ここ1年、手首にJAWBONE「UP」を付けています。活動量計の有用性を確かめるためです。
その「UP」ですが、ある所から「トラブル」を起こさないように「UP」が改良されているとの話を聞きました。
外観同じで中身が変わっていることは、ままあることですからね。
気になったのは「トラブル対応」ということ。
左手に付け始めて1年経ちますが、全く問題はありません。
ということで、アマゾンのカスタマーコメントなどを通読してみると、トラブルがあることがわかりました。
■アマゾンのカスタマーレビューの分析
症例は割と共通しており、「2〜3ヶ月で、充電ができなくなり、使えなくなる。」というコメントです。
「新品を代品として送ってもらったが、それでも同じ症状が出る」とする人も多い。
2014.08.16の時点で、「【日本正規代理店品】UP by Jawbone ライフログ リストバンド ミディアム オニキス ALO-UPM-OX」を見ると、147レビューありますが、評価結果は以下の通りです。
星 | レビュー数 |
★★★★★(最高) | 43 |
★★★★ | 33 |
★★★ | 18 |
★★ | 15 |
★(最低) | 38 |
更に、解析してみましょう。
まずはセオリー通り、時間軸で並べて見ましょう。
「UP」の日本発売は、2013年4月20日。
最低評価である「★」は、2013年7月〜8月にピークを迎えています。
初期に売られた「UP」には、何かトラブルが起きそうな要因がありそうです。
私の持っている「UP」は、2013年8月頭に、渋谷公園通りにあるアップル・ストアで購入したものです。
実は、2013年3月に、ヨドバシカメラに予約して、7月まで商品が来なかったので、見つけた瞬間に買ったわけです。
ヨドバシカメラへの入荷が、他店より遅かったのは、これが初めての経験でした。
あのヨドバシで買えなかったわけですから、出荷数が全く需要に追いつかなかったわけです。
ちなみに、アマゾンのカスタマービューには、当時の対応の様子が書かれたモノも多いです。
クレーム代品は、通常1週間以内に届けられるのですが、それが2ヶ月位かかった様ですね。
その間、連絡がなかったら、これは頭に来ますね。
が、それ位日本には出荷されなかった様ですね。
私が「UP」を買って、丸一年。
左腕に付けているわけですが、未だに元気に動いています。
つまり、2013年8月に買った「UP」でもトラブルにならなかったモノもあるわけです。
2014年になると、クレーム系のユーザーレビューは収束方向です。
逆に「UP」の簡便で、しかも有用なところのユーザーレビューが、どんどん増えて行きます。
しかし、私の「UP」2013年8月に買ったものですので、トラブルに見舞われたユーザーと同じように時限爆弾を抱えているのでしょうか?
「UP」の新旧を比較することによりトラブルが何であり、どの様な手が打たれたのかを確認して見ようと思いました。
■2013年6月に購入されたUPを解体する
デジタルガジェットが好きな友だちに、メールをしました。
彼が、「UP」でトラブったといっていたのを思い出したからです。
まだ持っているかと聞くと、2013年6月(私より2ヶ月前)に買って8月に動かなくなったので頭にきて、引き出しに放り入れたままということでしたので、生ビール一杯で譲ってもらいました。
まずは「外観観察」です。
端がちょっと歪んでいます。
次にしたのは、「充電」です。
通常付くパイロットランプが全く点灯しません。
20分ほど放置してみましたが、パイロットランプは付きませんでした。
さて「UP」の解体です。
レビュー、友達の話から察すると、「断線」もしくは「電池のトラブル」を考えました。
それが分かるように解体する必要がありますが、中々の難題です。
しかも説明書などには「必ず分解しないで」と書いてありますからね。今回、禁を破るわけです。
怖いのは、感電ですが、「UP」は使用すると10日で完全放電しますので、問題はないでしょう。
それはさておき・・・・
カッターナイフで、外側のゴムを剥ぎます。
すると中は、この様になっています。
電池とCPUが覗けますが、それ以外は柔らかな樹脂で包まれています。
衝撃に対し、かなり耐久性がある構造をしています。
また、今回形が歪だったのは、端が折れていたためであることが分かりました。
■樹脂を取り除くと
次に柔らかい樹脂を取り除きます。
するとシリコンチューブに覆われたケーブルが見えます。
また、一部やや堅めの樹脂に覆われた所もあります。
どうもケーブルの接続箇所の様に思われます。
それをも取り除きます。
予想した通り、樹脂の下からはケーブルがでてきました。
電池には2本。回路2には3本のケーブルが出ています。
■通電=断線していない!
