HEMSは「エリア」で考えることが重要!
ケーブルテレビによるスマートホームサービスの提供
HEMSの取材をしていますと、つくづく「メーカーが事業主体者として適当なのだろうか?」と思うことがあります。
というのは、一部の例外を除き、欲しいサービスが得られないかもと、感じる時があるからです。
そんな時、東横沿線を中心とするエリアでケーブルテレビなどのビジネスを行っているイッツ・コミュニケーションズ(以下イッツコム)が、米国アイコントロール・ネットワークスのシステムを正式に導入するというニュースが入りました。
イッツコムのホームページをネット検索しますと、「東急沿線のケーブルテレビ(CATV)/イッツコム」と出てきます。
https://www.itscom.net/
サービスエリアは、
●東京都 渋谷区・世田谷区・目黒区・大田区・町田市
●神奈川県横浜市 青葉区・港北区・緑区・都筑区
●神奈川県川崎市 高津区・宮前区・中原区
の各一部地域。
まさに、東急の、東横線、目黒線、田園都市線、世田谷線、大井町線、池上線、東急多摩川線等をケアしています。
東京の山の手エリアを中心に、生活レベルの高い人が住んでいるエリアですし、人口も多い。
ですが、この様なシステムを入れて採算が取れるのでしょうか?
■自分に必要な情報とは?
今は情報時代。
皆、いつでも、どこでも争うように、スマホをいじっていていますが、本当に必要な情報はどの位でしょうか?
特に、「ビジネス」、「生活費を稼ぐ」ということを抜かすと、そんなに多くの情報はなくてもよくないでしょうか?
逆に、本当に必要な情報を持ちそびれていないか? とも思います。
例えば、近くのスーパーの特売情報。
知っておけば、安く美味しいモノが食べられたのに、損をしていませんか?
今、その回答を持っているのは、実はケーブルテレビなのです。
私の知る限り、日本のケーブルテレビの事業者は、私鉄と深い関わりを持っているものが多い。
私鉄は、自分の沿線を栄えさせることにより、人を呼び込んで来ました。
典型例は、東急電鉄の「田園調布」、小田急電鉄の「成城」ですね。
いずれも鉄道会社が、ここと決めて住宅街を作りました。
今や高級住宅地ですぐ名前が挙がります。
ケーブルテレビは、その様に私鉄の沿線で商売します。
そして、その沿線の情報を提供するのです。
昔は、町会で回覧板という形で伝わって来た町の情報も、中々伝わりません。
東京は出入りが激しいですからね。
そう、今やケーブルテレビは、ミニコミの役割も果たすのです。
■ケーブルテレビとネットワーク
テレビはタダ(もちろんNHK、有料放送には受信料が要りますが・・・)だから、ケーブルテレビなんてと、思っている人はいないでしょうか?
単体で見るとそうですが、ケーブルテレビはトータルで見ると損ではありません。
今の世の中、ネット情報がないと厳しいですよね。
役所ですら、「ネットのホームページで!」という場合もありますので。
ケーブルテレビは、ネットワークを使いますのからね。
テレビとネットが一緒になったと考えれば、イイと思います。
ケーブルテレビに加入すると、ネットワーク端末としてセットトップ・ボックスが置かれます。
その気になれば、セットトップ・ボックス内に、ゲートウェイ、LAN、Wi-Fiなど、いろいろな機能を持たせることができます。
単純にいえば、ケーブルテレビが、HEMSサービスをする場合、追加機材は少なくて済みます。
というより、コンセントを使用する機器は少ない方が嬉しい昨今、これは重要なことです。
■今の状態では、HEMSの魅力は半減
生活家電.comで折りに触れ、書いている話に「HEMS」があります。
日本の国策の1つでもありますし、原子力発電でトラブルを起こした日本に取り必要だという考えから取り上げています。
HEMSは、自宅の電力負担を減らせることにありますが、一番重要な概念は、「世田谷区なら世田谷区を一つの家庭と見なし電力のやり繰りができる」ところにあります。
このやり繰りで、電力不足を補うのです。
このためには、そのエリアに「小さく独立した電力管理所」が必要となります。
ところが、現在はどうでしょうか?
