「ニクイねぇ!」
三菱電機 B to C 新ブランド戦略発表
先頃、「新製品」のコーナーで紹介しました三菱の「冷蔵庫」「掃除機」「炊飯器」の2014モデル。
「なるほど!」「よくできている」と思っていましたら、三菱から次の提案がされました。「B to CB:ビジネス、C:コンシューマーの意。メーカーが民生用(一般家庭用)の商品、サービスを行う場合に使われる。対比語は、B to B。メーカーがビジネス用の商品(原材料、各種部品)などを提供する場合に使用する。 新ブランド戦略」です。
■B to Cって何?
昨今、B to C を主にやってきたメーカーが、B to B をメインにしますという話は良く聞きます。
これは何故でしょうか?
ビジネス用途の商材と言うのは非常に明確です。
××のサイズ、××の特性、××の規格を満足、××の特許・環境対策ができていること。
その商材を、××個、××円という単価で売りましょう、買いましょうと言うわけです。
で、これが契約で決まるのです。
一端結んだ契約を破棄するとなると、莫大な違約金が発生しますので、多くの場合は契約通りに薦められるわけです。
つまり、その期(もしくは年)の収支の見通しを得やすいのです。
しかし、パーツですので、そんなに高い値付けをすることができない。
そのパーツために、組み上がった製品の値が高くなり、市場競争力がなくなるとダメですからね。
逆に、絶対に必要だけど数量はそんなに必要ない、という場合もあります。
この時は、値付けをかなり高く設定します。
医療などはこれに当たります。
B to Bビジネスというのは、地味だが確実というビジネスです。
実は最近のB to Bビジネスには、余録があります。
国際市場が一般化した現在、携帯機器などは、ブレイクすると凄まじい数になるためです。
端的にいうと、ブレイクすると現行品の10倍、いやそれ以上ということもあります。
契約外ですから、計画外。
嬉しいわけです。
しかも売れなかった時のリスクは、Cビジネスのメーカーが取ってくれるわけです。
このため、B to Bビジネスには、今や B to Cビジネスができる強いメーカー(=良い技術を持ったメーカー)が、参入しています。
では、B to Cビジネスとは何んでしょうか?
これには、故スティーブ・ジョブスの言葉を当てましょう。
スカリーをペプシ社から引っこ抜いた時の言葉です。
「残りの人生も砂糖水を売ることに費やしたいか、それとも世界を変えるチャンスが欲しいか?」
B to Cビジネスは、最終商品を作り出すが故に、世界の文化を作り出すことが、変えることができる可能性があるのです。
が、当然売れなかった時のリスクは大きいです。
B to Cビジネスの場合、メーカーは商品を通じてユーザーと会話し、自分を分かってもらわなければなりません。
今だけでなく、ずっと付き合って欲しいことをアピールするわけです。
幾分、婚活とも似ています。
B to Cビジネスのキーは、「ビジョン」と「商品」なのです。
ただそれを支えるのは、実は「技術」ではなく、「経営者の思い」でもあります。
「商品」への思い入れが強く、それが好きな理由と将来像を明言できるオーナー経営者が強い理由が、そこにあります。
■日本市場の位置づけ
各メーカー共、B to B と共に多く発言するのがグローバル化です。
全世界から見れば、日本の人口は、たかだか1億数千人。
それは確かです。
しかし、本当に日本市場は魅力のない国なのでしょうか?
私はそうは思いません。
グローバル化した企業でもそうだと思います。
例えば、個人的なグローバルビジネスを展開するF1ドライバーを例に取りましょう。
F1ドライバーのビジネスは、クルマを速く走らせることです。
遅いドライバーは、即リストラです。
各国のサーキットを転々とするF1ドライバーは、ホームコースを持っています。
生まれた国の、よく走り込んだコースがそれにあたります。
自分の走りに迷いが生まれた時、ベストなのは自分のホームコースを走ることだそうです。
馴染んだコースですから、現在といろいろなところで比較できます。
で、現状突破のヒントが見えるというわけです。
そう、自分の確固たるアイデンティティーの基盤として、日本は大切だと思います。
また、日本は独特の習慣がありますが、消費者レベルは非常に高いため、ここで勝ち抜くには、視点、技術、商品とも優れたモノが必要です。
■ブランドの価値
最近、日本メーカーのブランド資産が下がった様にいわれ始めてから、マスコミが取り上げることが少なくなりましたが、メーカーで重要なポイントにブランド戦略があります。
特に重要なのは、「冷蔵庫」と問われた時点で「三菱」が思い浮かぶ「純粋想起」と、「三菱」といわれた時の「感覚」です。
例えば、ルイ・ヴィトンを例にしますと、「バッグ」と問われると出てきますね。
つまり、販売している主力商品とキチンと結びついているわけです。
では、「ルイ・ヴィトン」は、どうでしょうか?
「高級」「耐久性高い」「高価」「カッコイイ」「セレブが持っている」・・・。
実は、このイメージがないと、店に置いてあってもないのと同然という場合が多々あります。ブランド認知度は大きな違いとなるのです。
特に情報過多の時代、「知らない。」、「いらない。」という人は多いです。
■で、三菱の B to C戦略は?
単純にいえば、三菱電機の「日本市場でのポジションをより確固たるモノにする」ということです。
今回、追加された方法は3つです。
1つめは、三菱電機のブランドロゴを、国内・海外共に統一。
あのスリー・ダイヤモンドが復活です。
品質的にはカッチリした印象となりますが、ちょっと重さも感じます。
2つめは統一キャッチフレーズです。
「ニクイねぇ!」
アイコンのピースサインも今風です。
Facebookで、「いいね」「コメント」では足らないと議論されている昨今、「いいね!」の上に入れて欲しい位です。
3つめは生活者の共感、実感を得る訴求。
民生用の場合、訴求はいろいろあります。
一番大きなモノはもちろん商品ですね。
イイ性能で、それを感じられるデザインの商品は、まさに「ニクイねぇ!」
次はCMです。
ネット時代でも、大きな影響があります。
後、カタログ、ネット情報も重要です。
今回、三菱はCMの中に、イメージを膨らませる家族設定と、「ニクイねぇ!」を入れ込むとのことです。
前置き部分を動画でお楽しみください。
CMは、6月10日より放映です。
また、当日は様々な調理家電の紹介がありました。
冷蔵庫:WXシリーズと炊飯器:蒸気レスIH 本炭釜は、レポート済ので、次回、レンジグリル:ZITANG と IHクッキングヒーター:びっくリングIHをレポートします。
詳しい情報は、三菱電機のホームページにてご確認ください。
http://www.mitsubishielectric.co.jp/index_p.html
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2014年6月14日