電池とケーブルとの接点は半透明の樹脂に覆われ、触ることはできません。
このため、その手前で通電を確認しました。
テスターがきちんと反応するので、断線はありません。
ついでに回路2に対する部分も測定しました。
3本とも通電します。
要するに、断線ではなく、電池もしくは電池接触部の問題のようです。
特に黒ケーブルの被覆がほとんど取り去られており、漏電しやすそうな感じになっているのが気になります。
■もったいなけど、新品も解体
比較するために、新しいUP(赤色)を用意しました。
まずしたのは外観チェックです。
するとボタンのデザイン(ドットの位置)が違うことがわかります。
クレーム品など(写真黒)はボタン側面にドッドがあり、新しく購入した品(写真赤)はボタンの押し面にドットがあるのです。
どこか改良されているだろうという期待大です。
■違っていた電池周りの仕様
樹脂を取り去ると電池周りが違っていました。
ハンダ付けしてある部分と、ケーブルの被覆です。
電池との接続部の樹脂は非常に堅く、取り去ることはできませんでした。
が、少なくとも電池への接続は、トラブルが起こったモノより、明らかによくなっています。
■シャーロック・ホームズを真似して推理
ホームズはデビュー作「緋色の研究」の中で、水の一滴で巨大な滝の存在を知ることができるのが、真の理論家であると述べていますが、ちょっと飛躍があるます。
が、これは科学論文でないのですから、ちょっと飛躍したことも含めて考えてみましょう。
アマゾンに書かれたユーザービューを読んでみると、使い始めてから2〜3ヶ月でトラブルが目立ちます。
要するに、2〜3ヶ月で充電池がダメになるわけです。
パッケージには記載されていないのですが、ネットのあるサイト(原宿に店舗を持つAssist Onです)によると、電池はリチウムポリマーバッテリーだそうです。
メモリー効果がありませんので、継ぎ足し充電も問題ありません。
優れた特徴を持つ電池です。
が、弱点もあります。
過放電、過充電に弱いことです。
そこで思ったのは、充電方法です。
USBで給電する規格を「USB Battery Charging」といいますが、0.5〜1.5Aと定められています。
ところが現在はなんでもUSB給電の時代。
このため急速充電器が出まわっています。
こちらは、規格違い。
「USB Power Delivery」といい、電流は2A、3A、5A。
一番使われるのは、2A。実機では、1.8A〜2.1A位です。
が、これは諸刃の剣。
リチウムポリマーバッテリーはデリケートですから、「USB Battery Charging」しか対応していない場合は、あっさりダメになります。
特に注意が必要なのがタブレットの充電器です。
例えば、i-Phoneの充電器が「USB Battery Charging」に対し、i-Padの充電器は「USB Power Delivery。」
ただアップル社もトラブルを未然に防ぐため、i-PhoneはUSB Power Deliveryにも対応できるようになっています。
要するに急速充電器を使うと、「USB Battery Charging」しか対応していない場合、かなり早くバッテリーの寿命がきます。
この急速充電器と同じような状態を作るのが、ショートです。
回路というのは、全部を線を電気が伝わり、初めて安定した電流が流れるわけです。
が、ショート(短絡)した場合は、電気が伝わらない。
余っているわけです。
過剰電流となるため、当然充電池が持ちません。
電池周りの配線を変えているということは、ショートする可能性があったのではないでしょうか?
もしくは、急速充電器を使う人が余りにも多いので、途中から「USB Power Delivery」に対応できるようにした。
これが「UP」改良の真相ではないでしょうか?
逆にいえば、今販売されている「UP」はバッテリー関連のトラブルはないと考えられます。
アマゾンのユーザーレビューの傾向も、それと合っているように思います。
ちなみに、UPは、1時間の充電で、ほぼフル充電されます。
このため急速充電器は必要ありません。
私は、一週間に一度、USBハブから充電しておりますが、60分で完全に100%充電。
問題があったことはありません。
■ここも変わっていた!
友だちからもらったUPが折れていた部分ですが、ここはどうなっているのかを確認して見ました。
ここも改良されていました。
1つは、樹脂の強度です。
写真でわかっていただけないのが残念ですが、カッターをまるでよせつけないのです。
手触りで樹脂差は分かりませんが、とにかく堅い!
折れる可能性は皆無でしょう。
2つめは、ケーブルの留め具です。
単純な四角に近い形ではなく、大きく足を開いたような人の形。
樹脂はのり付けだけでなく、はめ込み&のり付けですから、形が複雑であればあるほど、接触面積が増えるため外れにくくなります。
すべきことがなされているという感じです。
■まとめ
新品を1つバラすことになりましたが、現在販売されている「UP」は電池周りの配線が強化されていることがわかりました。
多分、トラブルが、急速充電器未対応だったために発生したことへの対応だと思われます。
スマホの普及で、急速充電が一気に一般化されましたからね。
状況証拠を並べると、現在の「UP」はこのようなことはなく安心して使えるものと想定されます。
が、精密機器ですから、メーカーの推奨条件で対応することをお勧めします。
さらに力がかかり折れやすいだろう末端部も改良されているので、もう安心という感じです。
ところで、この「UP」ですが、実はお買い得品でもあります。
ワイヤレス機能以外は「UP24」と同じことができるにも関わらず「UP24」より5,000円も安く、実売価も1万円を切っています。
「ウェラブルの24時間の活動量計を試してみたいっ」という人にはとくに手頃といえます。
「UP」を買うか、どうしようか迷っている皆さんのご参考になればと思います。
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