ミーレ、新型食器洗い機「G6000」シリーズ
ミーレの新しい食洗機、「G6000シリーズ」。
ドイツ本国では、掃除機、洗濯機のケア家電が主力だそうですが、日本でミーレを知る人は、まず「食洗機」ですね。
その食洗機のお披露目に出てきたものは・・・。
■決意表明は「バッハの無伴奏チェロ組曲」
米国は演説の国です。
中でも有名なのは、リンカーン大統領とケネディ大統領。
「人民の、人民による、人民のための政治」
「私はベルリン市民である」
は歴史に燦然と輝く名文句です。
これに対しヨーロッパも基本は演説なのですが、ヒットラーの演説の影響でしょうかね。
米国のようなイメージはありません。
これに代わり用いられるのは、音楽。
クラシック音楽ですね。
有名なのは、ベルリンの壁崩壊時の「第九」の演奏ですね。
ベートーヴェン 交響曲第9番 ニ短調 作品125。
第4楽章に「合唱」が用いられるため、「合唱」とも「合唱付」と呼ばれることがあります。
年末は「合唱」をという習慣は日本だけですが、欧州は節目節目によく演奏されます。
それを踏まえてかは、分かりませんが、ミーレも音楽を使いました。
オーケストラを用意することはできませんので、室内楽ですね。
曲は、ヨハン・セバスチャン・バッハの無伴奏チェロ組曲の第1番ト短調 BWV1007の前奏曲です。
人呼んで「チェロの旧約聖書」。
ご大層なあだ名が付いていますが、実はバッハが生きている時はともかく、以降そういうモノがあるらしいと言われてきた作品です。
何故かというと、楽譜がなかった。
そして200年後、1人の音楽家が偶然、スペイン バルセロナの古本屋で楽譜を見つけるのです。
その人の名は、「パブロ・カザルス」。
チェロの近代的奏法を確立した音楽家といわれる人です。
名曲が天才を呼んだのか、天才が名曲にしたのかは分かりません。
が、偶然というには余りにもできすぎ、「運命」なのでしょうね。
カザルスの手により、「無伴奏チェロ組曲」認められるわけです。
ちなみに、無伴奏チェロ組曲は、最小の音数で構成された音楽。ところが表現は無限。
残響音まで考慮された曲は、名人の手に掛かると、チェロ1台とは思えない、豊穣な響きで、音楽の小宇宙を形成します。
話が過ぎました。
私は、この曲から、ミーレ社からG6000シリーズの自負を感じました。
演奏も付けておきます。約2分半。音の小宇宙を楽しんでください。
■新シリーズ「G6000」の重点要素は4つ
この「G6000」シリーズで、ミーレは4つの要素を見直したといいます。
「使いやすさ」「洗浄力」「エコロジー」「デザイン」
確かにどれも重要。
ただ面白いのは「エコロジー」が3番目に来ているところです。
ドイツは電気代も、水代も高いですからね。
電気代は太陽光発電の補助金、そして水は昔から高いですからね。
日本もこうなるかも知れません。
■使いやすさ1、「ノック・トゥ・オープン」
今回からの新しい機能です。動画をご覧下さい。(20秒位です)
2度ノックすれば開く。
採用されたこの食洗機を見ると、「なんてイイの。」と思う人も多いと思います。
私も感心しました。
特に把手がないところがイイですね。
幼児がいても危なくない。
幼児は好奇心の塊。
中でも、美味しいモノが出てくる上、お母さんがよく立っている台所は大好きです。
まあ、把手がある限り、必ず開けようとしますね。
それができない。しかも角が出ていませんから、安心度は増します。
が、幼児がいなくてもこの機能は楽です。
両手にお皿でも、足で扉の口が開きますからね。
簡単にして「妙」といいたくなる機能です。
■使いやすさ2 見やすいパネル
ノック・トゥ・オープン搭載モデルが、ディスプレイが内側にあります。
ここにもいろいろな改良がなされています。
まず字も大きくし、読みやすくなっています。
横の「i」はインフォメーションボタンで、マニュアルを見なくても、ほとんどの操作を教えてくれるそうです。
またボタン部分の凹凸がほとんどありません。清掃しやすいようにとの配慮からです。
閉めたらこのディスプレイは見られませんが、運転状況が分かるLEDが配置されています。
正直、ここまで壁と同じようにするのか、という思いはありますが、ここまで徹底されると気持ちがいいですね。
■使いやすさ3 大容量
