条件は、本体がある程度、高速に動くということです。
もともと対地雷ロボット。
チマチマ動いていたのでは、ラチがあきません。
またゆっくり動くと、地雷の威力をそのまま受けることになります。
しかし、雑巾掛けは、掃除機をかけるのと違います。
お分かりの通り、スピードが違います。
基本は「ゆっくり」そして「直線的に」です。
掃除機が空気を使う「浮遊型」なら、雑巾掛けは「接地型」といってもイイです。
このため使うのは、「NorthStar ナビゲーションシステム」です。
「NorthStar」は北極星。
この動かない星は、古代より多くの旅人を導きました。
「NorthStar ナビゲーションシステム」も似たシステムです。
使うのは、「NorthStar キューブ」。
これのキューブから赤外線を四方八方出し、跳ね返った赤外線をブラーバ本体が捕らえ、自分の位置を把握するのです。
ちょっと高めの所に置く必要がありますがね。
■予想以上にキレイになる!
雑巾で床を拭く場合、人間は体重を利用します。
ブラーバの様な小さい掃除機で大丈夫なのでしょうか?
本体重量:約2kg。
実は一番の心配はここでした。
使えない家電では、薦められませんからね。
まず。水拭きを徹底的に試してみました。
結果は、杞憂でしたね。
予想外に汚れが取れました。
掃除機を掛けた後でも、かなり汚れが取れますからね。
やはり「雑巾拭き」は重要と思います。
良さを最大に実感できるのは夏場です。
一週間かけると、床触りが違ってきます。
ちなみに「水拭き」と「から拭き」で、ブラーバは動きが変わります。
「から拭き」の場合、先に掲げた写真の通りのルートで、さーっと動きます。
正直、かなりのスピードです。
逆に「水拭き」の場合、ギリシャ語の「γ」のように行きつ戻りつしながら、ゆっくりゆっくりと進みます。
「頑張ってる」って感じが伝わってきます。
■使いこなし1:普通の雑巾は使えるのか?
ちなみに、汚れた布は正規品でなくてもイイということですが、厚手の雑巾ではなく、古タオルを切ったものがお勧めです。
ただしホールドはかなり甘めになります。
ホールドが甘くなるのは、ベルクロの凸部とタオルの形があっていないからです。
タオルはフワフワが好まれるのですが、ここのベロクロはどちらかというとそうでない部分に合う形になっていますからね。
家に適した古タオルがあると良いですね。
■使いこなし2 化学雑巾を「から拭き」で!
あーでもない、こーでもないとトライしてみましたが、今一番使えるのは、化学雑巾と「から拭き」の組み合わせです。
化学雑巾といっても、私が使っているのは「安い」やつです。
もともとクィックル・ワイパーに使っていたものです。
これが「ピッタリ」!
ガンガンお掃除してくれます。
極端な話、掃除機を掛けなくてもイイ感じです。(ロボット「掃除機」を掛けているじゃんという突っ込みはなし!)
水の入れ替えも不要だし、汚れ物はポイすればイイので極めて楽。
使える使い方です。
今、私、これ一辺倒です。
■よくも悪くも雑巾がけ
ブラーバは、良くも悪くも「雑巾掛け」です。
これはどういうことかというと、準備と後始末が、基本毎回必要だということです。
「水拭き」の場合は、水のセット、布のセット、そして水の後始末、布の後始末が必要です。
「乾拭き」の場合でも、布のセット、布の後始末が必要です。
当然、雑巾を干すスペースも必要となります。
また、スタンドでの自動充電機能がありませんので、毎回スタンドに乗せ、充電してやる必要があります。
これらをするためには、リビングなどにいる必要があります。
これは大きなポイントです。
もちろんスケジュール機能(予約機能)はあります。
私はこの機能、一度も使っていません。
考えてもみてください。
吸い込み型のロボット掃除機と違うのです。
雑巾は、汚れを床から布に転写するようなものです。
このため、洗ったりして、汚れをキレイにする動作が必ず必要となります。
逆な言い方をすると、自分が居る時に使うロボット掃除機といえます。
「えーっ、五月蠅いし、ホコリが出ると堪らない・・・」ですって。
違うのです。
吸い込まないので、非常に静か。
TVの音も「はっきり」と聞こえます。
雑巾ですので、ホコリも全くでません。
しかも、掃除機で雑に掃除した場合は、キチンと雑巾部に黒い汚れが付きます。
自分がざっと掃除をすれば、丁寧に拭き取ってくれる。
通常のロボット掃除機とひと味違います。
■どんな人にお勧めか?
家のほとんどがフローリングであり、基本、裸足で生活する人は、お勧めです。
足裏が気持ちイイのは、気分がイイです。
中でも、リビングダイニングの間取りの人には大いに勧めます。
唐揚げ、天麩羅などの油物をした後は、基本雑巾掛けをした方が良いのですが、雑巾掛けは面倒ですからね。
そんな時に、すこぶる便利です。
から拭きで、通常のロボット掃除機の様に使うのも一つの手です。
ただし、一週間同じ雑巾でというのはお勧めできません。
フローリングが痛む原因にもなりますので。
後、ロボット掃除機の初心者にもイイかも知れません。
安い(吸引モーターがないですからね!)ですし、邪魔になりません。
スティック掃除機で、軽く掃除した上で使うなら文句なしにお勧めです。
■まとめ
ブラーバは、ロボット掃除機のカテゴリーの中に入りますが、いわゆるロボット掃除機とは一線を画します。
「いない時にお任せ」という感じではなく、「いる時にひっそり」とという感じですね。
そういう意味では、今までのロボット掃除機とは別物とした方がイイかも知れません。
しかし楽に雑巾掛けができるのは、家の中で靴を履かない日本人にはなんとも嬉しい限り。
何といっても、床に直接ふれるコンタクト型ですからね。
アレルゲン物質の除去データーはありませんが、それの除去にも寄与していると思います。
個人的には、ちょっとした掃除が直ぐ出来る「スティック型掃除機」と組み合わせて使うのが最もお勧め。
多少吸引力の弱いモデルでも、ブラーバがあると、「拭き掃除」ができますので、しっかりサポートできます。
アメリカの製品ですが、今の日本が一番必要としている家電なのかも知れません。
商品のより詳しい情報は、iRobotのホームページにてご確認ください。
http://www.irobot-jp.com/braava/
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