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【サーキュレーター】シャープの新たなる挑戦は得意技術と共に。
シャープ プラズマクラスター サーキュレーター「PK−18S01」


扇風機とサーキュレーター。似てますが、異なります。扇風機は、風で人が涼むもの。サーキュレーターは、部屋の空気を撹拌。隅から隅まで部屋の温度を一定にしてやろうとするものです。20年くらい昔、初めてサーキュレーターを買った時、扇風機の代わりにならないかと試したことがありますが、全く別物。
まず風質が違います。サーキュレーターの風は体に当てても、そんなに涼しくない! 直進性の強い風=涼しい風ではないのです。風にも色々あるわけです。風は、空気の流れと人間の肌(触感)という関係ですが、人間はまだまだ理解が不十分なわけです。

そんな中、シャープがサーキュレーター部門に参入。扇風機は参入済みですが、サーキュレーターは今回初。シャープのサーキュレーターの特徴は何でしょうか? また、どんな人がこのモデルに合うのでしょうか?

 
■シャープの風もの家電
令和の今、空調家電は色々な種類があります。必需品とされる「エアコン」。健康的な生活を考えるとぜひ欲しい「空気清浄機」。湿度を制御する「加湿器」「除湿機」。エアコン暖房が苦手な人は、「セラミックヒーター」「オイルヒーター」「電気ストーブ」。これに加えて、人間が感じ取れる風を司る「扇風機」。そして部屋の空気を撹拌する「サーキュレーター」と、重複を除去しても4〜5機種、使っていることになります。

当然、人によっては、要らないと判断されるジャンルもあります。そうでないと、壁にかけるエアコンはともかく、他の家電が場所を取ってしまいます。このため、エアコンがあれば、後は不要とする人も多い。その上、2000年前後は、「高級」扇風機というジャンルがない時代。シャープは、2001年に扇風機事業から撤退します。

再参入は2011年6月。3月の東日本大震災の影響を受け、電力不足=節電ということで、扇風機がバカ売れした年です。シャープは震災後に再参入を決めたそうですから、超速の立ち上げです。ちなみにこのモデルからお得意の「プラズマクラスター」が付いており、6月10日発売のPJ-A3CLL-Wが、プラズマクラスター搭載の1号機です。

以降、2012年DC扇風機を追加、ラインナップを充実させます。2016年風質を追求、長時間風に当たった時のだるさ感を抑制します。2018年には壁掛け型でラインナップを拡充。翌年、2019年は滑らかな風を目指し、多枚羽化させ現在に至ります。

この間、2011年から約4倍の事業規模になったそうです。

 

●シャープ プラズマクラスターサーキュレーター PK-18S01-H
H:グレー系。サイズ:253W×197D×329H mm
空気循環適応目安:〜30畳、プラズマクラスター適応面積:約10畳


■風もの家電のマーケット
一方、2020年、コロナ以降は、サーキュレーターが伸びています。一つは、エアコンの効率を最大にしたかったこと、また風質がぐんとよくなり、扇風機と兼用で使っても問題ないレベルになったこと、が挙げられます。
結果、2016年風もの家電でサーキュレーターが占める割合が13%だったのに対し、2020年で26%2024年は40%まで行くと予想されています。ここ数年で、主客逆転の可能性があります。つまり扇風機だけ追いかけていくと、この先、ジリ貧になる可能性があるということです。

ただし、シャープはその理由を明言していません。私の方でサポートさせていただきますと、今の扇風機は価格が高いです「高級」扇風機は、バルミューダが市場開拓したものです。売りは微風の良さ。しかし、今は普通のメーカーでも、勘所を掴んできています。加えて、風の心地よさは、人間の触感など曖昧な分野とも言えます。要するに正解は1つに絞られるのではなく、色々な方法があると言うわけです。

日本メーカーは家屋が狭いので、兼用できる機能は兼用させるよう技術を磨いてきました。扇風機とサーキュレーターの一番の違いは、サイズです。サーキュレーターは棚にちょこんと乗せることができるスモールサイズですが、扇風機は、ドーンと部屋の中央に置かれます。正直、これがウザイ。初めは微風を楽に出せる扇風機に、サーキュレーション機能を持たせる形ですが、サーキュレーターがある程度微風が出せるようになると、サーキュレーターに微風機能を持たせたモデルが一気にメインになります。

