豆知識

糖尿病って!!


「ヘンゼルとグレーテル」と言う2013年の映画があります。日本ではDVDスルー劇場公開やテレビ放送を目指して製作されたものの、なんらかの理由によって上映・放送されることなく直接DVD/BDなどで発売される作品。となった作品ですが、中々どうして面白い作品です。
ヘンゼル役は、アベンジャーズでホークアイ(弓の名手)を演じたジェレミー・レナーです。
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「ヘンゼルとグレーテル」のチラシ。
副題に「魔女狩り人」とある。


劇中、彼が演じるヘンゼルは市場を歩いていていきなり体が動かなくなってしまいます。
理由は「糖尿病」。消毒もせず、いきなり注射で太ももにインスリンを注入。動けるようになるというシーンがあります。
糖尿病になった原因は、お菓子の家を食べたため。さぞ甘いお菓子を大量に食べたためだったと思います。
となると、「パンがなければお菓子を食べたらいいじゃない。」と発言したマリー・アントワネットも同病だったかもと思ってしまいます。

ま、実際に瞬時に糖尿病を起こしてしまう食べ物はないのですが、糖尿病は「超」要注意の病気の1つです。

 
■ブドウ糖
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ブドウ糖の分子式。
極めてシンプルな構造。


糖とはブドウ糖単糖の代表的な存在で、グルコースとも呼ばれます。のことです。
食べ物、飲み物など、体に摂取されたものの多くは、ブドウ糖になります。

ブドウ糖は、体を動かすエネルギーです。
家電で言うと電気、クルマで言うとガソリンです。

ブドウ糖は血液で体の隅々まで運ばれ、必要な筋肉、臓器が使います。 先ほどと同じ言い方をしますと、筋肉、臓器は、家電ではモーター、クルマではエンジンと言えます。

 
■糖が多い尿が出る
糖尿病というのは、ブドウ糖を必要な筋肉、臓器の細胞に運びこみ難くなる病です。
このため血液中にブドウ糖が溢れます。
血液中の余りモノは、腎臓で濾過され尿として排出されます。
ブドウ糖が大量に入った尿です。

昔、父親と一緒に便所に行った時、糖尿病の人の小便には蟻が集ると教えられました。
甘いかどうかは、飲んだことがないので分かりませんが、栄養が豊富な液体であることは間違いないようです。
(お医者さんの1人が、患者の尿を舐めたところ甘かったと言う話もあります。)

 
■仕組みは?
体の中でブドウ糖の量を調整するのは、膵臓で作られるインスリンと言われるホルモンの役目です。
インスリンは血液中のブドウ糖を細胞の中に運びエネルギーとして使ったり、余った場合は脂肪、グリコーゲンなどに変え、貯蔵します。

要するになんらかの原因で、このインスリンの量が少なかったり、上手く作用しなくなった場合、糖尿病が発症する訳です。

 
インスリンの不具合が起きる理由、つまり糖尿病の原因ですが、完全に突き止められてはいません。
ただ、遺伝因子と環境因子、双方が原因としてあげられています。
遺伝因子は、両親、兄弟が糖尿病である場合には起きやすいことということです。
環境因子は、肥満、過食、高脂肪食、運動不足、ストレス、喫煙などが上げられています。

 
■症状は?
慢性的にエネルギーが足らない状態なので、次のような症状がでます。
●だるい、疲れやすい。
そうすると、体はエネルギーを欲しますので、
●空腹感が強く、食欲はあります。 ●異常にのどが渇きます。
しかし体内に摂取されませんので、
●たくさん食べても痩せる。 ●トイレが近く尿の量が多い。
また、体のバランスが崩れてきますので
●手足がしびれたり、足がつります。 ●酷くなると、血管障害などを併発、合併症がでてくる。
 
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「紫式部日記絵詞」の藤原道長。
権力だけでなく、体も「望月」だったか?


