コーヒーをとことん楽しむとは、「香り」と「味」を楽しむことです。
自家焙煎は、自分の好みにロースティングできますから、それを自分でコントロールすることができます。
とは言うモノの、言うはやさし、道険しです。
具体的に、初心者はどう追い込んで行けば良いのでしょうか?
■基準を決める
嗜好品で最も重要なのは、自分のリファレンスを決めることです。
例えば、駅前の××で買った△△の豆を、○○で挽き、□□で淹れたコーヒーと言うわけです。
情報は詳しければ、詳しいほど、目指す位置が明確になります。
好みは、その人のあり方によっても変わりますので、とりあえず決めでも、なんら問題ありません。
まず重要なのは、目指す味に自分が辿り付けることですから。
まず、リファレンスと同じ銘柄の生豆を購入します。
できたら店の人から「生豆」を分けてもらうのがベストです。
次に、Gene Cafeで焙煎します。
マニュアルに「コロンビア 200g 235℃ 16分 で ミドルからハイロースト」「ブラジル 200g 230℃ 16分 で ミドルロースト」とあります。
「200g 230℃ 16分」を1つの基準として、Gene Cafeと焙煎に慣れましょう。
焙煎の進み具合は、コーヒー豆の色、「パチパチ」と爆(は)ぜる音(クラック音と言います)、出てくる煙の状態などで目安が付きます。
新しい条件を探す時の手がかりになりますので、これら「色」「音」「煙」という3つの要素が分かるようになると面白いです。
ちなみにクラック音は、2度します。
1回目は、化学反応により出てきたガス(水と二酸化炭素)によりコーヒー豆が拡がるため、2回目は、ガスがもっと膨張し、コーヒー豆の組織を壊す時と言われています。
温度は、1回目:180℃、2回目;210℃ と言われています。
■じわじわ要素を振る
上は、Gene Cafeに表示される温度をグラフ化したものです。
私が試した所、クラック音は15分前後でした。(1回目のクラック音が耳にしませんでした)
Gene Cafeの表示温度と、豆の温度に差があることが分かります。
さて標準条件(コロンビア豆 230℃ 16分)で焙煎した豆を、酸味がやや立ったバランスでした。
個人的には、もう少し深入りした方が好みです。
ただここで注意したいのは、淹れ方、味わい方だけでなく、豆のエージングも合わせると言うことです。
エージングは保存するのと同異義語ですが、食品に関しては、味を調える意味もあります。
言うなれば、「寝かしたカレー」の様なものです。
味が「円やか」になります。
焙煎直後は、味が立っていますのでね。
酸味を抑えるには方法が2つあります。
温度を上げる方法と、時間を長くする方法です。
いずれの場合も、苦みを増す傾向となります。
具体的には、設定温度を230⇒235℃に、16⇒17分にしてみました。
結果は次の様でした。
全て5日間エージングしてから、飲み比べをしています。
条件 | コメント |
230℃ 16分 | 酸味が強い。 |
230℃ 17分 | 苦みが出てきて、バランスは良くなる。もう少し苦みが強い方が好み |
235℃ 16分 | やや酸味が後退した感じ。17分ほどは味が変わっていない。 |
■Gene Cafeの使いこなし
焙煎という行為を、単純にいうと、コーヒー豆の温度を200℃ まで上げ、約10分煎るという行為です。
この時クラック音は「必ず」します。
していないということは、豆の温度の上がりがイマイチということです。
Gene Cafeで余りクラック音がしない理由を考えてみました。
思い当たったのは、熱風の熱が十分にコーヒー豆に伝わっていないのではということです。
200g位ですと。焙煎容器の底に「少し」という感じです。
要するに熱風が、コーヒー豆に十分当たらず排気されてしまうのではと考えたわけです。
通常の焙煎機は、「ダンパー」と呼ばれる排気システムが付いています。
これにより、熱対流をコントロールし、温度を調節するのです。
例えばこれを閉じてしまうと、熱が排気と共に外に逃げませんので、中の温度が上がると言うわけです。
しかし、そのままだと燻されるのと同じですので、どうしても煙臭くなります。
ダンパーの調整は、腕の見せ所というわけです。
しかし、Gene Cafeに、そんなシステムはありません。
同じ速度で、焙煎容器の中の熱風が送り込まれる仕組みです。
その風を遅くしてやるとイイわけです。
風の調整機能など有りませんが、これは豆を多く入れることで対応できます。
豆の量が多くなると言うことは、豆の間をすり抜ける風としてはすり抜け難くなるため、滞留時間が長くなると言うわけです。