つまり、今のサーキュレーターは小型扇風機として使えるわけで、世帯構成員数がどんどん少なくなる現代。こちらがメインとなるのは当たり前です。

●シャープ プラズマクラスターサーキュレーター PK-18S01-B
B:黒系。2色展開。 2024年4月18日発売、オープン価格。


 
■プラズマクラスターサーキュレーターの特徴
●フクロウに学んだ羽根
このため、まず重要なのは、心地よい微風と大風量の両立

今の世、単純なサーキュレーター(大風量)を出しても売れませんし、第一単価が安い。自家薬籠中の液晶テレビを安価に売りすぎて、会社を傾け、ホンハイの傘下となったシャープに許されることではありません。この市場で強いのは、アイリスオーヤマ。扇風機兼用型のサーキュレーターでも、使えるレベルの微風を出しますし、第一安い。

新規参入メーカーとしては、最低でも今あるものと同等レベルに達してないと、新製品の価値がありません。

●冷え過ぎないため、
アサギマダラ蝶の羽を模す


●シャープはネーチャー ウィングとして
色々な鳥の羽を研究している。


シャープは羽に工夫を凝らします。遠くまで風を飛ばしかつ風切り音が小さくする羽根の形状を工夫します。参考にしたのは、フクロウ。ハリー・ポッターでファンが増えたこの鳥。実は肉食の猛禽類。他の鳥と一線を画すのは、夜行性であること。鳥は基本鳥目ですので、夜は活動しません。ライバルがいない時に狩りをする、頭のいいやつです。実際ギリシャ神話の昔から知恵ある鳥として扱われており、アテナ神の象徴ともされます。

夜に活動する動物は、その特長として音と匂いに敏感なことが挙げられます。夜なので視覚がそれほど当てにならないからです。フクロウはそういう動物を狩るわけです。武器は必殺の4つのかぎ爪です。使うためには、静かに襲いかかる必要があります。このため、フクロウの飛翔はものすごく静か。しかも狩る場所は森の中。真上から襲いかかる感じです。羽は静かで、空中停止(ホバリング)できるように、特殊な形状を持ちます。複数の要素で構成される中から、シャープは、その中から、サーキュレーターに必要な、大風量の力強い羽形状を採用します。

●羽形状だけでなく、空気の取り込み方にも工夫。
風速を高める効果があるという。


会場では、10mに渡り、風車を並べ端の風車まで回るのかのデモをしていました。
✴︎写真記録してしまったので、3回リピートさせています。



 
●やさしい運転音
海外のサーキュレーターは、見事なくらい大きな動作音がします。弱でもそれなりにうるさい。私は、扇風機とサーキュレーターの複合型は、2000年の初めの10年、私は、扇風機ベースならともかく、サーキュレーターをベースにしたモデルで、複合型はできないものと諦めていました。その位、サーキュレーターは煩かったのです。

当モデルは、リビング20畳、風力:7で使った場合、44dB。40dB台の音は、閑静な住宅街の昼下がり、図書館内と同等であり、耳障りではありませんし、会話に困ることはありません。そして、寝る時を想定した、風力:4では、8畳で34dB。深夜の郊外、鉛筆での執筆音同じレベルになります。要するに寝るのに不自由がないわけです。

これは、やはりフクロウの羽形状の効果が大きいと思われます。フクロウの羽ばたきは、ほぼ無音ですからね。ただ、モーターも動作音が静かな必要があり、シャープは頑張っていると思います。

 
●「プラズマクラスター NEXT」を搭載
最後はシャープお得意の「プラズマクラスター」の最強バージョン「プラズマクラスター NEXT」を搭載していることです。プラズマクラスターとは放電により、空気中の水蒸気が活性イオン化。この活性イオンがウイルスなどをやっつけます。ポイントは、「濃度」。濃度が高い方が、ウイルス、悪臭の元などを、やっつけることができます。NEXTは、1cm³あたり50,000個以上ですが、イオンはできた側から反応していきます。それをキープできるのは、やはり密閉空間。もしくは近距離。ちなみに消臭テストの距離は1mでした。

 

