こんなの見つけた!03@HVAC & R JAPAN2014
風呂の残り湯に対する技術
ミネラルウォーターと比較すると安い水道水ですが、それでも湯水の様に水を使うと水道代が「ガン」っと上がり、泡を食います。よく使われるのは風呂の残り湯です。
今回、HVAC & R の東芝ブースで、風呂に対しての展示がなされていました。
■銀イオンを使う by 東芝
今までもに、風呂の水をきれいにし洗い、すすぎに使える機構をもった洗濯機はいろいろありました。
風呂は、200L/日が目安ですので、2Lのペットボトル100本分。特売、76円/本で買っても1万5千円。
上の試算は、ミネラル・ウォーターですが、水道水ちなみに200lは0.2m3。1m3で上水道:128円、下水道:113円、計:241円。風呂1回分、水代:48円となる。でも、まさに「もったいない!」
で、洗濯機に工夫。水をきれいにして使うわけです。
が、東芝が選んだ道は、「風呂の水を汚さない」ことです。
■「銀イオン」のこと ーその1ー
使うのは「銀イオン」。
Ag+ですね。
大きさ、200ピコメートルpm。1/1000nm、1/100万μm。
Ag+に対し、細菌はミクロンオーダーのものが多く、大きさは100〜10000倍ほど違います。ウイルスに対しては10〜100倍ですね。
このイオンが入っていると、「銀イオン水」と言います。
銀イオンの殺菌効果の原理は完全には解明されていません。
菌、ウイルスのタンパク質に作用しているらしいのですが、・・・。
(これだけ、いろんなことが出来るようになった現在ですが、まだまだ分からないことが多い科学を使う人は謙虚に現実を見ながら話をしましょう。決して、できあがっていないリサイクル技術を用いた発電機を、「私が責任を取る」等と言ってはいけません。子供にも笑われます。です。)
しかし、殺菌作用は古くから知られていました。生活の知恵というやつです。
例えば、欧州では井戸の中に銀貨を沈めます。そうした井戸はペスト、コレラ等の伝染病が起こりにくかったといいます。
また、大航海時代、真水は銀の壺に入れられたとも聞いています。
そうそう、インドなども金属性の皿を使いますね。熱帯エリアですので、細菌はとても繁殖しやすいエリアです。マハラジャ、バラモンは銀器を常用しますが、衛生のためと聞いています。
実際に、銀イオンの殺菌作用には、いろいろな国の実験データーがありますが、判断に困るデーターを見たことはないですね。
確実な殺菌効果が認められます。
菌の種類も、大腸菌、ブドウ球菌、サルモネラ菌、赤痢菌、レジオネラ菌、ポリオウイルス、ロタウイルス、ヘルペスウイルス等々。
しかも、0.05ppmレベルの低濃度でも効果が認められるのです。
銀器に入れておくだけで、大量に銀イオンができることなどないですから、先に書いた銀の壺に入れておくと水がいたまない、ということの裏付けにもなります。
■銀イオンのこと ーその2ー
「銀イオン水って、水銀と呼ばれないの?」といった人がいました。
銀イオン水は、無色透明無味無臭の水ですし、水銀は光沢を持っているので、見れば分かるだろうと言いたいところですが、一応コメントします。
全くの別物です。銀の元素記号はAg、水銀の元素記号はHg。根本的に違っております。
水銀は、銀色をした水のような物質であり、銀が液化したものではありません。
で、ついでに安全性を。
重金属と言われる物質、カドミウム、鉛などですが、水に入りイオン化などして体内に侵入しますと人間に害を及ぼします。
ところが銀イオンは違います。
これは胃液が塩酸だからではないかと思われます。
2Ag+ + 2HCl(塩酸)⇒ H2(水素)+AgCl(塩化銀)で、AgClは不溶ですので、そのまま体外へ放出されるのではと思います。
また金属アレルギーも起こしにくいものです。
少なくとも金よりも起こしにくい、というよりアレルギーテストで銀に反応した人を寡聞で、聞いたことがありません。
注意したいのは、今の話は「銀」そのものであり、ニッケル・シルバーではありません。
ニッケルはアレルギーが出やすい金属ですので、かぶれる人も多いです。
■東芝の考え方
風呂が汚れるのは、と考えると垢(皮膚=タンパク質)が出るのと、それをエサに細菌が発生するからです。
東芝の考え方は、垢が出るのはしかたがないとして、細菌の発生を防ごうという考え方です。
で、湯張りする配管部に、銀イオン発生器を付けたわけです。
つまり銀イオンが細菌を殺しますので、エサ(垢)があっても菌がいない状態を作るというわけです。
そうなると、古いお湯の臭いも、細菌の繁殖により出されますので、それもないというわけです。
■同様の効果のある他の技術
まず、AQUAの洗濯機で使われている「オゾン」ですね。
こちらは殺菌効果もあり、汚れの分解も可能なのですが、オゾン自体は有害ですので、洗濯機の中だけで使うなど、上手い使い方が重要です。
あとは、添加剤ですね。
薬局などで、「風呂の残り湯を再度風呂とつかう」錠剤として販売されています。
こちらもピンキリ。
銀イオンを使ったものもあります。
■思うこと・・・
銀イオンの欠点は「金がかかる」ことです。
貴金属ですからしかたないでが・・・。昔、銀のインゴットを持ったことがありました。重さの割に案外安く、地震の時に絶対持って逃げる気にならない。貴金属へそくりは「金」と思ったことがあります。
上手く回収できないかなぁと思います。
回収できると、安定需給ができますので、量がまとまりますと下水道で自動回収。
それを再度使い回すことも・・・。価格も下がるし・・・。
銀イオン水が大量に流れ出すと、水環境バランスが崩れる細菌が死ぬと言うことは、害を受ける生物が出てくる可能性があります。世の中、人間だけで廻っている訳ではありません。かも知れません。
そのためにも下水道での処置は重要と思います。
回収まで考えて、最も良い方法をとって欲しいと思います。
この部分で有利なのは、オゾンですね。放っておくと酸素になりますから。
が、効果が認められ、しかも安全性が高い技術と言うモノはなかなかありません。
少々お金が掛かる技術ですが、「銀イオン」は、普及する可能性があるのではと思える技術です。
エネルギー、空気、水の共通インフラは、メーカー1社では大きな効果を上げることはできません。これこそ官民一体になり、<a class=”tooltip” href=”#”>水資源とのしての風呂の残り湯<span class=”tooltipBody”>各家庭の風呂だけでなく、プール、宿を含む公共浴場まで含めると議論に値するはず。</span></a>、しいては<a class=”tooltip” href=”#”>日本の風呂文化<span class=”tooltipBody”>ヤマザキマリ「テルマエ・ロマエ」は、お風呂に関する好著。シャワーではなく、風呂の良いところが再認識できます。しかも面白い!</span></a>を再度考えて欲しいと思います。
2014年2月15日