日立の洗浄力、仕上がりにこだわった
ドラム型洗濯乾燥機、ビッグドラム「BD-V9700」
ドラム型洗濯乾燥機は、2010年で洗濯乾燥機の構成比5割を超えておりました。
ところが、2011年の震災以降この構成比がタテ型と逆転。
僅かづつですが、タテ型の洗濯乾燥機の比率が増えています。
では、ドラム型とタテ型で何が違うのでしょうか?
一般にドラム型は乾燥機能に優れ、タテ型は洗浄機能に優れるといいます。
理由は何でしょうか?
それは世界的には特殊な日本の環境にあります。
世界でもまれに見る軟水で、なおかつ雨が多く水量が豊富。しかも、大陸の川に比べると河川が急であるため、水が淀まない。
こうなると俄然、その水を活かした洗濯機というわけです。
これが日本の縦型洗濯機です。
豊富な水を洗濯槽の中にタップリため、衣服を回転。
洗剤を十分衣服に染みこませると共に、服と服、服と槽壁面をこすりつける、擦り洗いです。
では、ドラム型が育った欧米は、どんな環境なのでしょうか?
水は硬水、大河はあるが標高差がないため、中々水が進まず、ともすれば淀んでしまう。雨量も多くはありません。
しかも米国などは砂漠を幾つも持ちますからね。
このため欧米では、節水を旨とします。
で採用したのが、衣服を上から下に落とすことを利用した叩き洗いです。
水をタップリ使うのではなく、ドラムの上、下の高低差を利用するわけです。
しかも、水はお湯にして使います。
硬水は中のミネラル成分のため、泡が立たなかったりしますが、お湯にすることで洗剤を最も有効に使える(=中に入っている酵素が最も活動し易い)ようにするのです。
昔は、タテ型洗濯機の上に、ドラム式の乾燥機が当たり前でした。
が、欧米は洗濯機もドラム式なので、1台にしてしまうことができます。
洗濯機、乾燥機は、場所をとりますのでね。
そう考えたわけです。
震災以降、電力環境の悪化に伴い、乾燥回数が減ります。
ドラム型のメリットが、薄くなります。
すると悪いところが目に付き始めます。
それが「洗浄力不足」というわけです。
■日立:BD-V9700 の洗浄力向上のアプローチ
9月20日より市場出荷が開始された、日立のドラム型洗濯乾燥機 ビッグドラム:BD-V9700。
日立がこの洗濯機に、導入した技術は極めて日本的なものでした。
そう日本に豊富にある水を使ったのです。
もともと日立洗濯機の考え方は、水をたっぷり使い洗う。
たっぷり水を使うことのメリットは、1度落とした汚れを再度洗濯物に付着しないようにできることです。
いくら洗浄力のある液体でも、汚れていたらどうでしょう。
当然ですが、汚れは付着します。
特に液体の量が少ない場合は、顕著です。
また少ない水で、長時間叩き洗いを行いますと、繊維が十分伸びません。
よじれ乱れますね。
ゴワゴワした仕上がりになります。
このため日立は、汚れの再付着による「黒ずみの低減」と繊維が伸びないことによる「ごわつきの低減」を行うため、新「ナイアガラ洗浄」を導入しました。
まず、使う水の量を20L⇒25Lと、5L増やしました。
これを循環させて使うのですが、2013年モデルが60L/分なのに対し、80L/分。
25%水量アップで対応します。
このために新型循環ポンプと幅広のシャワーノズルを導入しました。
これで「黒ずみの低減」を行います。
また、水量が多くなりましたので、多彩な洗い方を効果的に使うことができます。
今回のポイントはもみ洗いです。
叩きつけ、よじれた繊維を、もみほぐしてやるわけです。
動画で確認してください。
■黄ばませないために
人間でも体の手入れをしますよね。
暴飲暴食を慎み三食きちんと食べる、早寝早起き、などから始まって、運動をしたり、マッサージをしたりしますよね。
面倒だといえば、その通りなのですが、一度病気になると大変ですからね。
旅行すらできなくなります。
衣類も同じこと、一度ダメになるとなかなか元に戻りません。
例えば黄ばみ。
白い衣類だと漂白という最終手段が残っていますが、そうでないモノは、とても厳しい。
とにかく、黄ばませないことが重要。
黄ばみは、繊維に皮脂汚れが付着、それが落ちきらずに酸化することにより発生します。
黄ばませないためには、皮脂汚れを落としきることが重要です。
■温風ミストシャワー
皮脂汚れなどの有機的な汚れに対応するのは洗剤の役目です。
冒頭にも書きましたが、洗剤を有効に使うには、洗剤の酵素成分を活かすことです。
これは単純。海外の洗濯機と同じようにお湯を使えばイイ。
お湯といっても熱湯ではありません。
風呂の温度位が丁度イイ。
酵素は人間も体内反応で、有効活用しています。
つまり人間の体温などが、丁度働きやすい温度なのです。
だから、風呂の温度でイイわけです。
日立は洗剤を散布するときの温度を上げました。
名付けて「温風ミストシャワー」
洗いに入る前、洗濯物に洗剤を散布するのですが、その時の温度を上げたのです。
ここでミストにしたのは万遍なく衣類に撒くためですね。
具体的には、約35℃のミストシャワーを間欠に30回、合計1.1L吹きつけます。
活性化した酵素が汚れを落とす。
その後は、たっぷり水を使うナイアガラ洗浄です。
汚れを再付着させません。
こうして、黄ばみの原因になる皮脂汚れを取り去ってしまうのです。
■風アイロン
ドラム型洗濯乾燥機は、乾燥機能も重要です。
タテ型とちがい、十八番といってもイイ機能ですから、ここの機能も十分考え抜かれています。
今回は、湿度コントロールをしたシワがよりにくい風アイロンです。
アイロンは、どちらかというと面倒な家事に入る上、時間が掛かります。
1枚のシャツにアイロンを掛け、折りたたむのに必要な時間は、上手い人で約4分です。が、一般的には6〜7分でしょうか?
シャツ3枚で、20分。
出してセットし、片付けると30分ですか。
結構時間が掛かります。
アイロン掛けで時間がかかるのは、シワが寄らないよう服をピンとさせるのに時間が掛かるからです。
シワの過多で、労働時間が「倍」位変わります。
アイロンがシワを取ることができるのは、高温スチームです。
水分でシワの部分を元の状態に戻してやり伸ばすわけです。
日立の「風アイロン」もこれと同じ原理です。
乾かすのでも、淡々と乾かせばイイわけではありません。
まず、ドラムを高温にしてドラム内を高温高湿にします。
服のシワを伸ばせる状態にするのです。
そこに、時速300kmの風を当てるといいます。
83m/秒。
台風の最大瞬間風速の記録に迫る風です。
ちなみに最高記録は、1966年9月5日に台風18号が宮古島気象観測所で記録しました。
このエネルギーですからね。
シワはかなり伸びます。
結果は写真の通りです。
商品のより詳しい情報は、日立のホームページにてご確認ください。
http://www.hitachi.co.jp/
2014年10月4日