現代マッサージチェア動向
「十年一昔」という言葉がありました。
十年立てば、大きく様変わりしているという意味です。
しかし今、この言葉は余り使われませんね。
PCが出た当時の余りの技術の進むために出てきた言葉が「ドッグイヤー」。
成長の早い犬は、1年で人間に換算すると7年分の成長を遂げると言うわけです。
短期間で大きく成長し収益を上げると言う意味では、経済偏重の世に合う言葉でもあり、それが当たり前の様になっています。
例えば、映像を記録するビデオ規格でも、VHS:1976年、DVD:1996年、BD:2002年、以降 配信型へですので、いかに太く短くビジネスを行うのが重要視されたかが分かります。
ところが、そんな中、未だに買い換え周期が10年である家電もあります。
その1つが、「マッサージチェア」です。
■最高の贅沢家電? それとも・・・
とは書きましたものの、価格の話を置いておくとしたら、ロボット掃除機、エスプレッソマシン、高級炊飯器などと共に、マッサージチェアは必ず、欲しい家電の上位にランクインします。
これは××社の○○と言う製品ではなく、「マッサージチェア」が、です。
価格を見ると、最高級品は軽自動車1台分と余り変わりません。
必需品でないとすると、まさに「贅沢」ですね。
しかし、今マッサージ屋は大盛況です。
私の近所の商店街にも5軒あります。
3000円/回で計算すると、週1回で15万6千円。
内容は、マッサージ師の資格医師もしくは、あん摩マッサージ指圧師免許取得者。「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」に定められている。の人件費、及びマッサージ設備&建物ですが、人件費が主ですね。
となると、ストレスの多い現代、家でガンガンマッサージができる様にして、毎日積極的に生きるのも1つの手です。
そう考えると、リーズナブルかも知れません。
■マッサージって何?
マッサージは、「揉む(もむ)」「摩る(さする)」「叩く(たたく)」「圧す(おす)」を上手く組み合わせ、皮膚に刺激を与えることです。
とは言ったものの、分かり難いですね。
分かりやすく説明してみたいと思います。
まず人間は「筋膜」という組織を持っています。筋膜は白い薄い膜で、内臓器官、血管、神経、そして筋肉などの体の構成要素を包んでいます。
そしてその器官があるべき場所に適正に位置するように支えています。
筋膜はコラーゲン組織ですので、可塑性物体に力を加えると形を変えること。すなわち歪みを作ったとき,力を取り除いても変形がそのままになる性質。に富みます。
逆に言えば、長時間変な姿勢を取ると、その状態に筋膜が変形します。
これが「こり」です。
要するにマッサージとは、色々な動きで、「圧力」と「熱」を筋膜に加え、萎縮した筋膜なら伸ばし、硬化した筋膜には弾力性を与え、癒着した筋膜を剥がし、元の解剖学的に正確な位置に戻すことです。
当然、体内部の代謝も上がります。
静脈系血液循環やリンパ循環もよくなります。
このため冷え性にも効きますし、体の正常化に伴い、楽になりますので、睡眠も促進されます。
ちなみに、筋膜と筋肉が離れた状態が「肉離れ」です。
学校の保健体育では筋膜はきちんと教えられていませし、肉離れのこともあり、筋膜=筋肉の対応と思いがちですが、筋膜は体全体のバランスを取ることが、重要な役目なのです。
■現代マッサージ機の要件
1954年の木製あんま機から60年経った現代。
10年前に大きな波が押し寄せたそうです。
「デジタル化」ですね。
良いマッサージ機の要件は下記の4つになります。
大きく分けると、マッサージ師並のマッサージと、使わない時どうするかです。
この要件とデジタル化を結びつけることが、今重要なことです。
1)「揉む」「叩く」「圧す」を、人間の手と同様の加減で行えること。
2)マッサージ位置が正確。
3)気持ちがいい。
4)場所を取らない。
1)「揉む」「叩く」「圧す」を、人間の手と同様の加減で行えること。
まずもみ玉です。
形状、材質、動き、そして動き方がポイントです。マッサージ機も、家電の例に漏れずデジタル化されておりますが、動きと動き方はデジタル化が進んだので、より微妙に調整ができます。
大きなメリットと言えます。
