ロボット?、掃除機?
ロボット掃除機の評価視点
ロボット掃除機という家電があります。
出て11年、ルンバシリーズで、掃除機市場全体売り上げの12%を占めるそうですので、十分認知もされました。
種類も増えています。
LG、コーボルト、シャープ、東芝等々。
新ルンバなどの詳細レポートは、後日行うとして、その前に一寸考えたいことがあります。
それは、ロボット掃除機は、ロボットなのか、掃除機なのかということです。
■ロボット以前
モンスター好きな人は、ご承知だと思いますが、ロボットの原点はゴーレムと言われています。
ユダヤ教の伝説の「動く石像」のことです。
人間大の石像に魔法を掛け、御札を貼ります。御札は「真理(emeth)」と書いてあります。
魔法により主人に忠実な召使いとして石像が動くのです。
ただし使い方には厳正なルールがあり、それを破ると次第に凶暴になります。
止めるには、御札の「e」の字を削ります。「死(meth)」となり、動かなくなるわけです。
何度か映像化もされています。
Xファイルなどでも取り上げられています。シーズン4 12話 「魂のない肉体」です。
■ロボットという名前
初めてロボットという言葉を使ったのは、チェコの劇作家 カレル・チャペック。
「R.U.R.」という戯曲で使われます。 R.U.R. はRossum’s Universal Robots。日本語訳は、ロッサム万能ロボット会社ですから、タイトルからしてそうです。
ここでロボットは、人間の仕事を全てさせるために作られます。
全ての人間は労働から解放されます。 で、人間は何にもしなくなってしまいます。
子作りもしなくなり、人類は生物として力をドンドン失って行きます。
その内、あることからロボットは魂を手に入れます。
プログラムではなく、自分で考えて動きます。新しい生命体となります。
そして・・・・。 という話です。
ゴーレムとチャペックに共通するのは、人間の形をして、人間と同じことができる。
「暴走」する可能性があるということです。
■日本マンガ、アニメに見るロボット
本当ならここで、アシモフのロボット三原則とかを紐解いても良いのですが、この稿では飛ばします。
日本で、等身大ロボットを主人公にしたマンガ、アニメがあります。 代表を3つ。
「鉄腕アトム」(手塚治虫)、「人造人間キカイダー」(石森章太郎)、「ドラえもん」(藤子不二雄)です。
初めの2作品は、ロボットが人間になろうとする悲劇を描いています。
単純に言えば、人間の理不尽な行動(=差別、悪意)を受け入れることができないのです。
完全に人間のマネをする機械としてのロボットの悲劇のマンガと言えます。
ドラえもんは一寸違います。
なんたって彼は「猫形」ロボット。
人間であろうとすることを放棄しています。
このため、素直に友達として、子供たちと一緒にいます。
人と違うことをアピールして人間社会に溶け込むわけです。
■アメリカ映画に見るロボット
こちらは1例を挙げましょう。
シュワちゃんの当たり役「ターミネーター」です。
ターミネーターは、人間の形をしている間は悪人として描かれます。
シュワルッネッガーの肉体は常人離れしていますが、それでも常人離れしたスゴい人間として描かれます。
スゴいのは骨格体で、ロボットと分かった瞬間ですね。
ここから能力がエスカレートして描かれます。
端的に言うと、機械として描かれるわけです。
■ロボットクリエーター 高橋智隆のレクチャー
この様にロボットは、どちらかというと人間ぽくない方が、人間に馴染みやすいようです。
そうなると、次に必要なのは能力です。
機械は人間のできないことができる様にするために作られてきました。
例えば洗濯機。
人間ができないスピードで、洗濯をします。
では、ロボットの能力はどの位がいいのでしょうか?
あるセミナーで、ヒューマノイド形ロボットを数多く世に出しているロボットクリエーター 高橋智隆氏は、こんなことを言われました。
「私が作るロボットは、仕事をしない。リモコン操作とかの能力を持たせた場合も有るが、せいぜいリモコンの能力と変わらない。
その代わり、人間とコミュニケーションを取ろうとする・・・。」
目から鱗が落ちる思いでした。
彼が言っているのは、「ロボットの価値は、何かをするためだけではない」ということです。
彼は、「ロボットの存在価値をコミュニケーション」と位置づけたわけです。
こうなるとロボットとしての性能はコミュニケーション能力で有ることになります。
■掃除機能力は劣っても、問題ない?
長々と書きましたが、私が言いたかったのは、「ロボット掃除機は、掃除機としての枠だけで評価してはダメ。1つの方向しか見ていないので、それはこの新分野に取って、余り良くないことです。」ということです。
さて、来週からロボット掃除機のテストレポートを出して行きますが、今言った視点も含めて行きます。
お楽しみに!
2014年3月15日