タイガー魔法瓶 ホームベーカリー <やきたて> KBH-V
フルIH化がもたらす味
「おまえは今までに食べたパンの数を覚えているか?」
マンガ「ジョジョの奇妙な冒険」の第一部の敵 ディオの名台詞です。
マンガではここから一気に戦いにもつれ込むのですが・・・。
私は、こんな時、「覚えているパンもある」と言ってしまいそうです。
2斤で840円の、銀座「セントル・ザ・ベーカリー」のパンだろうって・・・。
あそこは美味しいですね。
しかし、タイガー魔法瓶 ホームベイカリー <やきたて> KBH-V100(以下「やきたて」)で焼いたイギリスパンは、宣伝文句「外はパリッ、中はふわっ、パリふわ触感」通りで、非常に美味。
ディオにも威張れる味でした。
■美味しいパンを作る3つのポイント
これは意見がいろいろ分かれると思いますが、
1)素材
2)レシピ
3)発酵時間・温度、焼き時間・温度
では、ないでしょうか?
■まずは作ってみました
とにかく、まず作ってみることにしました。
強力粉がきれていたので、スーパーへ。
取説で勧められていた日清の「カメリヤ」です。
さてスーパーでカメリヤの隣にあったのは、「パン専用小麦粉」。
値段は約2倍。
もしかしたら、銀座「セントル・ザ・ベーカリー」のパンができるかも・・・。
ちょっと手が伸びかけたのですが、機器の性能を見極めるためですので、ここは「カメリヤ」にしました。
他の材料は家にあったモノを使いました。
ドライイーストも、日清製粉製。
日本の粉モノは、このメーカー抜きに語れません。
さてレシピです。
西洋料理らしく、素材と配合が極めて明確です。
お菓子もそうですが、配合を間違えると発酵がうまく進まなくなったりしますので、ここはきちんと計ります。
とは言っても専用の計量スプーンがありますので、思ったほどの面倒臭ささはないです。
材料は、ドライイースト、強力粉、塩、水に、砂糖、バター、スキムミルクと入れます。
これだけあると、香りも、味も期待できそうです。
材料を「パンケース」に、順番に入れてっと。
後はスィッチを入れて待つだけです。
パンは発酵を伴いますので、3時間30分。
お米の場合は、「早炊き(時短)モード」ですと、30分前後ですので長いです。
朝セットすると、食べられるのが、おやつ時。
うまく使うには、予約タイマーを上手く利用するのがコツです。
と言うことで、待つこと数時間のですが、パンが焼き上がる時の香りは、イイ香りですので途中からワクワクしてきます。
できあがりますと、鍋つかみを両手にはめ、パンケースからパンを出します。
しゃもじ1つあれば後は素手という日本とはやはり違います。
西洋系の食事を作るとなると、どうしても道具、小物が増えます。
で、少し冷まして出来上がりです。
■味見してビックリ!おいしい!
味は、2種類の方法で見ました。
そのまま食べて見るのと、トーストして食べて見ました。
焼き立てですので、香りも香ばしくてグッドなのですが、やはり驚いたのは食感です。
「外はパリッ、中はふわっ、パリふわ食感。」が宣伝文句ですが、看板に偽りなしの二重丸です。
つけ加えるなら、小麦の味がかなり濃厚にしますので、味も良い。
トーストして、バターに蜂蜜。
パン、バター、蜂蜜、の味が、濃厚に混じり合い、しかもパンの味が負けていないので、バランスの良い味を楽しむことができました。
試食では余りない素晴らしい体験でした。
そう、「記憶に残る味」と言ってもいいかも知れません。
■機器の特長
米はカマドで炊きますし、パンはカマで焼きます。
大喜利ではありませんが、「ド」のありなしで違うモノです。
お分かりですよね。
カマドは直火中心。カマは直火&輻射熱 と言う違いがあります。
カマでは四方八方から熱が掛かりますし、料理を入れる時はすでに高温です。
また2次発酵まで終わった生地は、熱い熱いカマの中へ入れられる訳ですので、ホームベーカリーでも、温度変化も急激に起こしてやる必要があります。
このため、「やきたて」にはIHが搭載されています。
ヒーターとIHは、熱を掛けることができると言うことでは似ていますが、実際の加熱は全く違います。
IHはヒーターより、きめの細かい温度制御ができますし、最高温度も高いです。
単に「IH化」と言いますが、ヒーターと異なり開発費用も、製造コストも掛かります。
が、今回の味は、それに十分値するレベルだと思います。
そうそう今まで書くのを忘れていましたが、KBH-V100で作ったパンは、外皮が薄いのも特長です。
