白米は最高のご馳走。
少しでも贅沢ができる日本人は、白米を食べ、その美味しさに涙したものです。
少しの漬け物だけで、本当に白米を一杯食べたようです。梅干し弁当は、その名残のようです。
脚気を足の病気と捉えている人がいますが、大きな間違いです。
脚気は、心不全と末梢神経障害をきたす疾患ですから、死に至る病です。
原因はビタミンB1と判明しています。
ところが、そういう情報があり、食品も多くあるのに、現在脚気の人口は増えつつある様です。
理由は2つあるようです。
1つは、ジャンクフードだそうです。美味しさを追求する余り、栄養バランスが偏っているモノがあり、そればっかり食べていると脚気になるようです。
2つめは、偏食ですね。アルコール、砂糖の分解で、ビタミンB1は消費されますので、アルコール、砂糖の大量摂取する人も掛かりやすい。
人間、健康に生きるのは大変なことです。
■玄米食という方法
脚気にならないようにする方法の1つに、玄米を食べるという方法があります。
しかし、玄米はそう美味しいモノではありません。
昔、坂本龍一氏が監修した「気分転換法77」(1987年、扶桑社)で、気分転換法の1つに「玄米を食べる」というのがありました。
尾籠なお話ですが、出るものが「ツルン」と出て快感というのです。
また、出るものの状態が食べ物に寄らないともあります。
これはスゴいことです。
試してみました。
まさにその通り!
なのですが、長くは続けられません。
「美味しくない!」
ちなみに、本でも、最終的には「玄米」ではなく「玄米酵素」の錠剤で試したそうです。
玄米の方が栄養豊かであることは知っていても、大勢は白米です。
手間、保存、種々のことを考えても、玄米がイイのですがね。
味の違いは、それほど大きい。
美味しく玄米を食べることができるなら・・・。
が、これがなかなか難しい。
■どうして玄米は美味くないのか?
理由は2つですが、原因は1つです。
米の表面に大量の糠が付いていることが原因です。
まず糠が美味しくない。
次に、白米の様に上手く炊けない。
炊くという行為は、白米の中に水分を入れ込む行為ですからね。
糠なんてものがあったら、なかなか上手く水が入って行きません。
玄米であれば保存がきくことでもわかるように、糠はいろいろなものから白米を守っています。
さてこの米の鎧ともいえる糠、どうすればよいのでしょうか?
昔は一晩、水につけて糠中の白米に水を含ませた後、炊いたそうです。
しかし、「早炊き」を多用する現在には合わないですね・・・。
■玄米の炊き方
さて、今回その難題に挑戦するは、三菱 蒸気レスIH「本炭釜」です。
他社との最大の違いは、加圧機構を持たないことです。
加圧調理器として有名なのは「圧力なべ」。
大気圧以上の圧力を加え、封入した液体(基本は水)の沸点を上げ、食材を通常より高い温度と圧力の下で、比較的短時間でより美味しく料理する器具です。
現在有名なのはT-falですかね。海外ブランドです。
しかし、日本製も第二次世界大戦前からあります。
理由は、玄米です。
徴兵制度の時代ですからね。健全な男子は一人でも多い方がいい。
しかも、日清戦争からそれまでに、脚気で命を落とした者は数多く一説によると戦死者よりも、脚気による死亡者の方が多かったといいます。ビタミンB1の補給は必須命題だったのです。
戦争の度に、科学は発達します。
日本の圧力なべは、そうしてできました。
玄米を上手く炊くためです。
似たものに、「無水鍋」があります。
これは羽釜の鍋版です。
羽釜は重たいフタを持っている上に、ふきこぼれのおねばで隙間をふさいでしまう。
簡易的な圧力鍋です。
この鍋も玄米を上手く炊けます。
三菱の炊飯器には加圧システムこそ付いていませんが、蒸気密封型です。
無水鍋と同等というわけです。
■三菱 蒸気レスIH「本炭釜」
先の新製品発表会で食べた、三菱 蒸気レスIH「本炭釜」の玄米はとても美味しかったです。
味は玄米なのですが、十分に水分が入って、パサパサしていない。
聞いてみると、通常なら白米より圧倒的に時間がかかる吸水を、吸水時に熱をかけることにより、白米より20分程度長い位の時間で、「玄米炊き」できるようにしていることです。
その上、三菱には水分を米の中に入れる「芳潤炊き」モードを持っています。
下のデーターが示す通り、水分を十分中に取り込んだモードです。
この「玄米芳潤炊き」ですが、「玄米炊き」とセットしてから炊きあがる時間は同じなので、ただただ感心するばかりです。
が、白米を炊く時との違いもあります。
白米は現在、いろいろなスーパーでも銘柄米を売っています。
ブランド米です。
このため白米の場合、米20品種に対し、おいしく炊き分ける「銘柄芳潤炊き」が付いています。
しかし、玄米は「芳潤炊き」のみ。
銘柄で差が出しにくいのかも知れません。
■美味しい玄米を求めて
一口、二口は良いのですが、真に美味しく食べられる玄米はあるのでしょうか?
ここでいうのは、2膳、3膳でも食べられるということです。
とにかく試してみるしかないと、コシヒカリを基準にいろいろ食べて見ました。
玄米で、差が出るかって・・・。
見事に出ます。
白米と似た傾向ですが、微妙に違います。
米の柔らかさ(=水分量)と甘味がポイントなのは変わりませんが・・・。
結果、美味しかったのは「ミルキークイーン」でした。
これを食べた時は、ビックリです。
玄米特有のプチプチ感の中から、ほんのり甘い味は、新しい美味しさといえるレベル。
元々、自分が好きな味でもあるのですが、米自体が有する水分量が多いのが有利に働いているのだと思います。
玄米を食べて美味いと感動する時があるとは、実は思いませんでした。
■長所と短所
最大の長所は、ご飯が美味しいことです。
2014年モデルは、玄米まで本当に美味しいのですから、文句の付けようがありません。
次に、内釜がそんなに重くないことが上げられます。
米を入れて磨ぎ、水を入れてセットするわけですから、かなりの重量。
これに重量級の内釜がプラスになると、女性にはかなりの負担になります。
その上、収まりがよく、キレイ。
リビングから見えるキッチンですから、やはりキレイなのがイイです。
短所も幾つかあります。
1つは、毎回洗わなければならないパーツが多いことです。(上写真参照)
2つめは、洗浄のためのパーツを外すと蓋が開きっぱなしになることです。(同写真参照)
ただ、ちょっといじってやると蓋は閉まります。
3つめは、白米は5合炊けるのですが、玄米は3合までです。
ここも注意が必要です。
■まとめ
現在、ベストな炊飯器の1台です。
白米、玄米を問わず、美味しいご飯が炊けるので、ワクワクします。
ワクワクするのは、イイ調理家電に共通した特徴でもあります。
美味しいモノを作るので、当たり前といえば当たり前ですが・・・。
ちょっと手間が、かかるのは、・・・・ご愛敬ですね。
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