ミーレが、新しい掃除機を発表しました。
リファインに、リファインを重ねてきた紙パック型と、最新のロボット型です。
87年間、いろいろな掃除機を作ってきたミーレの最新モデルをご紹介しましょう。
■ミーレの哲学と掃除機の歴史
ミーレは、「人々のより豊かで快適な暮らしを目指すこと」を物づくりの原点とし、「Immer besser(常により良いものを)」信条とします。
創業者がいるメーカーは、多くの場合同じ気持ちだと思います。
ただ、時が経ち、上に立つ者が変わると、変わることが多いですね。
株式会社で有る限り、利益追求ですからね。
「売れる物が良いモノ。」になるわけです。
ちょっと古い話になりますが、「マイナスイオン」はそんな家電の代表でしょう。
何となく健康に良さそうということで流行した家電です。
効果が不確かということで公正取引委員会が指導しましたが、大騒ぎでした。
「売れる物が良いモノ。」になると、こんなことも起こるわけです。
ミーレは非常に面白い会社で、創立以来115年間、ファミリー経営を続けている会社です。
同族経営は、悪い時には会社がバラバラになりますが、同じ文化の下で生活しているわけですから同じ方向を向いた時は強いです。
日本にはありませんが、欧州にはブランドに対して賞を贈ります。
欧米には、ブランドは資産価値があるとしますので、当然です。
ドイツ国民が選ぶ「best brands」という賞がありますが、ミーレは、これで2013年トップなのです。
1つ、2つのヒット商品を出したというわけではなく、常に良い商品を出し続けてきたわけです。
またサービスも良いのだと思います。
ちなみに、ミーレは耐久20年を標榜しています。
では、そんなミーレは作ってきた掃除機は・・・。
ミーレの歴史にサイクロン掃除機はありません。
また、スティック型もありません。
これは非常に面白いことだと思います。
多方面に手を伸ばすと、当然開発メンバーを増員する必要があります。
自分が持っている技術を徹底して磨く。
中でも、1993年にHEPAフィルターを導入したこと。また2009年の9層の紙パック(ダストパック)は釘をも通さぬタフネスぶりです。
これはできそうで、なかなかできることではありません。
こういったところにも、その会社の特徴は現れてきます。
■KAJI-DAN(家事男子)ユニット
最近は男も家事をするようになりました。
ミーレの調査によると、普段家事をする男は約6割。男性が手伝う家事は、「食器洗い」「水回りの掃除」「部屋の掃除」だそうです。
面白いのは、男子の家事は週末・休日に集中していることです。毎日ではありません。
後、男はやるなら徹底型です。それだけに女性より上手いという自惚れもあるようです。
いずれにせよ、積極的に家事をこなす男性は男女ともに賛同だそうです。
というわけで、ミーレは今回の掃除に対し、メンズモデルユニット「BEIB(ベイブ)」をKAJI-DAN(家事男子)に任命しています。
しかしいきなり、掃除機を持って踊られたのにはビックリしました。
よくみると、1980年代のイギリスのロックミュージシャンにも似た動きでもあり、ユーモアが漂います。
動画ではありませんが、楽しんでください。
■パック式掃除機、Compact C2 3機種
ミーレが2013年に、キャニスター掃除機の購買理由を調査した結果によりますと、以下の通りです。
1. 掃除性能
2. 使いやすさ、取扱のしやすさ動かしやすさ
3. 丈夫さと耐久性
さらに調査しますと、掃除性能では、「ゴミの吸引」「きれいな排気」が重要だそうです。
Compact C2 の特徴はこれを意識したもので、3つの特徴があります。
●掃除性能
吸引力の実証実験から始まりました。
200kgを持ち上げます。
ここからの説明で面白いのがドイツですね。
見事に理屈っぽい。
ミーレによると、吸引力(ダストピックアップ率)はモーターの力だけではなく、50%以上は接地面(ヘッド(ミーレではノズルと呼称))の能力だそうです。
それに流線的な空気の流れ。
最後に高性能モーターだそうです。
ミーレのヘッドの最大の特徴は、メタルプレートとその形状です。
日本メーカーの掃除機とは違いますね。
これは基本がカーペットと、フローリングだからだと思います。
カーペットの場合、ゴミは繊維の奥にまで入り込みますので、なるべく密着性を上げて吸い込むのが有利です。
