新しい分野を切り開くか? 撮影後でもピント合わせが
可能なカメラ「ライトロ イルム」
YouTubeを始め、写真、動画が氾濫する昨今です。
見てもらうためには、これぞという瞬間をとらえるか、誰も見たことがないニュアンスが必要となります。
そんな中、新しいカメラとして注目のライトフィールドカメラ「ライトロ イルム」の発表会がありました。
まずは、それで撮影した映像を見てもらいましょう。
発表会場、立食試写会の会場です。
えっ、何故動画かって・・・。
実は、これは今までの写真、ムービーと一線を画すシステムなのです。
■動画に出来るってことは・・・
色々な規格がありますが、動画の基本はパラパラマンガです。
残像現象を利用して、静止画が動くわけです。
昔の映画フィルムでは、24枚/秒。日本のTVでは30枚/秒が基本でした。
これ位で、画は動き始めるのです。
ライトフィールド・カメラは、シャッターを押すと、撮影データーとして1枚56MBのデーターが取りこまれます。
ライトフィールド・カメラの出力画素数は、400万画素。通常、一枚、1200〜2400KBです。
つまり、1回の撮影で、233〜466枚分の撮影をすると言うわけです。
確かにピンぼけの部分も含め、動画6秒分の情報量が入っている分けです。
しかしそれは動画情報として入っている分けではありません。
空間情報として入っているのです。
一番近しいイメージは、医療で使われるCTスキャナーでしょうかね。
人の体を輪切りスキャンする医療機器ですが、全てのデーターを合わせると、その人の立体像を造ることができます。
また、動画を良く見てください。
前から後ろにピントが移動しているのが分かると思います。
要するにこの動画は、その空間データーで前から後ろにピントをずらし作ったわけです。
仮想空間ができるとその部分は自在にピントを合わすことができますからね。
これが、「ライトフィールド・カメラは撮影後もピントが合わせられる」と言われる理由です。
■複数のレンズを使ってできること
3Dカメラというのをご存じですか?
人間の眼と同じ奥行きを、レンズ2つで出すシステムです。
ライトフィールドは、もっと多くのレンズを使って、もっと正確に空間記録をすることができるシステムです。
開発は、縦方向に3つ、横方向に3つのレンズから始まったそうですが、今ではレンズの数もかなり多い。
そしてそのレンズの光を取り込むセンサーは、4000万光線を取り込めるそうです。
開発者が、胸を張り今までと違うというのはよくわかります。
そのデーター量からいうと、3Dプリンターと組み合わせると、その空間の模型を作ることができる可能性があります。
ところが、それでシステム化したらどうでしょうか?
例えば恋人をライトフィールド・カメラで撮影する。
家に写真なら1000枚でも簡単に保管できるのですが、立体物となるとそうはいきませんからね。
10体飾ると、恋人から何を考えているとなじられそうです。
ライトフィールドは、写真、そしてご覧頂いたムービーでアウトプットが可能です。
今は、後でピントが合わせられるとか、表現されますが、そんなレベルのものではありません。
現時点で、全てを出し切っていないシステムということもできます。
今の写真、動画文化は、数世紀の技術、文化の集大成ですからね。
このシステムの良さに、本当に合った楽しみ方ができるには、もう少し時間が掛かりそうです。
■カメラとしての出来
ライトフィールド・カメラは大小含めてレンズの集合体です。
このため非常に精密な加工技術が必要です。
このため設計はアメリカですが、生産は日本で行われます。
次に、一度に多量のデーターを処理する必要がありますので、Snapdragon800という強力なプロフェッサーを搭載しています。
この2つが特徴ですね。
内部バッテリーで約400枚の画が撮れるそうです。
56MB/枚ですので、それだけ撮るには、32GBのSDカードを必要とします。
で、使ってみました。
まず思ったのは、「カッコイイ」。
次に思ったのは、「重っ。」
レンズに対し斜めにマウントされた筐体が特徴のカメラは文句なしにカッコイイです。
その上、質感も上々。
所有欲をそそります。
ところがです。
重量バランスがあまり良くない。
バランスが良ければ、重くても軽く感じるのですが、これはそうではありませんでした。
特に筐体が斜めですので、手に力も入りにくい。
撮影している時に気付いたのは、レンズ下の平らな部分。
ここに手を当てるとかなり安定します。
前述の通り、普通のレンズとは一線を画しますのですが、ここは今ひとつ気になりました。
操作はシャッターを押すだけです。
これは楽。
ピントは気にする必要がないです。
試写時間が短かったので、カメラで確認できたのはここまでです。
次にPCへの取り込みです。
使用PCは、アップルのiMacです。
取り込みは、USB3.0で行いました。
が、さすがに56MB/枚は、それなりに時間がかかりました。
ここはちょっと気を付けるところでしょうね。
iPhotoに似たソフトで、ライトフィールドのデーターも、通常のJPEG、RAWデーターも管理、現像(編集)できます。
感心したのは、ライトフィールド・データーの書き出し。
冒頭のムービーなどは、ワンクリックです。
こうするとYouTubeなどにも、面白く掲載できますからね。
ちなみに、同じ機能を持つアプリが、スマホにも用意されています。
現在は、iPhoneだけですが、現在Android用も鋭意用意中とのことです。
日本では、米ライトロ社と国内代理店の契約をした加賀ハイテック社が扱います。
■未来は「ハリー・ポッターの新聞?」
発売は12月上旬。
価格はオープンプライスですが、20万円前後になるのではということでした。
正直かなりお高い。
しかし、私はこのシステム、未来はあると思っています。
ただし、条件があります。
それは、この空間データーを活かせる表現の開発です。
1つのイメージは、映画 ハリー・ポッターの中の魔法使いが読む新聞です。
そう3Dのホログラム仕立てのあれです。
個人的には、精緻な3Dホログラムの図鑑が欲しいです。
目の前に、ライオンが、トラが、ゾウが、現れるのです。
もし、それなりの価格で出たら、確実に世の中の記録は変わると思います。
そうなると「ハリー・ポッターの新聞」は夢ではありません。
3Dプリンターとの連携も欲しいところ。
裏側のデーターはないので、フィギュアは出来ませんが、レリーフになるの面白いと思います。
この分野、お楽しみは「今から」なのです。
商品のより詳しい情報は、加賀ハイテックのホームページにてご確認ください。
https://www.kagaht.co.jp/
2014年11月6日