「体感してもらうために作りました!」
ハーマンの直営店で、東京ミッドタウン店、開店!
ハーマンインターナショナル(以下ハーマン)というオーディオメーカーがあります。
会社名は知らなくても、傘下のブランド名はきっと聞いたことがあると思います。
アニメ「けいおん!」で澪ちゃんが使っているヘッドフォンブランド「AKG」。大統領の就任演説を始め、アメリカの国家行事に必ずと言っていい程使われる「JBL」。マニア垂涎の「Mark Levinson」等々。
何気に書いていますが、「音」好きの私としては、ブランド名を聞くだけで、ウズウズしてきます。
そのハーマンが、今度、直営店を出すことになりました。
場所は、東京「六本木」ミッドタウンです。
■六本木というエリア
通常、オーディオで何かするなら、「銀座」「秋葉原」「新宿」がメジャーエリアですね。
銀座は、数寄屋橋交差点ソニービルの「ソニー」、マロニエ通りのパイオニア プラザ銀座の「パイオニア」、また二丁目にはLINN GINZAの「LINN」などがあり、製品の展示と共に試聴も可能です。
秋葉原は、ショップですね。今は「ヨドバシカメラ」「アバック」「テレオン」が御三家でしょう。
新宿も同じ。ここは当然「ヨドバシ」そして「ビックロ」が二大巨頭ですね。
改めて見ると、六本木は買い物するためのお店は余りないですよね。
他のエリアは、まさに買い物エリアです。
ちなみに銀座は、有楽町まで直ぐの場所です。有楽町には「ビックカメラ」があります。
逆にほとんどの人は、まず六本木に買い物には行きません。
が、昼間の六本木もかなりの人通り。サラリーマン以外も多くいます。
実は「新国立美術館」「森美術館」「サントリー美術館」が立ち並ぶ、一大美術エリアなのです。
また音楽もかなりのモノ、坂を赤坂側に下ると「サントリーホール」があります。
言わずと知れた、クラシックの名ホールです。
ジャズは「ピットイン」こそなくなりましたが、麻布には「東京ブルーノート」があります。
そんな中、東京ミッドタウンのサントリー美術館と同じ場所、同じフロアにオープンしたハーマンの直営店。
何を発信しようとするのでしょうか?
■ハーマンが見ている市場
オーディオ市場から次々撤退している日本メーカーに対し、年商5,100億円で成功しているハーマンは、どんなマーケティングをしているのでしょうか?
今回冒頭のプレゼンテーションで、説明を受けました。
オーディオを、従来の「エントリー層」⇒「ミドル層」⇒「マニア&ハイエンド層」で、オーディオカテゴリーの中でどんどん進化して行く趣味ではなく、「ヘッドフォンで聴く人」「デジタル・ガジェットで聴く人」「ピュア・オーディオで聴く人」に分類しなおして、ステップ・アップしないとしたのです。
単品コンポがイイという考えを打ち破ったのは、CDラジカセです。
ラジオに比べ、CDのパフォーマンスがスゴすぎた、というより、ど素人でも分かる特徴を持っていたためです。
「ノイズレス」です。
レコード、カセットに比べ、これほど明確な特徴はありません。
ノイズレスですから、音質は兎も角、とにかくクリアに聞こえます。
CDが流行って暫くすると、歌謡曲はなくなり、バンドの時代になります。
CDで一気に底辺ユーザーが拡がったのに対して、彼らが好む音楽を供給する必要に迫られたわけです。
誰とは言いませんが、ずいぶん酷いのもありましたね。
この後、若者は音楽より、別にお金をかけなければならないものが出てきました。
「ケータイ」に「PC」です。
これでは、ピュア・オーディオには中々辿り付けません。
オーディオという趣味の人口が減ります。
これは、昔オーディオのエバンジェリストをしていたような人が、PCのエバンジェリストになったためだと思います。
良い兄貴分がいて、初めて成り立つことが多いですから。
ウォークマンという素地もあり、外に出ることが多い若い連中は、スマホ&ヘッドフォンに流れます。
仕事でも、家でもPCを使う30〜40代は、PCを使いこなそうとするガジェット派。
ハイレゾに、AMP、スピーカーというピュア・オーディオ派は、お金と時間に余裕がある定年後というわけです。
■直営店がなすべきこと
直営店を出す意味はいろいろあります。
が、ハーマンは大きく2つに絞ってあります。
「ブランド体験&認知」と「感動体験」です。
民生用ブランドだけで、「AKG」「harman/kardon」「JBL」「Mark Levinson」の4つありますからね。