また、糖尿病は、古くから知られた病気でもあります。
藤原実資の日記「小右記」にその記述があります。「のどが乾いて、水を多量に飲む」、「体が痩せて、体力がなくなった」、「背中に腫れ物ができた」、「目が見えなくなった」という病状が書かれています。
これ誰だと思いますか?
平安時代、「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」と詠んだ藤原道長です。
医療が発達していないのと、運動は女性と××、食事は贅沢となると仕方がなかったのかも知れません。

ちなみに明治天皇は、糖尿病と併発の尿毒症が死因とのこととです。
また、糖尿の疑いがある日本史上の有名人に、織田信長がいます。

明治天皇、織田信長ともに肥満ではありませんが、大の甘党でした。

 
■糖尿病は合併症になりやすい
糖尿病の症状を見て頂くとお分かり頂けると思いますが、「痛み」がありません。 病気、怪我がイヤな大きな理由に、「痛み」を伴うことが上げられますが、それがないと言うのが糖尿病の特長です。

となると、自覚症状がないため、検査しない限り野放しになります。
エネルギー不足の状態ですので、体の至る所が弱ってきます。
そして別の病気を併発する。つまり合併症発病となります。

うち2つは、三大疾病症死亡率が高い3つの疾病。「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」のこと。「急性心筋梗塞」「脳卒中」と重なります。
その上、糖尿病特有の合併症、「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」があります。

糖尿病神経障害は、手足のしびれ、筋肉の萎縮、筋力の低下、胃腸の不調、立ちくらみ、発汗異常、インポテンツ等です。
自律神経障害の症状ですので、苦しいです。

糖尿病網膜症は、網膜の血管が悪くなり視力の低下が発生。失明の可能性もあります。

糖尿病腎症は、腎臓がおしっこをつくれなくなる状態のことです。
人工透析を受けなければ、血中の老廃物を取り去ることができません。
酷い場合は、週に2〜3回の透析が必要ですので、正常な日常生活を営むことは厳しくなります。

 
■医療費
年間医療費は、2006年度で試算(1ヶ月2回の通院)して見ますと、次の様になります。窓口負担額の目安です。医療費はかなり頻繁に改定されますんので目安と考えてください。
人工透析の場合、高額療養費精度が適用されますので、出費の逆転が起こります。
()はトータルです。
高齢化社会を眼前に、国が医療費を下げるために、生活習慣病を目の敵にしているのも分かりますね。
投薬なし
食事と運動療法
4.5万円(15万円)
薬を1種類服用 9.5万円(32万円)
インスリン注射と投薬 13.2万円(44万円)
インスリン注射
投薬、人工透析
12万円(500万円以上)
 
■糖尿病の調べ方と、糖尿病治療の難しさ
調べ方は2通りあります。
1つは血液検査で血糖値を調べる方法です。
あと1つは検尿ですね。

むしろ問題は、糖尿病と判断された後です。
なんせ「痛み」などの自覚症状がほとんどない病気ですので、患者もついつい甘くみがちなのです。
健康日本21第三次国民健康づくり対策として、2000年から2012年に厚生省(当時)が行った一連の施策。「21世紀における国民健康づくり運動」ともいう。によりますと、異常所見者で事後の指導受診率は、男性:66.7%
発病後ですから、正直少ないと言わざるを得ません。

しかも、インスリンに異常がでる根本原因が分かっていないのですから、軽い時の対応は「適度な食事」「適度な運動」です。
これでは厳しいですね。
人間は自分に甘いですからね。
で、医者から足が遠のく、気付いた時は手遅れ・・・と言うわけです。

 
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世界糖尿デーのシンボルマーク。
青い色が目印。


糖尿病の患者は、世界人口の5〜6%。増加は必至。 現時点での死亡者数は、後天性免疫不全症候群(AIDS)並ということで、国連は11月14日を世界糖尿デーに指定しました。
これ何気ないように思えるかも知れませんが、病気名が付く日は、AIDS以外には糖尿病しかありません。
それだけ、認識してもらうのが、厳しい病気と言えます。

大いに気を付けたい病気です。

2014年2月2日

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