これも、効果的な熱コントロールがもたらすモノです。
IHを使うとなれば、「土鍋IH炊飯ジャー」で開発した技術も活かせます。
今回のパンケースには「土鍋焼き 遠赤外土鍋コーティング」がされています。
炊飯ジャーと同様に、IHの効果をより高めています。
さて、IHと共に発達した技術は、センサー技術です。
必要な場所で温度を測定し、その場所の温度をコントロールする技術ですよね。
エアコンでは、現在、デジカメとサーモグラフィーを組み合わせ、足が寒いのを感知。足下だけを暖める機能が好評です。
閑話休題。
発酵は、菌の力を借りる分けですので、菌が力を出せる温度にすることと、その時間を与えることが重要です。
特に温度は重要です。人間でも冬場になると、布団から出たくないスロースターターになってしまいますからね。パンの場合の問題は、菌の働き過ぎ。「過発酵」と呼ばれる現象です。
過発酵してしまうと、パンが膨らみません。つまり、日本人がパンの表現で必ず使う「ふわふわ感」がなくなるわけです。
過ぎたるは及ばざるが如し とも、蛇足とも言えます。
タイガーが、「やきたて」に付けたセンサーは3種類。
生地温度センサー、庫内温度センサー、室温センサー。
パン生地の温度が上がりすぎると冷やす冷却ファンが付いています。「いいね。」を1クリックの気持ちです。
「温感仕込み」機能と名付けられたこの機能。
スイッチも何もありませんが、凄い機能です。
■他の食パン類
他に「早焼き食パン」「角食パン」「ごはん食パン」を作ってみました。
「早焼き食パン」は合格点ですが、「食パン」より風味は落ちます。
また食感も、食パンのような「軽さ」がありません。
時間がないけど、「それでも手作りパンを!」という人にお勧めです。
ごはん食パン。
かなり、もちもちした感じですが、舌触りは滑らかです。
さて、今までホームベーカリーで今まで出来なかった「角食パン」です。
もともとはアメリカで作られた形で、アメリカの鉄道車両メーカー「プルマン」が作った四角い車両に似ているパンですが、今、このタイプを作っているのは「日本」ですね。
何故、日本で山形ではなく、四角な食パンなのか?
いろいろな人に聞いてみましたが、明確な答えは得られませんでした。(知っていたら教えてください!)
私は、家でパンを焼くことがない日本では、大量生産しやすく、品質を一定にし易く、運搬に適した形、つまり四角が主流になったのではと思っています。
で、同じレシピを用いて角食パン化(焼く時に蓋をする)すると、本来伸びる穴が伸びませんので、かなりもちっりした、しっとり感のあるパンになります。
このためか、レシピは山形パンと変えてあります。やや水分を少なめにした、しっとり感の中にもさっくり感を出すよう工夫されたレシピです。
しかも、一時発酵後、一度パンケースから取り出し、形を整え、再度パンケースに入れ焼き上げます。
味です。 私にとっては、中の上という感じでしょうか?
ただし、私は、軽いさっくり感のあるパンが好きなですので・・・。
私には、「食パン」が合っている様です。
■レシピのいじることはできない相談でしょうかね。
いろいろ文句を付けているように聞こえるかも知れませんが、私、タイガーのレシピ本は「イイ」と思っています。
こだわっていますし、何よりそれが味に反映されています。レベルが高いです。
だからこそ、お願いしたいことがあります。
1つは、レシピの解説と、いじれる範囲を知りたいということです。
炊飯器は「炊く」だけですので、それが可能です。
やわらかいごはん、かたいごはん、あっさりした食感、もちっとした食感などが、その時の体調(主にはお腹の状態)により使い分けられます。
これをパンでできたらなぁと思うのです。
いつもより味をリッチにしたい。いつもより軽めの味で、とかが、できるようになるとより嬉しいです。
またご飯パンは、お米の種類で変わることが多いかも知れません。こちらも興味があるところです。
発酵を伴うので、とても厳しいとは思いますが・・・。
いろいろ書きましたが、「やきたて」は先に挙げた美味しい要素の内、2つ「レシピ」「発酵時間・温度、焼き時間・温度」が揃った素晴らしいホームベーカリーです。
ホームベーカリーを買う時は、候補に入れて損はない逸品です。
尚、主な仕様はタイガー魔法瓶のホームページをご覧下さい。
http://www.tiger.jp
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2013年12月5日