店は展示スペースを3つに、そして試聴室を付けた構成になっています。
■「harman/kardon」
一番端は、「harman/kardon」スペース。
ここは床、壁とも黒がベースです。
「harman/kardon」は高級ブランドです。
高音質でもありますが、デザインも魅力的。
ニューヨーク近代美術館のパーマネントコレクションに選定されているものもあります。
素材も透明樹脂、アルミなどですから、バックが黒だと映えます。
直営店は、どの機材でも試聴ができるというので、ヘッドフォンの「SOHO」を試聴してみました。
小型ながら、インパクトのある低音が出ており、モノが違うのが瞬時に分かります。
ちなみに壁には、吉川龍 画伯の画が掛けてありました。
そんな雰囲気が似合うブランドです。
尚、この画も売り物です。
■「JBL」
今、アメリカのオーディオと言われたら、多分「JBL」「BOSE」「Apple」でしょうね。
「JBL」は、歴史も古い。
プレゼンで見せられたのは、あの「パラゴン(Paragon)」型式:D44000。1958年に発売されたJBL初の3ウェイスピーカー。JBLスピーカー製品の中でも名機中の名機として知られている。販売終了は、1988年。借金しても買っときゃよかった。
JBLのコーナーは一転して、白です。
清く、正しく、美しくを地で行く雰囲気。
一番外側に、JBLのヘッドフォン、PCガジェット。
音が良く、コストパフォーマンスは非常に高いものが多い。
正直お買い得です。
その後ろには、ミニコンポと中型のスピーカー群。
筐体のネット下部分がウルトラマリンブルーに、ホワイトコーン。
その後ろ試聴室の壁の部分には、大型スピーカー。
と、量、質共に全盛期のアメリカがある感じですね。
このコーナーで感心したのは、JBLのポスターを販売していたことです。
ブランドを形作るのは、商品だけではありません。
このように雰囲気を伝えることは重要です。
ちなみに一番欲しかったのは、JBLのオールインワンのシステム!(未発売品)
滅茶、カッコイイです。
■「AKG」
AKGは、ヘッドフォンですので、基本的には壁展示です。
AKGはharman/kardonとは別音ですね。
ステージの下ではなく、ステージの上で聞いている感じ。
前に前に出てくるパワフルな感じではなく、拡がるナチュラルさが持ち味。
これも全機種試聴可能。
ま、ざっとですが、こんな感じです。
若者は、JBL中心ですね。
イイモノが欲しければ、AKGへ。
harman/kardonは、音ではなく、ライフステージが違うという感じがします。
いずれにせよ、ブランドのイメージがよく伝わって来ます。
■試聴室は、聴くところではなく、「体感する」ところ
オーディオもそうですが、お酒、コーヒー、お茶などの嗜好品は、あっという間に趣味になりやすい。
何故でしょうか?
それは、「感動体験」があるからです。
最近の若い人はオーディオにはお金を使いません。
それは音楽が嫌いだからでしょうか?
そんなことはないです。
例えば、富士フェスに毎年の様に行く若者が多いように、ライブを楽しむ機会が増えたのではと思います。
ライブは楽しいけど、お金が掛かります。
それなら普段は節約して、年に4〜5回ライブを楽しもう!
そんなノリです。
ライブより「スゴい」音があります。
実際にあるのです。
ベストの客席なんて、ほとんどないですからね。
今まで聴いてきた音楽を全部聴き直したくなります。
その音で感動してくれると、オーディオにお金を掛けてくれるようになると思います。
レポート頭で、エバンジェリストがいなくなった話をしましたが、直営店がその役をするわけです。
それを踏まえての視聴室です。
機材は、Mark Levinsonのシステムに、JBLの最高峰EVEREST DD67000MA。
マニアだったら一度は使ってみたい組み合わせ。
こちらは別途レポートする予定ですが、とても面白そう。
ちなみに夜は9時までオープン。
会社帰りのデートにも使えます。
六本木に新しい名所が、オープンしましたことお知らせします。
詳しい情報は、ハーマン・インターナショナルのホームページにてご確認ください。
http://www.harman-japan.co.jp
2014年7月19日
タグ: AKG, harman/kardon, JBL, Mark Levinson, ハーマン, ハーマンインターナショナル, 東京ミッドタウン, 直営店, 試聴室