60cm幅は、ずばり12人分の食器茶碗、汁椀、湯呑み、大皿、中鉢、中皿、箸、スプーン、ナイフ、フォークで一人分が洗えるそうです。
その秘密は、バスケットにある無数のピンにあります。
数が多い上、いろいろな方向にセットできる。
入れ方に困ることは、まずなさそうです。
■業務用のノウハウと洗剤メーカーのコラボが織りなすトップ「洗浄力」
ミーレは、洗浄力は「時間」「温度」「機械力」「洗剤」により決まるとしています。
しかも、バランスで成り立つとしています。
例えば、エコで「温度」を低くする時でも、例えば低温でも活性する酵素の入った「洗剤」で補うわけです。
ミーレは化学メーカーではありませんが、ドイツは一流の化学メーカーが多い国でもあります。
さるメーカーとコラボして、ミーレの食洗機専用の洗剤を販売しています。
また、ミーレの洗浄技術は世界でもトップクラス。
多分、大学で生物学、化学を学んだ人で、ミーレの洗浄機にお世話にならなかった人は少ないのではないでしょうか。
この業務用機のノウハウが活かされているわけです。
3つのスプレーアームも長めであり、庫内のどこも均等に洗うことができます。
鍋から、薄手のワイングラスまで、問題ありません。
ちなみに2011年、ワイングラスで有名なリーデル社の繊細なクリスタルグラスを洗える唯一の洗浄機として推奨を受けており、グローバルで2社間のパートナーシップを結んでいるそうです。
■水も電気も節約
先ほど、60cm幅の場合、12人分の食器が洗えると書きました。
もし手洗いの場合、どれ位の水が必要でしょうか?
計算の仕方にもよるのですが、149.8Lだそうです。
ところが、G6000シリーズのエコプログラムだと、9.9L。
比較になりません。
また洗い物が少ない場合は、これ以下の水で洗えますからね。
通常は、6.5L程度だそうです。
前のモデルのG5000シリーズは、8Lですからスゴいモノです。
電気代の節約はもっと人間臭いです。
例えば、東京電力では、プランによっても変わりますが、夜の電気料金が安い。
安い時に、洗うと電気代は節約できるわけです。
そのためのエコタイマーが付いています。
ちなみに、音は44dBとかなり静か。台所と寝室は離れていることが多いので、寝を妨げたり、隣から怒鳴られるようなことは、まずないと思います。
■家に準じたデザインが選べる多様性
ビルトイン型食洗機、G6000シリーズですが、本当に多種多様。
45cm幅モデルで、7種類、60cm幅モデルで、12種類、計19種類があります。
今回、ノック・トゥ・オープンを紹介しましたが、把手がいい人もいると思います。
それも用意されています。
本当に使い勝手がよく、満足度の高いのは、お仕着せではなく、カスタマイズ品なのですが、それに近いモノが手に入るわけです。
押しつけがましくない、そこにあるべきデザイン。
イイ感じです。
■ドイツ テスト誌の評価
IFAで、ドイツ「テスト誌」の話を書きました。
(新製品:“IFA2014″ ドイツ受けする展示、あるいはドイツの商品テストのこと。シーメンス・ブースにて。)
ミーレは、そのテスト誌の評価で、45cm幅モデル、60cm幅モデル共に、トップをとったそうです。
■ミーレという会社
「Immer Besser 〜常により良いものを〜」
ミーレに関わる人から必ず聞く一言です。
欧州で初めて家庭用の食洗機をミーレが出したのは、1929年。日本は昭和4年。
今から85年前だそうです。
10月24日にニューヨーク市場で株価が大暴落、世界恐慌の年でもあります。
その時の価格で80万円。
失業者が道に溢れた時代ですから、ビジネス的には失敗だったそうですが、それで諦めなかったそうです。
以来、85年間。
ユーザーとの間に築かれた太い絆、信頼は大きな綱となっています。
良い製品、高価格とは、メーカーが良くいう言葉ですが、それが実現できているのは、本当に稀。
ちょっと採算が苦しくなると、コストダウンから始まり、質を下げる方向に進み、最後、全盛期と似ても似つかない程、ショボい状態になって、そのカテゴリーから手を引くのが実に多いです。
信念を貫くというより、「諦めない」ように感じます。
コツコツコツコツ、積み重ねる。
で、納得出来るモノを世に送る。
よく言われるのは、「20年持つように作っています。」
(100%保証ではないので、お間違えなく)
こうありたい会社の1つですね。
2014年10月5日