次に、もみ玉によるマッサージと、エアーマッサージを組み合わせ使用があります。
もみ玉が点マッサージなら、エアーは面マッサージ。指先と手のひらと言えます。
マッサージ師は、両方とも使いますよね。
使用例には、2000年にフジ医療器が発売した「マッサージチェア エアーソリューション AS-777」などがありますが、2000年以降のマッサージチェアは、この形が基本です。
制御も複雑ですので、これデジタル化の恩恵を受けていると言えます。
2)マッサージ位置が正確。
デジタル制御技術の申し子ですね。
マッサージ機は、腰深く座った状態での肩上の位置を基準とします。
今は揉む前に、その位置をセンサーで割り出し、揉んで行きます。
最高級品になりますと、背筋ラインをセンサーで読み込み、より正確な位置で行うなど、致せり尽くせりです。
3)気持ちがいい。
気持ちいいというのは個人、個人で違いますが、最近のマッサージ機はここに注力しています。
必要な部位だけマッサージするのもありなのですが、その様な面倒くさいプログラムを自分でしなくても「お勧めコース」と言うプログラムが、リモコンのボタン1つで動きます。
まずは椅子が倒れ込み、体の位置を合わせます。
次に「ストレッチ」で、体を伸ばします。すぐに強いマッサージを掛けるのは、筋膜への負担が大きいですから。
この時、必要に応じ、ヒーターが入ります。
体を温めながらのストレッチは、非常に気持ちが良いです。
以降、約25分程度、「首」「肩」「腰」「腕」「脚」「足裏」を、体の端から、中央へ揉みほぐしていきます。
ここはもみ玉、エアーを駆使したマッサージです。
1)でも説明しましたが、ここへの技術は大きなポイントとなります。
で、マッサージチェアだからできて、人だと難しいことがあります。それは多部位同時マッサージ。
同時多発テロの様に物々しく聞こえますが、「腕」と「腰」と「足裏」様に、多部位を同時にマッサージすると言うことです。
これすこぶる快感です。
人にしてもらう様に「優雅」とは違いますが、気持ちはすこぶるイイです。
こうして単なる肩の揉みほぐしだった、マッサージチェアが、「多機能」「多部位」に対応した訳です。
実際は、1つ1つユーザーさんに設定してもらうのは厳しいので、各種コースメニューで対応。
西洋料理みたいですね。
■大きさの問題
マッサージチェアは中に機械が組み込まれているので、大型の安楽椅子ほどもあります。
使用時は、人がほぼ横になった状態となりますので、スペースも必要です。
リビングでも十分目立ちます。
このため今増えているのは、マッサージチェアを安楽椅子として使うことだそうです。
それは、そうですよね。
しかし中にはぎっしり機械が詰まっています。座り心地は・・・とちょっと不安です。
昔、「人間椅子」という江戸川乱歩の小説を読んだ事があります。安楽椅子の中に住まう男の話ですが、人間椅子の座り心地が、きわめて官能的なイメージで描かれていました。
まさかそこまではないでしょうが、座り心地も大きなポイントです。
ちなみに、デジタル化は、メカの小型、軽量化に使われているそうです。
■で、・・・
「では」ということで、通常ならマッサージチェアの使用談に入るのですが、・・・。
今まで家で使っていたのなら兎も角、初めての人は中々手が出し辛い。
量販店に10脚(マッサージチェアの単位:脚でいいのかしら?)位、置いてあっても、どこかの営業マンが座っていたり、じいさん、ばあさんが大挙して居たりして、何か変な雰囲気。
こんな中で、少しばかり使用させてもらっても、本当に自分に合っているか、どうかも分からないし・・・。
後、高額だし・・・。
という思いが離れません。本当なら、自分への「ご褒美家電」No.1なのでしょうが、この値段だとボーナス一回だと苦しいでしょうね。
さらに、自動コースで19種類、もみ技32タイプ(フジ医療器 マッサージチェア AS-960)と言われても訳が分からないとしか言いようがありません。
ということで、フジ医療器の東京ショールームに行き、実際に体験することにしました。
体験談は別途レポートします。
尚、当レポートの作成に当たり、フジ医療器のマッサージソムリエにお力添えを頂きましたことを付記致します。
2013年12月25日