思うこと

テレビという商品をもう一度考えてみよう


テレビが売れなくなっていると言われています。
日本の家電メーカーはテレビ事業部を手放したり、事業縮小したり、対応に大わらわです。 税金でエコポイントを付けて買ってもらったのに、納税者である社員をリストラしている訳ですので、筆者は大いに矛盾を感じているのですが・・・。

現在のテレビ事業は「大きい」液晶パネルを「安く」作る生産競争であり、設備投資の規模で大きく変わります。これら経営判断に関する話は、色々な人がケンケンガクガク討論しているので突っ込まないで置きましょう。

筆者が今興味あるのは、「次のテレビというは、韓国が推す「有機ELある種の有機物に電圧をかけた時に起こる発光現象。次世代自発光型テレビの技術として注視されている。」、もしくは日本が推す「4K横解像度が4000(Kはキロ。千の意)である超高精細テレビ。ハイビジョンテレビは2K。画素数で4倍の高精細。」「8K横解像度が8000である超スゴ高精細テレビ。ハイビジョンテレビの16倍の画素数。」なのか」と言われています。

テレビの歴史を振り返りながら一寸突っ込んでみましょう。

 

■過去売れたテレビはどんなテレビか?

「家電の華 テレビ」と言われていますが、買い替え以上の需要があったのは実は4回だけだと思っています。
1)テレビ登場時(1950年代)
2)カラー化  (1960年代)
3)大画面化  (1990年代)
4)平面化   (2000年代)

白黒テレビ NHK技研公開2013 展示品

白黒テレビ @ NHK技研公開2013


1)は説明不要ですね。
家で動画を楽しむ装置の提案です。
家電による、家庭内エンターティメント初提案と言っても良いと思います。

 
 
 
 
カラーテレビ NHK技研公開2013 展示品

カラーテレビ @ NHK技研公開2013


2)は肉眼で見るのと同じように見えるようになりました。
映画のカラー化同様、エンターティメント性が大きく向上しました。

 
 
3)は、迫力アップによる「エンターティメント」化です。
有名なのは、松下(現パナソニック)の「画王」です。
テレビは、1)〜3)と一貫して、テレビはエンターティメント性を強めて来ました。
50インチ プラズマテレビ NHK技研公開2013 展示品

50インチ プラズマテレビ @ NHK技研公開2013


では、4)の「平面テレビ」の魅力は、何なのでしょうか?
いろいろな言い方がされていますが、テレビの家具化、インテリア化で売れたのだと思います。

 
エンターティメント化とは、テレビ内空間をリアル感じさせる技術です。
迫力を持つために大画面化したテレビですが、奥行きが必要なブラウン管テレビでは、アメリカのように家が広い所ならともかく、日本では邪魔な存在になっていました。

邪魔にならない大型化。
それが「平面テレビ」の正体だと思います。
理想は壁掛けです。
絵画・ポスターなら重さ的にも良いのですが、巨大なガラスを有する液晶テレビを壁に掛けるのはちょっと・・・ということで、現在の姿に落ち着いたのです。

 
究極のインテリアは「額縁」だと言います。
それに似た平面テレビはAVに興味のある男性だけでなく、女性からも指示されました。

 
平面テレビ普及に関しては、デジタル技術・地デジへの強制変更を上げる人も居られうことと思います。
その要因はあるのは否定しません。
しかし平面テレビの最も大きな特徴は、家具・インテリア化することで、「大画面を違和感なく家庭に持ち込んだこと」なのです。

 
ちなみにテレビの競争相手であるPCのディスプレイは、今や30インチに近くなっています。
PCの情報収集能力はテレビの比ではありません。
PCが各家庭にある今、テレビの価値は、「大画面がもたらすエンターティメント性」だけに成りつつあります。

 
■次世代テレビの姿とは
平面テレビの理想は壁掛けです。
駅貼りの巨大ポスターが、最も近いイメージです。

実は、その原型となる技術が、5/28〜6/2に行われたNHK技研公開2013で紹介されていました。
フレキシブル(曲げることのできる)有機ELディスプレイです。

フレキシブル有機EL NHK技研2013 展示品

フレキシブル有機EL @ NHK技研2013


展示品は小さく、正直言うと品質も大したことはありませんでした。
しかし実用化された場合、120インチ壁掛けが可能になります。

100〜120インチだと人が等身大に映し出されるため、下を床に合わせると、人が立っているように見えます。例えばサッカーの試合だと、ピッチにいる感じです。その臨場感は観客席を超えます。
 
■技術でなく、商品で語るべき
いろいろな技術(高精細、3D)は、全てテレビのエンターティメント性を上げるためにあります。

ただし今の時代、「単独技術で良しとされる時代」ではありません。

例えばBDの3D技術は非常に綺麗に、立体的に見えます。これはBDが「高精細画質」であるからです。
「ハイビジョン技術」がなければ、「3D技術」も見栄えがしません。
技術を上手く組み合わせて使うのは、とても重要です。

 
今後TVは、「ウォール(壁)エンターテイメント家電」として、単純に「映像」がどうのこうのだけでなく、照明、オーディオなど部屋ごとトータル・コントロールする。さらに究極のインテリア「絵」のデザイン性を持たせる。
更に利便性を融合して作るべきと思っています。

今回は、フレキシブル有機ELを例に出させて頂きましたが、壁掛けできるなら、他の技術でも構いません。
こだわるのは壁掛けの大型化によるエンターティメント性(=商品力)であり、今保有している技術ではありません。

技術はニーズに応じ作るべきモノです。「必要は発明の母」ですから。

 
メーカーは商品を作る会社です。
商品でしか世に色々なことを問えません。有力な技術を持っていたとしても、商品としてユーザーに提示できない限り評価が中々得られません。

そう言う意味でも、商品としての魅力を外さなければ、日本のテレビメーカー復権は可能だと思っています。
頑張れニッポン!

2013年6月13日

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