健康計測家電の位置づけ
あるいは、複数で計測する意味
医師は必ず、問診、見診を含む複数の検査データより、病因を突き止めます。
症状だけの判断だと、見立て違いが起こるためと聞いています。
例えば、心臓の状態を正確に掴むのはかなり大変です。
「脈拍」「聴診器による心拍音」「血圧」は通常診断でも見ますが、一寸でもおかしいと、「心電図」「超音波(よく肝臓の検査で使われます。心臓の場合、動きを肉眼で確認できます。また血流も測定できます。)」「血液」などの検査が加わります。これでもだめなら「CT」などが加わります。
ある検査をすると、必ず特定できる病気もありますが、医者は短時間で見落としがないことが要求されますので、どうしても検査、検査になってしまいます。
今回は、「体重/体組織計」「活動量計」「睡眠計」を中心に、「血圧計」「尿糖計」の位置づけを考えてみたいと思います。
■健康って何?
皆、健康が大好きです。
今や、健康産業は巨大ですし、TVを付けると健康食品、体にいい運動の仕方などの情報が溢れています。
しかし健康って何でしょうか?
世界保健機関(WHO)憲章には、「身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない。」とうたわれています。
しかし、この定義をまともに取ると、常にストレスにさらされ続けている現代日本人の多くは、健康でなくなる可能性がありますし、「一病息災」という形で病気と上手く付き合うと言うことも否定します。
このため私としては「社会ルールの中で。自分が自分らしく活動できる状態」したいと思います。
「自分らしく」と主観にしたのは、心も体も個人差、環境差があるからです。また社会ルールの中で、としたのは人間が社会に依存しないで生きていくのは困難であるため、ここでのストレスは仕方がないとするためです。
ここでお分かり頂けると思いますが、医者は「病気に掛かっていない」という判定は下せますが、健康かどうかの判断は下せません。
健康は、極めて主観的な要素でなりたっていると思います。
■健康をチェックするには?
イギリスのユーモア小説「ボートの中の三人男」で主人公が、お昼をタップリ食べ過ぎたため、一時的に気分が悪くなり医者に処方箋をもらいに行くシーンがあります。
医者もきちんと患者を把握し、「毎食後のビール半パイント、及び 散歩。」そして「小難しいことは頭に詰め込まないこと」という処方を出し、主人公が全快するシーンがあるのですが、健康とはそんなものだと思います。
条件は、快眠、快食、快便。そして適度な運動が条件。
つまり「食事」「運動」「睡眠」の状態が分かれば、それなりと言うわけです。
で、カロリーメーターの付いた「活動量計」「体重/体組織計」「睡眠計」が活躍するわけです、
が、問題がないわけではありません。
一番大きなのは、「食事」ですね。
カロリーは兎も角、「質」が分からないことです。
例えば、食事を3回したのでも、全てをマクドナルドで済ませたのと、自炊では全く異なるからです。
カロリーも違えば、栄養バランスも違います。
特に栄養バランスは、1回1回の食事のバランスが良いとベストと言えますが、1日全体で調整する、1週間で調整する、そんな方法もあります。
FACEBOOKでの食事自慢とは違うので、写真を載せれば良いというものでもありませんし・・・。
■まとめ機能 デジタル日記は作れないのか?
私は、「健康データは、デジタル日記形式で管理する」のがいいと思っとります。
私の考えるデジタル日記帳は、健康データー、買い物データーなどの「数値情報」、時間軸に沿った「スケジュール情報」、考えたことを後で入力できる「自分情報」の融合したものです。
これだと、例えば、歩行中に考えたことなどはメモしておきたいですよね。
1日毎入力します。普通に読むと日記帳です。
が、使う時は、それぞれの情報を組み合わせて使います。要するに、相関関係が確認できるようにするものです。
これが上手く機能すると、自分で意識的に生活を変えてみようとなります。
問題は、「どの機器で健康データーをまとめるのか?」ということです。
「PC」、「タブレット」、「スマホ」なのか、あるいは「紙」なのか? です。
ここで問題となるのはデータの移動方法と、後からの追記、まとめ方です。
例えば、活動量計の情報をどうやって移動させるのか です。
タニタは転送リレーキーなど、専用機器でPCへ転送。パナソニックはAndroidですね。単独機種最大販売数のiPhoneは、オムロンが積極的にサポートをし始めました。
次の問題は、ディスプレイの大きさと入力方式です。
これはタッチペン、指入力ができるようになっても、入力という意味では、PCに1日の長があります。
また音声入力は便利ですが、キーボード慣れた人だと、キーボードの方が早いです。
正直、スマホ、タブレットの場合、レイアウト自由での入力は非常に難しいです。
が、スマホ、タブレットで有利なこともあります。例えば食事の写真(マナー的には恥ずかしいのですが)を撮る場合、スマホ、タブレットならダイレクトで取れます。
1日の 情報量を考慮すると、個人的にはキーボード入力できるタブレットが一番だと思います。
データー自体は、タブレット内部に収納する方法もありますが、置き忘れたりすると大変なので、その都度ネットから読み込ませるのが一番かも知れません。
■体重計の効用
「UP」「SHINE」のシステムは、割合ここら辺を踏まえて作っています。
しかし体重を載せるには、体重計を別のアプリで吸い上げ、そのデーターを移し替える作業が必要で、割と面倒です。
「食事」「運動」「睡眠」と書きましたが、一番継続しにくいのは「運動」です。
運動するには、ある程度の心と時間の余裕が必要ですので、仕方がないと言えば、仕方がないのですが・・・。
