HEMSって何? 2013年版 03
必要な機器、技術
HEMSが何をするのがが、段々分かって来たと思います。
今回は、各メーカーが発売しているものが、HEMSの中で、どのような役割をしているのかを説明します。
HEMSが持つべきは、以下の通りです。
1)電力消費状況が分かるシステム
2)家電使用状況が分かるシステム
3)判断できるまとめられたデーター
4)家電に指示を出すことができるシステム
5)8大重点機器太陽光発電、蓄電池、燃料電池、電気自動車、プラグインハイブリットカー、エアコン、照明機器、給湯器(電気温水器)のことの状況は、なるべく把握のこと
■その時の家電の電力消費状況が分かるシステム
使っている電力量が分かるようにすると言われた時、私なんかは、個々の家電に電力メーターを取り付けデータを収集することを考えてしまいました。
が、さすがに日常、電気、電気で明け暮れる家電メーカー。全ての電気が必ず通る配電盤を利用します。
例えば、私の家では、メイン1、小口24のブレーカーが並んでいますが、コンセント毎にブレーカーがあるわけではありません。
ただ8大重点機器太陽光発電、蓄電池、燃料電池、電気自動車、プラグインハイブリットカー、エアコン、照明機器、給湯器(電気温水器)のことは、消費電力が大きい、または電力の出入りがあるため、単独コンセントになっています。
私の家も、エアコン、冷蔵庫、洗濯機などはその様に設定しています。
消費電力は、大まかに分かれば良いことを考慮しますと、配電盤を使うのが有効な分けです。
つまり配電盤のブレーカー部に「電力センサー」を付ければ、用が足りるわけです。
そして電力センサーから、データを管理、集計する「計測ユニット」が必要となります。
計測ユニットですが、接続台数制限があります。
それはデータ処理能力に限界があるためです。
■その時の家電の使用状況が分かる
システム
家電には次の特徴があります。
1)家電の成果は、物理的に示される。 例えば、炊飯器なら仕事の成果は「炊けたご飯」になります。
それが成果です。
このためか、家電は使用状況を外にアピールする機能は持ちません。
炊飯器が「スィッチ入れて10分、水が沸騰。今、俺は燃えているぜ!」なんてはいいません。
パイロットランプ、できあがるまでの残時間、などは本体に表示されますが、それ位です。
2)家電はスタンドアローンで使われる。 スタンドアローンとは、他の機器に依存せず独立で動作することを意味します。
PCのようにネットとつながることを前提に作られた機器から見ると、家電のあるものは「自閉症」のように見えるかも知れません。
このため家電の使用状況を分かるためには、次の2つが必要です。
1)途中データを、入手できるようにすること
2)データを転送できること
の2つです。
1)は実は「超」が付くほどの難題です。
現在の家電がコンピューター制御であることはいうまでもありませんが、現在皆さんが使っているPCとは別モノと思った方が良いものです。
例えば、OS、オペレーティング・システムです。
昔は新しいOSが発売されると、並んで買った時代もありました。
何故そうまでしても手に入れたいのでしょうか。
PCはプログラムで動きます。で、そのプログラムは人間の言葉では、なくマシン語で書かれています。
日本語で、「こうしろ」「ああしろ」と言っても通じません。
そうPCに命令するには、通訳が必要なのです。OSはその役割を持ちます。
優れたOSはPCのフルポテンシャルを引き出せるのです。
家電は、そんなOSを使う必要はありません。スタンドアローンで、物理的な成果を出せれば、用は足りる訳ですので、プログラムもできる限りシンプルにします。
ウィンドウズは立ち上がりに数分掛かる場合もあります。接続された機器を確かめているためだそうです。またネット接続もそうですね。セキュリティシステムを動作させる必要があります。
逆に家電がスィッチを入れると、すぐ使えるのはスタンドアローンだからでもあるのです。
そして一番の問題は、古い家電は、情報を取り出せる機能を持っている基板ではないということです。
物理的な結果が重要な家電で、途中経過が不要なら、そんな情報は取りません。そちらの方が安くできるからです。
HEMSに古い家電をつなげようとしてもできないことがある。
もしくは専門業者による工事が必要ということです。
次の難題は、2)データを転送できること です。
基盤から出したデータですが、これだけでは余り意味がありません。
データは、一堂に会させ、分析して初めて威力を発揮するのですから。
これを受け持っているのが、「ECHONET Lite(エコーネットライト)」と呼ばれる通信プロトコルネットワーク上での通信に関する規約を定めたもの。「伝送路の物理条件」「符号化コードなどの伝達に関する規約」「相手の特定方法」「情報表現」など。と、Wi-Fiシステム(無線LAN)です。
ECHONET Liteは、経産省が日本国内でのHEMS、及びスマートメーターとHEMSをつなぐの標準プロトコルと認定しています。
一昨年から去年に掛けてのことです。
これでつながる基本ができましたので、「HEMS」がいろいろ所で見られるようになったわけです。
さてWi-Fi(この文中では、無線LANと同意で扱います)です。
つなげるなら有線がもっとも確実です。しかし有線LANは初めから、そうする意志を持たないと構築するのが大変です。
それとWi-Fiの普及により一気にコストが下がったことも上げられます。
設置は家電側に無線LANアダプター、ネット接続できる場所に無線LANルーターです。
1番の問題は、部屋によっては電波状態が悪いので中継機が必要な可能性があること。
このため電気屋さんが設置します。
■どうすべきかを判断できるまとめられたデーター(情報)
ここで家の情報は、外へ出ます。
具体的には、家電メーカーのクラウドの中です。
家電メーカーは、家電の情報を分析、ユーザーが使い易い様、加工します。
グラフで表すタイプ。スケジュールとリンクさせるタイプ等があります。
各メーカーの知恵と腕の見せ所です。
ユーザーはその情報を、PC、スマホ等で受け取り使用します。
個人情報ですので、セキュリティーなどが重要になります。
セキュリティーに関しては、取材が不十分なので、別機会に付け加えます。
■家電に指示を出すことができるシステム
これはデータを取るシステムを使います。デジタル通信は、双方向なので可能です。
PC/スマホ(分析データ表示)からクラウド、クラウドから無線LANルーター、ルーターから無線LANアダプター、アダプターから家電という形です。
問題はやはり基板ですね。
情報をアウトプットする部位が、インプットできる部位とは限りませんので。
■我が家にHEMSが来ると言うことは・・・
例えば、冷蔵庫、エアコン、TVをHEMSにつなげるとします。
すると
1)配電盤に電力センサーを付ける工事
2)電力計測器の設置
3)冷蔵庫、エアコン、TVに無線LANアダプターを付ける工事
4)家にHEMS用のWi-Fiを巡らす工事
5)無線LANルーター、無線LANアダプター3つ
6)クラウドとの契約
が、必要です。
で、冷蔵庫、エアコン、TVの情報が見られる訳です。
今まで話してきたのが、HEMSの一義的な機能です。
正直そんなに面白くなく、「しぶめ」の話です。
しかしHEMSはここからが面白いのです。
つながることにより新しくできること。
「たら」「れば」の話ですが、次回はその話をしたいと思います。
■HEMSって何? 2013版
01 電力会社とスマートメーター
02 HEMSの構成
03 HEMSに必要な機器、技術(本編)
04 つなげると何ができるのか?(仮題 次編)
2013年11月29日