新製品

“IFA2014″ ハイアール アジア
インターナショナル社長 伊藤嘉明氏、大いに語る


スマートハウス。
ホーム・マネージメント・システム。
いろいろな呼び方をされますが、バラバラに動いていた家の家電を1つのシステムとして扱おうという考え方です。
例えば、サムソン・ブースのスマートハウス。
大画面曲面テレビ、大型空気清浄機、ロボット掃除機、食洗機に冷蔵庫、そして全自動洗濯機。
いろいろなところで高い評価を受けた家電が、勢揃い。
壮観という言葉がピッタリです。

そしてそれらが、スマートフォンでコントロールできる・・・。

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最も違和感を覚えた台所の機能。
TVがシームレスに見られます。
電話が受けられるとある。
これがスマート・ハウス???

ちょっと待ってください!
予め組んだプログラムで動くのなら、スマートフォンでなくても、リモコンでもいいんじゃないないの?
組み合わせだからできることって何なの!?

細かい設定ができるのですよ・・・。

うーん。
まだまだだけど、日本で進められているHEMS(ホーム・エネルギー・マネージメント・システム)の方がシステムらしい!

と違和感覚えまくり。

家電の未来像を描ける人はいないんか! と思いながら、立ち寄ったハイアール・ブース。
ここで図らずも、ハイアールアジア・インターナショナルの伊藤社長に会い、家電の未来に関するお話を聞くことができました。

 
■伊藤社長が感動したモノとは
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手振り、身振りを交え、いろいろ話してくれた
ハイアール アジア インターナショナル社
代表取締役社長兼CEO 伊藤嘉明 氏

伊藤社長は、IFAは初めてとのことでした。
そんな伊藤社長が感動したモノは、IFA最大画面サイズ:110インチの曲面テレビ。

曲面テレビは、人を包み込む感じなので、視野がその映像でほぼ満たされます。
これは映画などが好きな人だとたまりません。
快感です。

やはり、ソニーでソフトの経験がある人だからかなぁと思いましたが、次の言葉は違いました。
「裏面が良かった。」
このテレビ、実はテレビをパーティション(仕切り)と使っても可笑しくないように、デザインされているのです。
なるほど、「常に、今とは違うモノを考えているんだな。」とわかりました。

 
■ハイアールとは?
中国メーカーであることは、皆さんもご存じのことと思います。
が、多分ほとんどの方は、それ以上のことは知らないのではないでしょうか?

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ハイアール アジア インターナショナル社の
スローガン

ごくごく単純にいいますと、世界の白物家電メーカーの中でNo.1メーカーです。
少なくとも白物家電に関しては、世界トータルだと、韓国のサムソンも、日本のパナソニックも、ハイアールにかなわないのです。

そんなハイアールは何が強いのでしょうか?

スゴい技術があるのでしょうか?
高い開発力があるのでしょうか?
それとも販売力が高いのでしょうか?

ハイアールの強みは、余り「自社」にこだわらないことにあると思います。

必要に応じ、必要なモノを取り込んで行く。
つまり目的に対し、外部も含め、人材、資金、技術を取り込んで行くことをします。
イイものなら他社をも取り込む。
逆に言えば、他社からすると、取り込まれてもイイと思える位の魅力を出さなければなりません。

ハイアールの魅力は何でしょうか?
私が聞き及んでいる限りでは、徹底した「成果主義」ということです。

ハイアールから魅力ある他社の部分は、必ず「実力」を持っている。
ただし、一般に持っている実力をそのまま評価するメーカーは少ない。
どんな会社にも、「批評」を専門にする上層部があり、それが変わることが余りないことが多い。

ところが、ハイアールの成果主義は徹底しています。
成果により、給与の昇進、降格があり、ポジションは部下の投票で決まると言いますので大変です。
大変な会社といえますが、モノ作りとしては非常に「活性化」されたメーカーといえます。

 
■伊藤社長の思い
アジアエリアを統括する伊藤社長は、IFAを見学して、今ハイアールが取っている、アンチバクテリア・テクノロジーと家電をWi-Fiでつなごうとしていることに関しては間違っていないと思ったそうです。

ただ、総合家電メーカーが提案している、スマートホーム・システムに関しては違和感を抱いたそうです。
「何故、全部自社の製品で固めるのか?」

世界No.1のシェアを持つ会社のアジアエリアの社長がこういうのです。
普通は、自社の製品で囲い込むのが普通です。
ところが、伊藤社長は「違うと思っている。」と言います。

「オープン・プラットホームで、どこのメーカーの家電もつなげられることが重要なのでは」と言います。
「それをやりたい」というのです。

 
オープン・プラットホームは、別の言い方をしますと「場作り」です。

 
例えば、昔「オーディオ・カセット」というメディアがあり一世を風靡しました。
Webで見ますと、最近も使っている愛好家がいるとかで、まだ生き残っています。
このメディアの「場」は、オーディオ・カセットを開発したフィリップスが特許を取らなかったことで作られました。

その当時は、オープン・リールと呼ばれるオーディオ・メディアが全盛の時代。
小型ではあるものの、音が悪いオーディオ・カセットはダメだと思ったからかも知れません。

が、これで「場」が出来ました。
何たって、特許料=ライセンス料がないので、開発した分だけ利が取れるのです。
オーディオ・カセットは、1963〜2000年位まで旬。
結局、今まで最長の約40年間メジャーなオーディオ・メディアのポジションを獲得したわけです。

 
もし、ハイアールが「場」を上手く作ることに成功すれば、家電の世界は変わる可能性がグッと開けます。
あとは、その場に、どんなデザイナーが集まるかです。
デザイナーの描く画が魅力的なら、間違えなくブレイクします。
つまり、家電の世界は変わるわけです。

 
実は、今の日本のHEMSは、場作りの要素は整っています。
各社技術もありますし、家電通信の共通言語「エコーネットライト」が策定されています。
本当なら、所有しているA社の冷蔵庫、B社の洗濯機、C社のエアコンに対し、D社のサービスを適用できるわけです。

ところが、A社、B社、C社共に、自分の会社のシステムへの対応でなければ保証しないと言うのが現状です。
ユーザーは、A社とD社のサービスを比較して、D社を選んだのですが、A社はD社のサービスに対し、A社の動作を保証しないわけです。
サービスは必ずしもメーカーが行うわけではありません。
優れた会社の、いや個人の場合もあるかも知れません。
そうなると、家電の動作自体は分からないわけです。

言い方を変えると、メーカーの横暴とも言えます。
きつい言い方になりますが、そういう気持ちになるわけです。

 
同じ横暴でもちょっと違うのが、アップル社です。

違いは、スティーブ・ジョブスは、「ビジョンを持って、それを世界に提示した」ことです。
それが魅力的だと、皆、お金を払うわけです。

 
そう、オープン・プラットホームがうまく動作するには、魅力的な「ビジョン」が必要なのです。

 
さて、この伊藤社長のオープン・プラットホームのコメント。
行うは難しですが、活力のあるハイアールですからね。

 
ところで、このようなテストを行い易いのは、実は日本ではなく、タイだそうです。
もしかしたら、タイでビジネスの骨格を組み上げた後、独自ビジョンを持って、日本に上陸する可能性とかもあります。

 
いずれにせよ、ハイアールの動きから、眼が離せません!

2014年9月24日

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