200⇒300gにすると、クラック音はかなり明確に、多く聞こえます。
Gene Cafe自体は、250gをMaxとしております。
しかし上手く使うということから考えると、300gがベターと思います。
この判断はユーザーの方に委ねましょう。
自己責任の範囲内です。
■豆、1回に焙煎する量を決め、詳しいデータを取る
Gene Cafeで取れるデーターは多くはありません。
温度の上がり方、豆の色、クラック音が主です。
色、クラック音はアナログですので、数値に直しにくい。
しかし、あと一つ変化を感じられる方法があります。
豆種、豆量、設定最高温度、設定時間に加え、温度の下げ方も、一定にし終了後の「豆の重さ」を計るのです。
つまり蒸発した水分量を記録するわけです。
この水分も、10%がイイという人、20%だという人など、いろいろな方がいます。
自分の舌を信じて、決めて行きます。
これらを繰り返すと、どんな状態なのか、だんだん分かってきます。
どこに注意すれば良いかが見えてきます。
同時に、安い焙煎機で、直火焙煎に挑戦するのもいいかも知れません。
より焙煎の意味が分かります。
データーを取ろうとする人は、基本的に好奇心旺盛ですので、コーヒーに関していろいろな情報を取られることと思います。
しかし、こと焙煎に関しての情報は、思った程情報はないです。
しかも、取りようによっては、極めてあやふやです。
味に直結する部分なので、余り出したくないのかも知れませんし、アナログ的なことが多いので書くのが難しいのかも知れません。
私としては、オーディオのレコードプレーヤーの使いこなしを思い出します。
例えば、カートリッジ針の針圧にしても、メーカーがいう適正値では満足しないのです。
ギリギリまで重くしたり、飛び跳ねる寸前まで軽くしたり、いろいろな要素を自分が納得するまで変更し、音の違いを楽しみました。
私見ですが、焙煎も似ていると思います。
セオリーは確かにあります。
が、自分でいろいろ試して見るのが楽しいですし、一つ深い境地に辿り着きます。
自家焙煎の茶店のマスターと仲良くなれば、いろいろなことを聞くことができますし、それは面白いモノです。
■収支計算
実は焙煎は、もう一つの側面を持っています。
それは金銭的にもお得ということです。
生豆は、焙煎したコーヒー豆に比べ安く取引されます。
有名農園のAA品でも、100gで400円位ですね。
コーヒー店で焙煎したものを買うと、良心的な所で700円位でしょうかね。
この差額を使って、Gene Cafeの収支を算出してみましょう。
15g/回、1日3回飲むとすると、1月で4050円の差額です。
Gene Cafeの本体売価を、75,000円とすると、18ヶ月でペイできる計算。
豆にして24kg強。80回越す焙煎となります。
電気代も考慮しても、2年間で元が取れることになります。
■更に焙煎を極めようとする時にも役に立つ
Gene Cafeのいい点は、多いです。
汚れない。チャフが飛ばないのはありがたいです。
操作が楽。条件が決まれば後は自動と言っても過言ではありません。
再現性が良い 等々。
が、一番良いのは、条件さえ間違えなければ、常にそこそこ美味しく焙煎ができること。
これ以降極めようとすると、セミ業務用
また2年間で元が取れますので、そこから別の焙煎法に変えるのも一つの手です。
とにかく焙煎は、面白い!
自分の家で、コーヒー豆から淹れている方で、もっとコーヒーと付き合いたいと考えている人には、価値ある買い物だと思います。
欠点があるとすれば、機能拡張できないことですね。
家電ですから、これはしかたがない。
もう1つの欠点は、上手く焙煎できなかった時の豆です。
嗜好品だけに飲むのが辛いのも事実。
こちらは「臥薪嘗胆」の故事に習い、我慢我慢。
PS.
言い忘れていました。生豆の中には悪い豆が含まれている時があります。時間がある場合は、ハンドピック(手作業)して豆の選別をしてみてください。より美味しいコーヒーを飲むことができます。
■主な仕様
温度調節 | 60~250℃電子温度制御機/1℃単位 |
攪拌方式 | 捻り回転方式(輻射熱) |
電源 | AC100V/1300W |
冷却方式 | 常温強制送風方式(約10分60℃) |
ドラム | 材質:耐熱強化ガラス(PYREX) 用量:最大250g |
加熱方式 | 間接熱風方式(6秒~30分/6秒単位) |
動作音 | 65dB |
製品重量 | 5.5Kg |
製品寸法 | 490(W)×243(D)×229(H)mm |
カラー | ブラック |
商品のより詳しい情報は、珈琲問屋のホームページにてご確認ください。
http://www.tonya.co.jp/shop/c/c0/