ボードの下には、小さい文字で、以下の文が書かれていました。 ●吹き出し方向に約1mの位置で、約20分〜約4時間後の効果です。試験空間での実証結果です。実使用空間での実証実験ではありません。* ※1<付着生乾き臭> ●試験機関:当社調べ ●試験方法:機器の吹き出し方向に約1mの位置に生乾き臭のニオイ成分がしみこんだ試験片を置いて消臭効果を6段階臭気強度表示法にて評価。 ■試験結果:約1時間で気にならないレベル(臭気強度2以下)まで消臭。衣類乾燥機運転「風量最大」で実施。*ニオイの種類・強さ・対象物の素材によって、消臭効果は異なります。吹き出す風の当たらない部分のニオイは取れません。詳しくはホームページをご覧ください。


 
上手に使えばとっても便利なプラズマクラスターですが、私は色々な問題があると思っています。
1つ目は、ユーザーが密閉空間でこそ強いと言うことの認識が甘いことです。サーキュレーターは、部屋の隅に置いて使うのが普通。設置の仕方によっては、臭いの源から、離れてしまいます。そんな時は、最大効果を発揮することはできません。サーキュッレーターは小さいですから、どこでも持ち運びできます。手間はかかりますが、バッチリ対応したいものです。

加えて言うと、当モデルの適用畳数:30畳に対し、プラズマクラスターの適用畳数は、10畳。このためプラズマクラスターは狙いを定めた上、なるべく近距離で用いるのが望ましいです。

 
2つ目は、総運転時間 約17,500時間(1日24時間連続して運転した場合約2年、1日8時間毎日使用した場合約6年)経過すると、本体のランプが点滅し交換時期をお知らせ、約19,000時間(約2年2ヶ月)経過するとプラズマクラスターイオンの放出を停止すると言うことです。取説には、メンテナンスの項に、プラズマクラスターイオン発生ユニットは、交換の必要がありませんとしてありますが、これは、1日8時間も使わないと言うことでしょうか? 個人的には、部屋にいる間、睡眠中は使用していますので、外出の8時間を除いた16時間は使うような気がします。

ちなみにトリセツには交換パーツの型番がありません・・・。しかしcocoro store(シャープのネットストア)を見ると、安いもので、2750円、高いもので、7700円とあります。メーカー想定とユーザーの使用の仕方が異なるのは、ごく当たり前。家電は使われてナンボのもの。使うことのできなくなった機能は、特徴にしてはダメだと思います。少なくとも交換パーツの型番記載はお願いしたいと思います。

 
●洗ってきれいにできる
空調製品は、結構汚れます。扇風機のように動いている家電でもダメ。ホコリは溜まります。
特に、今のリビング・ダイニングが当たり前になると、調理のたびに油滴が舞いますので、どんどん汚くなります。
当モデルは、楽にバラして水洗いすることができます。この手の汚れは気にしない人もいますが、気になるとストレスが溜まります。キレイにできるとストレス解消。掃除できるって気分が良いです。

ファンは、その形状のため、かなりの高さを持つ。


 
■第一印象 第一印象は「高さがある」でした。(カタログ値:329mm)フクロウはかなり痩せた鳥なのですが、無音飛行を行うため、モフモフの毛で体を覆います。加えて翼も驚くほど大きい。このため高さ方向に大きくせざるを得なかったのではないかと思います。
今の東京では、洗濯の室内干しは当たり前。そうでないと、花粉、黄砂、PM2.5などに汚されてしまいます。しかし冬場は、実に乾きが悪い。このため風を当てるのですが、できれば下から上が望ましい。と言うのは、洗濯物の中の水は重力に引かれ上から下へ移動するからです。ベストは洗濯物の真下から真上へ抜ける感じです。それに対し、まだパーフェクトな解答を出しているモデルはありません。そう言う意味では、完全な優位性はありません。

あとは、「よくできている」ですね。プラズマクラスターの寿命などの問題はあるとは思いますが、扇風機とのハイブリッドとしては良い感じです。風量:4は微風モードですが、それで33dBはかなりの物です。今年、扇風機、もしくはサーキュレーターの購入を考えている人にお勧めのモデルといえます。

 
 
商品のより詳しい情報は、以下のURLでご確認ください。
https://jp.sharp/pci_fan/
 

 
 
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2024年4月13日