豆知識

アレルゲンのお話
02 喘息の現状


6月11日、レイコップによるプレスセミナーと、ふとんクリーナーの新エントリーモデル「LITE」の発表会がありました。
その中で、「喘息と睡眠不足」の話がプレスセミナーとしてされました。
そのセミナー内容の喘息部分を中心に、喘息の現状の話をします。
■喘息って何?
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プレスセミナーの講師
ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック
院長 永倉 仁史 氏

皆さんは、どこかで喘息という言葉を聞いたことがあると思います。
が、どんな病気か知っていますか?

医学的には、以下の通りです。

「気道の慢性炎症と種々の程度の気道狭窄と気道過敏性の亢進、そして臨床的には繰り返し起こる咳、喘鳴、呼吸困難によって特徴づけられる。
気道狭窄は、自然に、あるいは治療により可逆性を示す。」

 
ちょっと分かり難いですが、1つ1つ紐解いて行きましょう。

冒頭が体内に起こっていることですね。
気道というのは、空気の鼻から入って肺に達するまでの道を指します。これがずっと炎症、つまり腫れているわけです。
腫れていますので、気道は狭くなります。

また、気道過敏性というのは、気道に対する刺激に対し、過敏に反応することを意味します。
つまり、タバコの煙などで刺激すると、気道が狭くなることを意味します。

臨床とは、通常、病床の患者の対処を意味しますが、ここで臨床的にはとあるのは、患者の症状のことです。
気道が狭くなっているのかは、体内ですから分かりませんが、症状として「繰り返し起こる咳」、「喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)」、「呼吸困難」が出ると言うわけです。

次の文章は、喘息は「発作」を起こしますという意味です。
喘息は、気管の炎症ですが、一寸した炎症では気道はそんなに狭くならないのです。
日常生活も問題ありません。運動をした時など、息苦しいと感じるレベルです。

ところが、気道過敏性ですので、ある刺激に対しては一気に気道狭窄が起こります。
そうすると、喘息の症状が一気に出ます。これが「発作」です。

この気道狭窄ですが、医者による治癒で気道を拡げることもできるのですが、自然に気道が拡がることもあります。
つまり、我慢していると「発作」が収まることがあると、言うわけです。

 
では、実際はどうなのでか、20年間喘息で苦しめられた経験を簡単に話しましょう。

通常時は、普通の生活ができます。
薬も飲まなければ、体育を休むようなこともありません。

が、春と秋の季節の変わり目が大変でした。

ある日、突然発作が、夜7時位から始まるのです。
呼吸音がゼーゼーとなると、どの様な体勢を取っても苦しい。布団の山にもたれかかるのが、やや楽な姿勢で、他の姿勢が取れない。
無理強いすると咳も出るのですが、吐きます。
午前2時過ぎでも同様。
朝、5時頃体力負け、でうつらうつら。

昼は、ヒューヒューという呼吸音ながら、動けます。
病院へ行くのですが、当時はよい発作を抑える薬がありませんから、取りあえずという感じです。
学校にも行けませんので、本とTVばかり見ていました。

とにかく、この時期、夜が来るのが怖かったです。

こんなのが1ヶ月も続くのです。
発作時は強烈に、そうでない時はそれなりにノドを絞められているわけです。

それが10月も中頃になると、嘘のように発作が起きなくなる。
また日常が戻ってくるのです。

喘息とは、この様な病気なのです。

 
■喘息を考えるべき3つの因子
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プレスカンファレンス時に
使用されたスライド(以下同じ)

現在、喘息に関しては3つの因子を考えるべきとされています。
1つめは、「個体因子」です。
遺伝子素因、アトピー素因、気道過敏症、性差、出生時体重や肥満等です。
個人個人で状況が変わる因子なので、個体因子と呼ばれます。

2つめは、「環境因子 発病因子」です。
アレルゲン、呼吸器感染症、大気汚染、喫煙、食物、鼻炎等です。
私の場合は、1歳の時発病。
山口県徳山市(現周南市)の石油コンビナートの排ガスでした。

3つめは、「環境因子 増悪因子」です。
2つめが、第1回目の発作原因です。こちらは喘息の発作を起こす要因と考えてください。
アレルゲン、大気汚染、呼吸器感染症、喫煙、食品・食品添加物、鼻炎、という「環境因子 発病因子」以外に、運動、過換気、気象、薬物、感情変化とストレス、過労、刺激物質、二酸化硫黄・黄砂、月経・妊娠、肥満、アルコール等が上げられています。
一度、喘息にかかってしまう(=気道過敏症になってしまう)と、少しの刺激で発作(=気道狭窄)が起こってしまうのです。