しかもメタルはカーペットの繊維と絡みませんので、摩擦も小さい。また耐久性も良いというわけです。
これに流線的な空気の流れ、高性能モーターが加わります。
他の部分でも出てきますが、ミーレは made in Germany です。
どこで生産しても同じという考え方は確かにありますが、医薬、化学、精密工業、モータリゼーションをリードしてきた国が自分の所で作ることは、意味があることだと思います。
ユーザーに、より確実に、イイ品質なものを届ける。
重要なポイントです。
●清浄力
次は清浄力です。
まずは、例の9層の紙パックですね。
これ何度も触らせてもらい、カットオフもさせて頂きましたが、唸ります。
余りにも「スゴい」のです。
「釘を吸っても破れない」と表現しますが、そういう言い方でなければならない程、「スゴい」。
これにモーター保護フィルターが1層。排気フィルターが1層。
計2層のフィルターが加わります。
そして1層の排気フィルターはセレクトすることが可能です。
ちなみに、HEPAフィルターで、排気の中のダスト数を計る実験をしましたが、ダスト検出されず。
また、活性炭入りのアクティブクリーンフィルターは、中にコーヒーのカスを入れた時も、臭いがでませんでした。
双方とも効果は抜群。
アレルギー体質のお子さんを持っている方は、HEPAがイイかも知れません。
また、紙パックは長期間ゴミを入れた状態で使いますから、アクティブクリーンフィルターをスタンダードで使うのもイイ選択かも知れません。
フィルター名 | 内容 |
エアクリーンフィルター | 0.3μmの微粒子を99.9%集塵(IEC60312)。9層のダストバッグでとりにがした小さなゴミも逃がさずキャッチ |
アクティブクリーンフィルター | 0.3μmの微粒子を99.95%集塵(IEC60312)。フィルターに搭載され活性炭が嫌いなニオイも73%吸着。 |
HEPAエアークリーンフィルター | 0.3μmの微粒子を99.9998%集塵(IEC60312)。DIN/EN 1822/2011に基づいた試験結果よりHEPA13等級に分類される最上位排気フィルター |
が、フィルターに関してはそうはいきません。
キーパーツであるからです。
この紙パックですが、容量:3.5L。
月当たりのゴミは平均:1.2Lですので、3ヶ月程度もつ計算です。
年:4枚。
ちなみにミーレのハイクリーンセットには、ダストパック:4枚。エアクリーンフィルター:1枚、モーター保護フィルター:1枚入って、1,620円(税込)。
サイクロン掃除機のダストボックスの掃除時間を考慮すると、むしろ安いと感じる人がいられるかも知れません。
●耐久性
made in Germanyは、高性能ですが、もう1つの特徴は耐久性ですね。
良い例が、クルマにカメラ。ベンツもライカも長持ちです。
特にベンツは実用性が高く、ドイツではTAXIの多くがベンツです。
ベンツの特長もミーレと同じです。
価格が高いのと、商品を短期間で開発しない。
じっくりとテストを重ね設計するわけです。
そして、考えられる限りの品質テストを行う。
実は、新興メーカーが陥りやすい問題はここです。
最終的な品質管理を行うのは人です。
機械は言われたことしかできませんが、人は違いますからね。
きちんとした「人」が確認、保証することが重要なのです。
「お金」「時間」も大切です。
made in Germany の連呼は、そういうことだと思います。
ちなみにミーレは、20年使える設計だそうです。
つまり今年買ったモデルは、2034年も使えているということです。
「そんなの分からないじゃないか!」との声も当然あると思います。
が、そのような意志を込められた商品というのは、やはりタフです。
例えば、こんなあり得ない想定でも、楽々クリアです。
●ラインナップ
今回の追加ラインナップは3つ。
先に、Cat & Dog用のラインナップがありますので、計4つになります。
スタンダード(カナリーイエロー)の、39,860円を中心に、入門用(レーシンググリーン)の29,970円、最上位機種(ネイビーブルー)が79,920円です。
どこが違うのかというと、ハンドルとヘッド、そしてアタッチメントです。
バランスの良いのは、スタンダードですね。
色もカナリーイエローですし、ポップな雰囲気はやる気がでます。