東京電力は、中部電力と合併します。
ますます巨大になっています。
そうなった時、送電線事業だけの切り分けを、すぐ実施するなんてことはありません。
ましてや、独立した小規模の電力管理所なんて・・・。
独立でなければならないのは、他のエリアで電力の売り買いが生じるからです。
例えば、世田谷区の住民が、太陽光発電に投資をしたとしましょう。
(屋根にソーラーパネルを取り付けるということです)
もし隣の杉並区がそれを買いたいと言った場合、投資回収費を込みにしますよね。
要するに、作ったエネルギーは、そのエリアの財産ですからね。
「管理会社は住民(契約者)の利益を守らなければならない」わけです。
投資して不利益を被るのは、ダメなのです。
今、この当たりの話が浮いていますよね。
九州電力は、太陽電池で発電した電気の買い取りをこれ以上できないと言ってます。
がとにかく、理屈通りに進んでいないのが事実です。
私は、シュールガスにせよ、何にせよ、地下から掘り出すモノは最終的に限界がありますので、太陽と共に生きるのが本筋と思っています。
少なくとも地球の生命体は太陽がなければできなかったのですからね。
これ以上、未来に負担を掛けることはないと思っています。
しかし、まだHEMSを進めるには時間が掛かりそうです。
このため、HEMSは現在、「太陽電池で発電することを中心に」ではなく、「家電をコントロールし節電できる」に力を入れて皆さんにアピールしています。
今後の家はZEH(ゼッチ:ゼロ・エネルギー・ハウス)を標準にといっていますが、これは太陽電池を付ける前提ですからね。これとも矛盾しているわけです。
■北米のケーブルテレビ局の状況
北米では電波を受信してテレビを見るより、ケーブルテレビを付ける世帯の方が多いです。
このため、市場も大きいのですが、大手というと本当に大きい。
コムキャスト、タイム・ワーナー・ケーブル、コックス・コミュニケーションズ、ロジャース・コミュニケーション等があります。
彼らのサービスも日本と似ています。
●テレビ
●インターネット
●電話
●スマートホームサービス
です。
え、日本と違うですって。
「スマートホームサービス」があるって。
そうなのです。
ここでいう、スマートホームサービスは、家電コントロールが基本です。
このシステムが、アイコントロール・ネットワーク システムです。
日本と違うのは、日本が省エネを基本にするのに対し、犯罪多発する米国ではセキュリティーが一番に来ます。
でも考えて見てください。
省エネで100円家計が助かるのも大切ですが、泥棒に入られたらお金は財布ごと持って行かれます。
「水と安全はただ」という日本神話が崩れてしまった今、特に都会ではセキュリティーは重要。
しかも高齢者世帯でしたら尚更です。
■アイコントロール・ネットワーク システムの特徴
このシステムの特徴は2つあります。
1つめは、無線でデーターを送る場合、Wi-Fi以外に、ZigBee(ジグビー)が使えることです。
ジグビーは、センサーネットワークを主目的とする近距離無線通信規格の1つです。
転送距離が短く転送速度も低速である代わりに、「安価で消費電力が少ない」という特徴があります。
これは何を意味するのかというと、センサー設置部に「コンセントがなくてもよい」ということです。
「電池駆動が可能」なのです。
小さなことのように思えると思いますが、今やコンセントなく導入できるというのは非常に大きな意味を持ちます。
例えば。ドア自体にも付けることができるます。
ガラスの窓でも大丈夫。
屋外でもいいですし、天井でも構いません。
自由度がグンと増すのです。
2つめはカスタマイズが割と自由なのです。
例えば、マンションに住んでいる人がいるとしますが、マンションと言えば、基本同じ間取りです。
しかし、1年もすると、かなり違う感じになります。
家は個人に合うように変えられるのです。
これと同じです。
センサーが反応したら、次、何をするのかは、個人個人違いますよね。
そう家と同じです。
自分をシステムに合わせるのではなく、システムが自分に合わせてくれる。
大きなプラスです。
イッツコムは、ドア・窓センサー、モーションセンサー、IPカメラから始めるそうです。
モーションセンサーは、留守の時に、動くモノに反応しますので泥棒などがさっちできます。
ちなみに、普通の犬猫では大丈夫とのこと。
米国で実績を積んだシステムですので、そこら辺はいろいろな工夫がされています。
もちろん、このシステムはHEMSと融合させることができるので、その後の拡張性も有しています。
■ケーブルテレビへの期待
これらを使いたいのは、まず高齢者でしょうね。
亡き母も、よく鍵をしめたか、ガスの元栓を閉じたか心配していましたので。
ケーブルテレビは、地域と共にあるわけなので、家庭ごとの要望を拾って欲しいですね。
いろいろ書きましたように、スマートホーム・システムは、家1軒だけでなく、地域と共に発展するシステムです。
全国一律ではなく、その地域毎のサービスがあります。
だからこそ、地域のサービスを提供するケーブルテレビに、私は期待を寄せています。
商品のより詳しい情報は、イッツコムのプレスレリースにてご確認ください。
http://www.itscom.jp/nrelease/articles/127/fy2014/20141022
2014年10月31日