ウェラブル・デバイスとして、欧米で、大ブレイク中の24時間対応の活動量計。
中でも、JAWBONE(ジョーボーン)社のバングルにも似た「UP」シリーズは女性にも大人気で、日に日に市場からの支持が高まっています。
そんな中、「UP」の新モデルが発表されました。
早速、レポートします。
■24時間対応の活動量計・・・
日本では、まだ適当なカテゴリー名称がないため、24時間対応の活動量計と書いておりますが、欧米では「アクティブ・トラッカー」に分類されます。
トラッカーとは「追跡者」の意味で、トラック運転手などの意味ではありません。
要するに、「人の活動を追いかけるモノ」という意味です。
今、何故これが注目されているのかは、2つの意味があります。
1つめは、「フィットネス」。
単純に言えば、どれだけ動いたかが分かる活動量計。よりシンプルな言い方だと万歩計です。
とにかく人間カロリーバランスは極めて重要ですから。
それが分かることが、1つめです。
そして2つめは、「生活習慣の見直し」。
こちらは、いつ寝て、いつ起きたか、そしてどれ位運動したのかを継続して取って行きます。
そして段々、良い状態に持って行こうと言うわけです。
実は、こちらは非常に重要な話です。
長い人生を考えた時、やはり死ぬ直前まで自分の足で立ち、ご飯を食べ、風呂に入り、トイレに行きたいものです。
ところが、長い人生、ストレスに晒されますからね。
自分の思う通りに生きようとすればするほど大変です。
頑張ったあげく、自律神経失調症などで寝付いてしまったなどは、よくある話です。
また、精神的ダメージがなくても、それなりの運動を続けなければ、体のダメになるスピードも早くなり、最後はベッド生活もあり得ます。
それを防ぐのが、実は生活習慣ですね。
これは、意志とかではなく、肉体を持つ生物として必要なことです。
汎用的に使われるので、本稿でも「生活習慣の見直し」という言い方をしていますが、ニュアンスとしては余りよくない様に思っています。
「身体のケア・メンテナンスの1つとして、生活をよりよいリズムで行う」と言った方が良いような気がします。
今、俄然注目を浴びているのが、この生活記録(英語では、ライフログ)。
これができるのが、24時間の活動量計。
すなわち、今回取り上げるUPシリーズなのです。
■UPシリーズの特徴
24時間の活動量計は、基本ディスプレイを持ちません。
理由は簡単です。
重いからです。
時計をして寝る人は余りいませんよね。
そう、睡眠の時はできる限り、薄着で寝るのが基本だからです。
中にはモンローみたいに、シャネルの5番だけで寝る方もいらっしゃると思いますが・・・。
とにかく、できる限り短小軽薄であることが望ましいわけです。
このため、データーはスマホで管理する形になります。
UPの特徴はバングル形で、かなり細身。
このため時計と一緒に付けていても、あまり問題がないです。
あと、UPのアプリが極めて出来がイイことも、特徴の1つに上げられます。
見やすいだけでなく、データー修正もし易いですし、食事情報の追加もかなり楽です。
特にBluetoothで、データーをやり取りするようになった「UP24」は使い勝手が非常に便利です。
実は、UPに似た機能を持つモノに、スマートウォッチがあります。
一番有名なのは、アップルが発表した、iWatchでしょうかね。
しかしこれは2つの欠点があります。
1つは大きく、重いこと。
先に書きましたが、大きいと寝る時負担になります。
2つめはバッテリーの持ちです。
多機能なので電池を喰います。
早い場合は、1日。長くても2〜3日で充電が必要です。
今のUP24は2週間。
新製品のUP3でも1週間だそうです。
常に身につけておく。
UPは、この重要な要素をしっかり把握し、それに沿った製品をプロデュースしています。
■UP3は「王道進化」
UP3は、鍛えに鍛え上げられたのが、一目で分かる新製品です。
まず、最終形状はバングル形で、これは今までの踏襲です。
しかし、独特の止め方ですが、時計と同じような止め外しができる形に変更されています。
UP24は、バングル形の本体に、手首を入れ込む形でした。
このため、S、M、Lで迷うことがありました。
私は、右だとL、左だとMで、付け替えられなくて不便だなぁと何度も思ったものです。
それがなくなります。
次の特徴は、デザインですね。
「UP24」はどちらかというと、スポーツ寄りのカジュアル系のデザインでしたが、一転して日常生活にピッタリした感触のデザインです。
デザイナーは、イヴ・ベアール氏。
氏は、JAWBONEのスピーカーなどのデザインも手がけていますが、ハーマン・ミラーのセイルチェア、iRobot社のブラーバなどもデザインしています。
裏返してみると、今までなかった突起がいろいろ並んでいます。
バイオインピーダンスセンサー、皮膚温センサーなどです。
これが今回の肝となる技術です。
■何ができるようになったのか?
