思うこと

シャープ、「プラズマクラスター搭載商品
世界累計5000万台出荷達成」で思うこと


昨日、シャープの「プラズマクラスター搭載商品 世界累計5000万台出荷達成」の発表会に出席しました。 その会場で思ったことを述べてみます。
■歴史から窺えること
歴史 上の図は配布資料で、プラズマクラスターのデバイスの歴史です。 2000年から始まっています。
多分、当時は取りあえずの商品化だったと思います。
理由はガラス管電極を使っていますので。ガラス系のパーツは輸送に弱いので、広範囲に販売するには向きませんからね。

「マイナスイオン」流行語としては、2002年がピーク。が、流行し始めた頃です。
売れたと思います。

翌年2001年、大量生産に向くよう、電極を「セラミック電極」にしています。

翌年2003年は、景品表示法が改正され「商品の表示に対し合理的な根拠が要求」されることになります。
最と噛み砕いて言うと、「メカニズム」と、「効果」を示せということです。

実は、これが難しい。
どれ位難しいかというと、実際「マイナスイオン」を標榜した一連の商品がなくなる位です。

 
■「メカニズム」実証の難しさ
新しいモノが生み出される時、発見者は大変です。
理論付けと言われる、メカニズム特定の作業に追われます。
「どうしてそうなるのか」を説明する理論を組み立てるわけです。

Nikolaus_Kopernikus

コペルニクス。
古代ギリシアは、「地動説」だった
という説有り。

例えば、現在「地球は球形をしていて太陽の周りを自転しながら、公転している」という話は、天体の動きを正確に説明するためにできた理論です。
そう地動説ですね。

当時の人々から見るとビックリですね。
動いていると感じられない地面は、実は猛スピードで動いているわけです。
信じられない。

宗教者になると、もっと厄介です。
「聖書に書かれていない。」
神を信じると言うことは、その契約書「新約聖書」を信じることですので、書かれてないと「違う」というわけです。

科学のメカニズムの定義は、「今ある現象を、今の時点で、最も正確に説明できる仮説」です。

端的な例は、STAP現象への笹井氏の説明です。
彼の説明が分かりやすいのは、用語の使い方が適切だからです。

STAP現象と呼ばれる現象を、小保方女史が見いだした。
その仮説論文を、ネイチャーに投稿し掲載された。
その中では、STAP現象を最もよく説明できる仮説として、STAP細胞の存在を示唆するわけです。

小保方女史が「STAP細胞はあります」というのは、当たり前です。
あると確信して「仮説」を組み上げたわけですから。
おっと、脱線、脱線・・・

86-03-1

掲載された論文の一頁。
シャープのホームページより転載。

さて、プラズマクラスターの原理ですが、私が知る限り2003年8月のシャープの技術報告誌「テクニカルジャーナル No.18 通巻86号に掲載された「放電プラズマにより生成したクラスターイオンを用いた気中ウイルス不活化技術」西川和男・野島秀雄 共著が初めてです。
時期的に「とって付けた様な」と、言う人もいらっしゃるかも知れませんが、目に見えないメカニズムをまとめあげるというのは、並々ならぬ努力が必要です。

また重要なことは、シャープはこれをネット上で開示しているということです。

「プラズマグラスター技術」という独立したホームページです。
http://www.sharp.co.jp/plasmacluster-tech/
ただし、私の探し方が悪いのかも知れませんが、シャープのプラズマクラスターのホームページからのリンクが張られてないように思います。

普通の情報は、通常ページからでもアクセスできるのですが、この技術ホームページには辿り着けない。直して頂けたらと思います。  

 
■実証効果1:第三者機関での実験
次は効果です。
この実証が難しい。

通常は第三者機関に委託、実験してもらうのですが、これが難しい。

例えば、リビング:20畳の空間で、インフルエンザウイルスの実験をしたいとします。
第三者機関に委託すると、目玉が飛び出る様な見積もりが出てきます。
理由は簡単です。
双方とも、この世の中にないからです。

まず建物の方から。
よく使われるのは、1辺が1mの立方体の容器ですね。
小さいと消毒、管理などもし易いですから。
逆に大きくなると消毒もし難いですし、空気の流れをどうするのかという問題も出てきます。
とにかく使いにくいのです。
このため第三者機関に出資して、作ってもらう必要があるのです。

次にウイルスです。
ウイルスは、基本的に動物の体内でしか増えません。
つまり、栄養(寒天培養基)と温湿度で管理できる、カビ、細菌とは違い大量に空気中に存在させるのは至難の業なのです。