では、入門用を買うと損なのかというとそうではありません。
確かにハンドルもコンフォート型ではないですし、裏にメタルが付いたヘッドでもありません。
が、ミーレの場合は必要に応じて、買いそろえることができるのです。
例えば買って10年。
年を取り、体力も落ちてきたとすると、コンフォートハンドルを追加買いするわけです。
ミーレでは、そんな使い方が可能なのです。
このためにも、ミーレを買う場合は、ショールームでのチェックをお勧めします。
お試しで、性能が実感できるのもいいのですが、あれこれ相談に乗ってもらえるからです。
買い換えではなく、あるものを上手く使う。
重要なことだと思います。
■ロボット掃除機
日本でも増えてきましたが、海外は既婚女性が仕事をすることは当たり前。
ロボット掃除機は、彼女たちに大人気です。
自分が、別の仕事をしている間に、掃除という家事を終わらせてくれるわけなので大人気なわけです。
ところが、この掃除機、現在の所完全に掃除できません。
やはり、人間にはちょっと及ばない。
それでも大人気なのは、少々ゴミが残っていても日常生活に支障はないからでしょう。
しかし、それでもロボット掃除機の目標は、どうやって人間の掃除に近づけることができるのかです。
初めてロボット掃除機を世に出すミーレの解答は、新型のナビゲーションシステムでした。
●ロボット掃除機のナビゲーション・システム
今までのナビゲーションは、大きく2つに大別されます。
1つは、ランダムナビゲーション。
I社に採用されている方式ですね。
同一スポットを4回、方向を変えて通ることにより掃除します。
問題点は、2つですね。
1つめは、動きがランダムで同じ所を4回通過ですので、足で稼ぐ感じです。
効率としては悪い。
2つめは、完全に全て場所を通過するわけではないことです。
こちらは、バッテリー切れなどを含め種々の理由があります。
もう1つはシステム・ナビゲーション。
部屋を何らかの方法で認知し、部屋に形に沿い掃除する方法です。
こちらの問題点は、精度が良くないことですね。
全てのエリアをカバーしないことが多く、非通過エリアは、ランダム・ナビゲーションより多い位です。
また、ミーレによると、こちらの方は壁際がキレイでないそうです。
■スマートナビゲーション
ミーレの新型ロボット掃除機は、「Scout RX1」といいます。
右に写真があります。
さて、特徴は・・・。
そう天面に、デジタルカメラを持っていることなのです。
RX1のナビゲーションシステムは、「ジャイロセンサー」と「デジタルシーリングカメラ」で成り立っているのです。
ジャイロセンサーというのは、回転を感知するセンサーです。このため、これの履歴を取りますと、置かれた位置を基準にして、部屋の中、どの位置にいるのかが分かります。当然、部屋のどの位置にいたのか、自分が掃除してきた箇所も分かります。
また、電子コンパスを搭載しているので、どちらの方向に行っていないかが分かります。また、障害物にぶつかった時、どちら側に回ればよいのかの指示も出します。
ジャイロセンサーが、ハンドル&履歴の役目をするなら、「デジタルシーリングカメラ」は地図の働きをします。
撮しているのは天井です。
1分間に7回程度、画像処理を行い、部屋の形を割り出すわけです。
そうするとルートが決められるので、電子コンパスとジャイロセンサーの出番です。
動き出すと、デジタルシーリングカメラの情報はチェック情報として働きます。
なるほど精度が良くなるわけです。
GPSを使っても、室内形状の把握はできないでから。
効率のよい掃除方法を採用したので、1回の充電で掃除可能な時間、2時間で150m2。
電車約三車両分の掃除が可能だそうです。
ちなみに、暗闇でもデジタルシーリングカメラは問題ないそうですが、5mという高さ制限があります。
その他の、主な特徴は次の通りです。
●入ってはいけないエリアを作ることができるマグネットストリップが標準で付属。
●2時間の充電で、2時間掃除可能。
●段差は、2cmまで乗り越え可能。最大を4mmに設定することも可能。
●高さ9cm×幅38cm以上のスペースがあれば、掃除可能。
商品のより詳しい情報は、ミーレのホームページにてご確認ください。
http://www.miele.co.jp/jp/domestic/home.htm
■関連記事
ショールームへ行こう! ミーレ篇 ミーレ・センター目黒