説明を聞いたところ、まず、「心拍数」「基礎体温」が分かると言われました。
まず、「心拍数」は安静時の心臓の動きですね。
心臓は、脳に続いて人間に重要な臓器ですからね。
この状態が分かることは非常に望ましい。
次に「基礎体温」。朝、起き抜けの体温ですね。
男性諸氏にはピンとこない方もいらっしゃるかも知れませんが、女性の必須測定項目でもあります。
女性は出産という男にはできない、生命を宿し育む身体特徴があります。
そのため、月経、排卵などがあり非常に大変なのですが、そのリズムが分かります。
さらに、進化した3軸加速度センサーを加えると、次のようなところまで分かります。
1つは、より詳細な睡眠解析です。
今までは、「浅い眠り」「深い眠り」「途中で起きた状態」になっているだけだったのに、「REM睡眠」が加わります。
REM睡眠は「夢を見ている状態」であり、脳も体も半分起きている状態と言われています。
単純にいえば心拍数、体温もやや高めで、一番起きやすい時とも言えます。
「UP」シリーズの特徴に、優れた目覚まし機能(浅い眠りの時に起こすスマート・アラーム機能、ちょっと寝ができるパワーナップ機能)がありますが、それがより正確に作動するわけです。
2つは、より正確な運動記録です。
今までは、歩数管理でしたが、UP3は運動管理ができます。
運動を自動判別するのです。
ただ初回だけは、「サイクリングをしていますか?」「水泳をしていますか?」と聞いてきますので、それに答えると後は自動だそうです。
ちなみにUP24は生活防水だったののが、UP3は10m防水。
風呂、プールでも外す必要はありません。
■スマートコーチ機能
UPもそうですが、ネットを介してデーターのやりとりをする現在、膨大な量のデーターが必ずでます。
名前の特定できない個人情報の集積と言えます。
有名なのはコンビニのシステムですね。
性別、年齢、エリアを組み合わせて、買ったものを解析すると、必ずと言ってイイほど、それなりの傾向が出てきます。これをマーケティングに活かし、新製品を毎期投入。
勝ち組として残った分けです。
この分野でも同じこと。
UPでも、同業他社でも、膨大なデーターを持ちます。
ビッグデーターですね。
活動量計のメーカーは、何が何したら、翌日どうなった、1ヶ月後どうなった、というデーターを山ほど持っているわけです。
これを活かしたサービスが、「スマートコーチ」です。
データーをいろいろと紐解くと、いろいろな傾向がわかります。
要するに、多くの人が行う次の行動がわかるわけです。
それを元にアドバイスするのが、スマートコーチです。
現行の「UP」「UP24」でも使え、開始早々からずっと使っておりますが、かなりイイ感じです。
まず、同じアドバイスがほとんど出てきません。
これは重要ですね。
人間の最大の敵は、「飽きる」ことでしょうから。
実際、スマートコーチは飽きないのです。
しかも有用。
今回、スマートコーチは「JAWBONEから、ユーザーへのプレゼントです。」と高らかに宣言されましたが、うなずきましたね。
24時間活動量計の最大の敵は、「飽き」です。
重要なのは「続ける」ということです。
どんなに有用なことでも、飽きられると放って置かれます。
UPは、友達と連絡を取れながらできる様SNS対応もしていますが、このスマートコーチは非常にイイ感じの機能です。
■睡眠改善の実績
市場調査会社での実績も照会されました。
以下に示します。
1日を通してすっきりしている | 81% |
人生をより楽しく思える | 81% |
睡眠が改善した | 72% |
自分のデバイスからの情報をSNSでシェアするのが好きだ | 66% |
アプリは(アップデートするので)常に新しいことや興味深いことを見つけられる | 79% |
UP3は、2015年1月から、メーカー希望小売価格、21,800円(税込、予価)で販売されます。
■UP move:入門用UP
新ラインナップ UP move(以下move)は、入門用です。
UPシリーズとしては初めてバングル形を止めています。
ボタンに似た本体は、丸みを帯びた正方形。
要するに必要な部分だけをまとめた感じです。
通信はBluetooth、電源はボタン電池(寿命 約6ヶ月)ですので、コネクター部は一切ありません。
筐体は、陽極酸化アルミ製で、素材的にはチープな感じはしません。
使う時は、クリップホルダー、もしくはリストストラップホルダーに入れて使います。
計測機能は、歩行と睡眠を計る基本機能だけですが、UP24、UP3にはない面白みがあります。
それは、本体で、時刻と進捗状況がわかるということです。
昨年夏、従来の活動量計(万歩計が原型)と24時間形の活動量計を比較したことがあるのですが、UPの欠点の1つとして、運動(その時はウォーキング)している間、状況が分からないのは「万歩計に対してイヤだなぁ」と思ったことがあります。
万歩計を持っていると意識すると、
特に運動を意識すると、時計を外す時も多いですからね。
UP24だと、途中経過を見るためには、スマホの常時携帯がマスト条件になります。
今は慣れましたが、万歩計を今まで使っていた人には、特に便利な機能だと思います。
アプリは、UP3と同じです。
moveは、12月中旬より、6480円(税込)で販売されます。
機能からいうとお買い得です。
貴方も、UPで自分の生活リズムを見直してみませんか?
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