HEMSって何? 2013年版 その2
HEMSの構成
前回はHEMSが必要とされる社会的理由に関して、スマートグリッド、スマートメーターを取り上げました。
今回は、何ができればHEMSなのかを説明します。
■何ができるとHEMSと呼ばれるのか?
成り立ちと名称から、次の要素があると思います。
まず成り立ちから2点。
1)その家の電気消費状況が分かり、その情報をそのエリアの電力を管理するCEMSCommunity Energy Management Systemに伝えること。
2)電力消費ピーク時には、一時的な節電ができる様に、家電をコントロールできること。
次に、家庭用エネルギー管理システムということですので、
3)どの家電が、どの位電力を使っているのかが分かる。
4)家電を集中コントロールできる。
1)と3)、2)と4)は似通っています。
しかし実際は全く異なります。
1)はトータル量ですが、3)は個別量です。
2)は極端な話、エアコンでも冷蔵庫でも電力量がカットできれば良いということです。が、実際冷蔵庫を一時的にでもオフにすることなどあり得ません。
社会的な要求と、家庭の事情は異なるのです。
HEMSは、スマートメーターを通して寄せられる社会的な要望の受け皿とも言えます。
またお気づきとは思いますが、3)と4)の間に抜けている行為があります。
どの家電を操作するのかの「判断」です。
人の要求は、個人個人全く違いますので、現在は、その家の人に判断してもらう方法を取っています。
ということで、
●それぞれの家電の電力使用量が分かる。
●必要に応じ、任意の家電をコントロールできる。
この2つの機能がマスト条件となります。
■それぞれの家電の電力使用量と言われても・・・
今、家にどの位家電がありますか?
「TV」「ビデオ」「冷蔵庫」「電子レンジ」「オーブントースター」「炊飯器」「洗濯機」「乾燥機」「アイロン」「エアコン」「PC」・・・。
トイレの「便座」もそうだし、おっと部屋ごとに「照明」もあったんだ。
正直数えるのも億劫になります。
資源エネルギー庁の調査データを掲げましたが、凄いですね。ベスト5は、
1)電気冷蔵庫 14.2%
2)照明器具 13.4%
3)テレビ 8.9%
4)エアコン 7.4%
5)電気水温器 5.4%
小計 49.3%
これらの電力を全部取るの・・・・。大変、もうイヤっ・・・。
と、放りだしてしまいそうになりますよね。
世界的な流れとしてHEMSを導入しようとしており、日本も国を挙げて取り組んでいます。
その中に、NEDO 独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構のこと。「独立行政法人通則法」「独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法」に基づいて設立された独立行政法人で、規模は日本最大の技術開発推進機関。/JSCA一般社団法人 日本建築構造技術者協会のこと。Japan Structural Consultants Associationの頭文字を取り、JSCAと略される。/ 国際標準化 WGワーキング・グループの略。/ スマートハウス・ビル標準・事業促進検討会というのがあります。
その中で「HEMS接続の重点8機器」として次の機器が掲げられております。
1)太陽光発電
2)蓄電池
3)燃料電池LPGガス、石油、都市ガス等の燃料から「水素ガス」を作り、空気中の酸素と化学反応させて発電する。
4/5)EVElectric Vehicle。電気自動車のこと。/PHVPlug-in Hybrid Vehicle。プラグインハイブリットカーのこと。コンセントから充電できるが、あくまでもハイブリットカー。
6)エアコン
7)照明機器
8)給湯器(電気温水器)
えっと思われる人がいるかも知れません。
そうですよね。冷蔵庫が入っていませんからね。
が、良く見て下さい。3つに区分されること、分かりましょうか?
●家庭で電力が作れる機器(太陽電池、燃料電池)
●家庭で電力を溜められる機器(蓄電池、EV、PHV)
●ピークカットができる機器(エアコン、照明機器、給湯機)
スマートグリッドは、売電も考慮したシステムなのです。
またピークカットしても、まず文句が来ないものを選択しています。
エアコンは設定温度を0.5℃位上げるだけでも効果がありますし、照明は15%位暗くしても目が慣れます。
皿洗う時の温度もそうですよね。汚れの落ち方には差がでますが、40℃以上だと手の方は文句を付けませんから。
逆に冷蔵庫は、電力を下げるわけには行きません。
TVもそうですね。
高校野球 決勝戦、応援しているチームは1点差ビハインド。9回裏最後の攻撃、2アウト満塁。バッターは4番。2ストライク、3ボールの時、電気使いすぎ、「バッチン」とTVが切られたら、怒りますよね!
HEMSは人間に沿ったシステムであり、今の段階ですと、大まかに抑えておけば用が足るシステムでもあるのです。
■HEMSに必要な構成
これで次のことが分かります。
1)その時の家電の電力消費状況が分かるシステム
2)その時の家電の使用状況が分かるシステム
3)どうすべきかを判断できるまとめられたデーター
4)家電に指示を出すことができるシステム
5)8大重点機器は、なるべく把握のこと
8大重点機器と称しても、持っていない家庭もあるので 5)はカッコ付きです。
ここまでの説明で、HEMSがしなければならないことがお分かり頂けたと思います。
さて次回は、HEMSを構成するために必要な機材、技術をまとめます。
■HEMSって何? 2013版
01 電力会社とスマートメーター
02 HEMSの構成(本編)
03 HEMSに必要な機器、技術
2013年11月28日