 
■喘息 2つのタイプ
喘息は、今までよく2つに分けられました。
「小児喘息」と「大人(成人)喘息」です。

これ以外にも分け方があります。要因で分ける方法です。
「アトピー型」と「非アトピー型」です。

アトピー型というのは「環境アレルゲンに対する特異的IgE抗体が存在するもの」が特徴です。
環境アレルゲンというのは、患者の周囲にあるアレルギー原因(=アレルギーを引き起こす物質)のことです。
特異的IgE抗体は、その環境アレルゲンに対し、即時反応を起こす物質のことです。
ハウスダスト、ダニ、カビ、花粉、動物の毛、等に即時抗体反応が始まり、それが発作につながるわけです。

非アトピー型というのは、特異的IgE抗体がない場合を意味しますので、アレルギー反応は起こしません。
では、どの様なものに反応するのかと言うと、普通の人でも刺激があるものです。
タバコの煙、香水、風邪、気温・湿度の変化、汚染大気、などです。

 
小児喘息の多くはアトピー型と言われていますし、また大人喘息の60%もアトピー型だそうです。

 
私が、特異的IgE抗体の反応検査したのは、小学校4年ですから、今から40年位前です。
でアレルゲンと認められたのは、ハウスダストとブタクサの花粉でした。
その時、言われたのは、ほとんどの人は「ハウスダスト」に反応すると言うことでした。

 
そう、ハウスダストがない環境だと、多くの喘息の患者は発作が起きにくい分けです。

 
■喘息は増加傾向
現在の喘息有症率は、
年齢 調査回収数 有症率
0-4歳 1,804人 13.6%
5-14歳 3.714人 10.9%
15-64歳 24.174人 6.0%
65歳以上 6,781人 9.7%
出典:喘息予防・管理ガイドライン(2012)

で、人口の内、小児喘息:10%以上、大人(成人)喘息:6〜10% が発症しています。

 
P1000224小児喘息をピックアップすると、1990年頃、「小学生」で1%を超えると、数年しないうちに「幼稚園」「中学生」「高校生」共に1%を超え、2012年には、幼稚園:2.13%、小学生:4.15%、中学生:3.22%、高校生:1.90%ですので、まさに増加しています。

 
喘息の原因がハウスダストですので、日本の家に「ハウスダスト」が増えていると言えます。

 
■発作を引き起こすハウスダスト量
ハウスダストは、家の中にある塵埃のことですが、アレルゲンとされるのは、「ダニの死骸、ダニのフン」です。
どれ位あったらダメかというと、WHO(世界保健機構)が調査、基準を定めています。
感作 2μg/g塵(Der1量) ダニ100匹相当
発作 10μg/g塵(Der1量) ダニ500匹相当
感作というのは、アレルゲンに対し抗体反応が始まる時を言います。
また、Der1は、ふん由来のアレルゲンの事を言います。

1μgは、1/1000gですから非常に微量です。

ちなみに、神奈川県で行われたある調査では、44%の家庭から10μg/g塵が見つかったそうです。

 
■日本の風土、住環境
詳しくは「ダニの話」をお読み頂きたいのですが、問題になるダニは「チリダニ」です。
このチリダニ、温度:25〜30℃、湿度:60〜80%以上で繁殖します。
日本の夏は、ダニの繁殖にはピッタリの条件なのです。

昔の人は、どう対処してきたかというと、「換気」です。
風通しを良くし、湿度を下げるわけです。

現在の日本は・・・。
断熱材が多く入った家。温度的には良いのですが、湿度はこれからの大きな課題です。

 
条件が書いてありませんが、(財)日本予防医学協会が、寝具中のDer1の調査データーがあります。

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■喘息は環境改善で良くなる
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Amazonでも買えます。
喘息で悩んでいる人は、是非!

医師に対し、特定の病気に対する対応法をまとめたものを「ガイドライン」と呼びます。
どこを見て判断する、どんな薬を使うのかなど、こと細かに書いてあります。
喘息のガイドラインもあります。

喘息の場合、「喘息予防・管理ガイドライン2012」というものがあり、喘息の患者をお持ちの皆さんに非常に有用な情報が入っています。

大きなのは掃除の仕方ですね。
20秒/m2が規範です。

思い出したのは、パナソニックのハウスダスト・センサーを使った時と、レイコップでの実演です。
掃除速度が、ほぼこのレベルです。

普通の人だと、イラッとするレベルですが、喘息の発作の苦しさを考えると、何てことありません。
後、これからも掃除機の排気はHEPAフィルター並みのクリアさが必要だとも言えます。

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2014年6月15日

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