しかも、通常の実証実験をしてもらうのにも、お金も掛かります。
世のため人のためになる商品を作っていると言えども、限界は出てきます。

シャープもこれには散々苦労しています。
プラズマクラスターの実証実績から、2000〜2003年分を抜粋します。

菌・ウイルス等 菌・ウイルスの解説 時期
大腸菌 細菌の代表種。腸内菌。O-157は大腸菌の一種。 2000.09
クラドスポリウム 黒カビ。空気中に最も多いカビ胞子と言われている。喘息やアレルゲンの原因。食品からエアコンの水までどこでも繁殖する。 200.09
大腸菌 前出 2001.10
白色ブドウ球菌 近年コアグラーゼ陰性ブドウ球菌と呼称される球菌と思われる。感染症の病原体。 2001.10
カンジタ菌 日和見菌。感染症(カンジダ症)の病原体。 2001.10
黄色ブドウ球菌 皮膚、腸内の常在菌。表皮感染症や食中毒、肺炎、髄膜炎、敗血症等致死的となるような感染症の起因菌でもある。 2001.10
シュードモナス 緑膿菌と思われる。日和見菌。 2002.02
エンテロコッカス エンテロコッカス・フェカリス菌と思われる。日和見菌。 2002.02
スタフィロコッカス ブドウ球菌の総称。どの菌で実験したのか不明。 2002.02
クラドスポリウム 前出 2002.02
ペニシリアム アオカビの総称。基本的にカビ毒を出さないため、無害。 2002.02
アスペルギルス カビの一種。日和見感染症を引き起こすことがある。 2002.09
コクサッキーウイルス 夏風邪を引き起こす 2002.09
ポリオウイルス 小児麻痺を引き起こす 2002.09
バチルス菌 多分、炭疽病の原因菌。 2002.09
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) 代表的な耐薬品性の細菌。発症が認められると大問題になる。
ダニの糞、死骸、花粉 ハウスダスト&花粉 2003.09
スゴい数とお思いでしょうか? 実はそうではないのです。病気は俗に四百四病と言われます。数が足らないのです。

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公益財団法人 結核予防会の
2013年のパンフレット表紙

カビ、細菌、ウイルスの数は人間に有害なモノに限っても、知られているだけでかなりの数に上ります。
例を上げるならシャープのリストからは、細菌なら「結核菌」が抜けています。
結核は過去の病気ではありません。
2011年で新登録患者数が22,681人。年間死亡者数:2,166人。
今、問題視されている病原菌です。

結核菌は細胞膜が脂質に富んでいますので、いろいろなものに耐性ががあります。
私は、正直、イオンレベルだと効かないのではと思っています。
しかし「効果がない」ことが分かっているのも重要です。注意できますので。

プラズマクラスター空気清浄機の売り文句は、「浮遊菌の作用を抑える」と微妙な表現です。

 
忘れるところでした。 上の表の花粉ですが、花粉の中のアレルゲン物質には有効ですが、外側の殻をブラズマクラスターイオンで破ることはできないそうです。
これのことはシャープは、きちんと明記してあります。
できないことを明記する勇気は、健康家電では特に称えられるべきと思います。

 
■2004年以降
この様に、2003年の壁を乗り越え、着実に実証データを積み上げているシャープですが、2008年リーマンショックからの金融危機、世界同時不況の影響を受け、2009年には堺の液晶パネル工場の問題で、経営危機となります。

その時頑張ったのが、小型化、高濃度化された第7世代デバイスです。
プラズマクラスターの効果は、イオン濃度に比例して高まりますし、小さければ搭載できるものが一挙に拡がります。

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左)プラズマクラスターを搭載した商品群。バイキンマンのバイは黴、キンは細菌の意味。
右)プラズマクラスターを採用した26社。


今回の発表で26の企業様の製品に搭載とありますが、それが功を奏したと思います。

珍しい採用先で言えば、山形新幹線”つばさ” E3系2000番台に搭載されたのも、2008年10月です。

■実証効果2:素晴らしい実証実験
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シャープのホームページより転載

また、シャープは、2012年9月には、約6畳(25m3)の空間で、浮遊H1N1型インフルエンザウイルスの作用を抑制することを実証しました。
これはスゴいと思いますね。

本当にお金と、労力がかかるのです。
頭が下がります。
ユーザーとしては嬉しいデーターです。

 
■是非、公開をお願いしたい B to B のデーター
シャープは、B to B いわゆる業務用分野の所でも、プラズマクラスターを拡販しています。 水産加工工場や、先ほど出た鉄道ですね。

私が知りたいのは、鉄道のデーターです。

今までの採用先は、山形新幹線「つばさ」、東北新幹線「はやぶさ」、南海電鉄特急「サザン」。
どれも一車両が密閉型で、長時間同じ場所に居る設定です。
公開できるなら、是非して欲しいです。

DSCF7925_2そして大阪市営地下鉄 御堂筋線。

どんな理由で、市営がプラズマクラスターを導入したのかは不明ですが、当然新幹線のデーターを見て心引かれることがあっただろうということは容易に推察されます。

今後、家はフィルターを通し換気を行う「高密閉型ハウス」が当たり前の時代になると思います。
当然フィルターの後には、プラズマクラスター。狭いところで勝負できるので、やり方によっては絶大な効果が期待できます。

その時の重要なデーターなのでもあるでしょうが、出来たら見せて欲しいです!

 
当日、4月25日のキャンペーンが発表されましたが、本稿と内容が合いませんので別に記載します。

 
プラズマクラスター採用商品のより詳しい情報は、のシャープのホームページにてご確認ください。
http://www.sharp.co.jp
 
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