こんな時には、エサで自分を鼓舞するのも手ですね。
しかし「美味しいモノを食べても良いとするから運動しなさい」ではありません。
ここで活躍するのが体重/体組織計です。
運動の効果を、活動量計と共に、体重/体組織計で露わにするのです。
活動量計で、「歩数」「カロリー数」。で、結果を体重/体組織計で「体重」「体組織」として、逐一チェックするのです。
効果の見える化と言うわけです。
私の友達は異口同音にいうのは、「活動量計を外したら運動しなくなったよ。」と言います。運動を意識づけるために、「活動量計」、「体重/体組織計」を活用すると考えれば良いと思います。
尚、体重/体組織計は、健康の基礎情報ですので、必ず必要です。
■血圧計、尿糖計
保険屋さんのお陰で、「三大疾病」と言う言葉が知られるようになりました。
「ガン(悪性新生物)」「急性心筋梗塞」「脳卒中」ですね。
この3つの可能性を高めると言われているのが生活習慣病で、「糖尿病」「脂質異常症」「高血圧」「高尿酸血症」などが上げられています。
生活習慣病は、かなり薬で抑えられますが、できる限り、食事、運動、睡眠で対応するのがベターと言われていますね。
血圧計は「高血圧」を、尿糖計は「糖尿病」を見張ることができます。
食事、運動、睡眠とこれらの関係はあるのですが、ダイエットよりはるかに時間が掛かるのが通常です。
使っていてもなかなか結果がでないので、正直、飽きます。
ここは健康家電と言うより、医療に近いプラス・アルファの領域と考えた方がベターだと思います。
■接続条件
「UP(米JAEBONE社製)」「SHINE(米MISFIT社製) 」は元々スマホでデーターを読むことを前提にした24時間装着型の活動量計です。
ディスプレイを有していないので途中のデータが見られないこと、体重計とのタッグが中々取りにくいことなどの弱点はありますが、いい商品です。
日本メーカーは、それに対し、活動量計、睡眠計、体重/体組織計を別々に用意、それぞれにディスプレイを持たせ、その場で分かるようにしてあります。
これは運動などでは、結果を認識しながら「後20分位歩こう」とか対応して行きますので、大きなメリットと言えます。
そして「活動量計」「体重/体組織計」「睡眠計」のデーターは、ネット上の専用ホームページで融合して見られるようにする考えです。
日本メーカーの健康家電を見て、もう少しと思うのは次の3点ですね。
1つ目は、活動量計はディスプレイを大きくする余り、手首装着ができないことです。
パナソニックのようにベルト装着が前提ならまだよいのですが、「胸ポケットにいれてください」と言われると、Tシャツ&ラグビージャージ愛用者の私には正直「どうすれば良いの」状態になってしまいます。
2つ目は、データの接続条件がバラバラであることです。
オムロンはiPhoneをサポートしていますが、パナソニックはAndroidが主体。タニタはリレーキーでPCとの接続です。
レリーキーの設置は面倒ですが、設置すると的確にデーターを拾ってくれます。ただ簡便なのはスマホ系ですね。
3つ目は、接続対応機種が少ないことです。
1ヶ月、2ヶ月と進めて来ますと、一番自分の近くにいる活動量計は、「友」のイメージとなります。
記録を取り出せない、もしくは記録が取り出しにくい活動量計の場合、自分の記録が割と短期で消えることになります。
実は、これって割と寂しいです。
例えば、最高歩数です。単なる数字ですが、抜くべき目標でもあり、自分の密やかな誇りです。
手間を掛けず、データーを保管、もしくは取り出せることは必要と思います。
■HEMSが家庭にあると・・・
HEMSが家庭内に設置されると、家電はWi-Fiでつながります。
電車の駅の改札にあるSuica、Pasmoのタッチ認識システムではありませんが、家にFeliCaまたはNFCに対応でき、そのデーターをWi-Fiで送れるシステムを構築しておけば、タッチするだけ。すごく楽に接続できます。
またHEMSでは、家電情報は、生活パターン、考え方、経済力が透けて見える部分がありますので、かなり強力なセキュリティーが掛けられます。
私は、健康家電メーカーはHEMSのサービスを使った方がベターと考えています。
健康と休憩、睡眠、室内環境は、かなり密接な関係にあります。
今は考えられないサービスですが、近い将来、それを利用したサービスもあると思います。
⇒HEMSに対する詳しい情報は、「豆知識」でご確認下さい。
■HEMSって何? 2013年版
1)電力会社とスマートメーター
2)HEMSの構成
3)必要な機器、技術
4)新しい世界を開く可能性
■健康家電の可能性
現在、パナソニックはアディダスを組み、家電健康機器をアピールしていますが、これは家電健康機器自体が持たない「運動」を強化するためと言えます。
むしろリビングをスタジオにするために、大画面TVと天井スピーカーを使います。
枠を逸脱した健康家電ビジネスと言えると思います。
面白いことをしているのは、パナソニックだけではありません。
オムロンの姿勢計付き活動量計は企画、製品とも素晴らしいですし、タニタは三菱電機と組んで大画面TVに進出したアイディアも秀逸です。
特に三菱の大画面TVは記録メディアを内蔵していますので、ここを起点に健康データーベースを構築することはできない話ではないと思います。
先ほど、血圧計と尿糖計を上げましたが、私は尿糖計などは便座に組み込まれるのではないかと思っています。
これらは、医療補助家電という感じです。ただし医療という言葉は、薬事法上なかなか使うことはできないと思いますが・・・。
今後、これらデーターを元にした遠隔診断の時代が来るかも知れません。
まだまだ伸びる分野だと思います。
2013年12月4日