レポート

【太鼓判】【ドライヤー】「スティック」ドライヤー現る。
その名もカドー(Cado)の「 BATON(バトン) BD-S1」。


初めて見せてもらった時は「なんどこれは!」と思いました。後頭部に当てると、「え、こんなに素直に当てられるの?!!」と感嘆しました。それがカドー社が、2022年10月25日に発売した「 BATON(バトン) BD-S1」です。今回は使った感想をレポートします。
 
これが実物の写真です。この写真、一見でドライヤーと見抜けた人はすごいです。
そう言い切っていいのが、「BATON」なのです。

●カドー ドライヤー「BATON(バトン)」BD-S1
2022年10月25日発売。
同社オンライン価格:29,920円(税込)
色:シルバー、ホワイトの2色


 
■「スティック型」は進化なのか? 簡単なドライヤー形状の歴史
●ハード側の都合を押し付けた「くの字型」

●その昔、家で使っていたナショナルのドライヤー。
使った後、金属部分に触るのはNGfだった。


ドライヤーの形状は、もともと「くの字」でした。
これには理由があります。まず温風を出すためには筒が必要です。その中に、発熱コイルとファン、モーターを入れます。今は小型で軽いモーターですが、当時は重いし大きい。重心も、モーターの下になります。ここに持ち手を付けたわけですが、モーターがあるのは、筒のほぼ片端に近い所。こうして出来上がったのが、ドライヤーの原型です。

メカ側の理屈が押し出されており、使い勝手は含まれていません。

 
●初めてのユーザーニーズ対応「持ち手 折り畳み」
ドライヤーが普及するにつれ、いろいろなところで使いたいと言うニーズが出ます。特には旅先ですね。到着して、お風呂でサッパリ、着替えて食事という段取りでも、髪の毛が濡れているとちょっと大変。旅館で家族で食事をするならともかく、軽井沢のフレンチレストランで、お気に入りのドレスが、髪に当たったところだけ濡れたらちょっと嫌ですよね。

このニーズに対応するためにしたのは、取っ手部の折り畳みです。ちょっと寸胴な本体と沿うようにある取手。よく見るドライヤーの形ができたわけです。

 
●ダイソンならではの発想。モーターの位置を変える。
ここまでドライヤーは、重めの本体に、軽い取手です。これ、重量バランスから言うとひどく悪い。このため、長時間ドライヤーを使うと次の一言がでます。「あ〜ぁ、疲れた。」そりゃそうでしょうね。お風呂でリラックス。

ドライヤーがけは、その直後の労働となります。男性なら数分で済むのですが、女性は延々かかります。10分なら早い、20分で普通。30分で諦めだそうです。しかも体勢も、あっちに手を伸ばし、こちらに手を伸ばすと言う様に、結構複雑です。

これに立ち向かったのはダイソンです。

まず、モノを軽くする場合は、2つの方法があります。
1つは、それを構成するパーツ1つ1つを軽くする方法です。もう1つは、重さを体感にしくくするという方法です。手に持つものに関しては、すべてテコの原理で説明できます。軽く感じようとする場合、重いものを持ち手=支点に極力近づけるのです。

 
ダイソン ドライヤーの初代モデルが発売された時、ダイソンは掃除機で、11万回転/分な上に、すごく小さいモーターをモノにしていました。掃除機用ですが、技術的には使えます。パーツを軽くしたわけです。

あともう一つ。いものを持ち手=支点に極力近づけるです。

ドライヤーに先駆け、ダイソンはファンレスの扇風機を出していました。扇風機も風を送る機構を高いところに持ち、それを支柱で支えます。そして、その支柱を重く大きな土台で固定する。すごく頭でっかちの設計です。安定はあまりよくありません。電気扇風機が出てから、ずっとこの構成でした。この構成はドライヤーに酷似しています。風を使う家電を設計する時、一番最初に思いつく形でもあるわけです。

これに対し、ダイソンは、最も重いパーツ、モーターを土台に組み込みました。重心を思い切り下に寄せたわけです。加えて、ファンレス化。ふわりと、前面に押し出す風を作ることはできなくなりますが、上が軽くなります。圧倒的な安定性を誇る扇風機の出現。私も使ってみましたがなかなかの出来。特にいいのは、設置面積が小さくて済むこと。それは良かったです。

これと同じことをドライヤーでもしました。モーターを持ち手に入れ、そこを持つようにしたわけです。加えて、ノーズを切り落としました。打ち出の小槌のような、デザインでした。

最初は奇妙に感じられたのですが、使ってみるとすぐ納得しました。ノーズがない分、後ろ髪に対し、適切な位置にドライヤーをセットできたからです。その分、肌からも近しいのですが、高温風で乾かすのではなく、低温大風量で乾かすのなら問題ありません。

 
●同じコンセプトで、cadocuaura BD-E1
人間は、同時期に同じことを発想するものです。例えば、電話の発明者は、グラハム・ベルとされています。が、当時、3人の人物が電話の開発を行っていました。グラハム・ベル、トーマス・エジソン、エリシャ・グレイ。ベルが発明者とされているのは、特許申請を一番早くしたためです。が、同日にグレイもしています。数時間差の発明者です。だからこそ、特許で守らなければならないとも言えます。

それはこのドライヤーも同じ。見た目は、少々違いますが、考え方はダイソンと同じ構成のドライヤーです。ほんの数ヶ月後に発売されました。

●cadocuaura BD-E1。今は次のモデル、BD-E2がメイン。


一番違っているのは「価格」です。ダイソンの半額程度です。その昔、マツダのRX-7は、ポルシェ 944とデザインが似ていたために「プアマンズ・ポルシェ」と呼ばれました。貧乏人がポルシェの代わりに買うスポーツカーという意味です。その言葉が頭を横切りました。(ちなみに、マツダは1991年、ポルシェを抑え、ルマン24時間耐久レースで優勝。マツダだけが生産できるロータリーエンジンの凄さを見せつけました。)しかし、ドライヤーは、クルマほどの差はないかとも思いました。

というのは、ドライヤーの寿命は、電源ケーブルの寿命だからです。使っている時はもちろんのこと、仕舞う時も、目一杯の力でぐるぐる巻きにしてみたり、曲げられるギリギリのところまで曲げてみたりと、実使用耐久テストをしている感じです。そして他の部分の寿命が来る前に、ここがダメになるのが早いのです。

このため、美容師などは、ドライヤーは壊れる道具として、安いことを筆頭条件に挙げる人もいます。腕もありますし、お客様のセットをするわけですから、後ろ髪でも前と同じように扱えます。

こちらは、ちょっと行き過ぎなのではと思わないでもないです。というのは、美容院の美容師さんは、ヘアスタイリングのプロ。しかも毎日、毎日、来る日も来る日も、いろいろな髪質のお客さんの注文をこなすわけですから、ブッチャけ、経験値がめちゃくちゃ高いです。

このため、スタイリングに興味を持った女性は、いきつけの美容院で、話の合間に、いろいろな質問をしますね。そして多分、使っている道具への質問も来るはずです。ただ、そこで自分が使っている道具を教えるだけではダメですね。経験値の差を埋める道具(この場合はドライヤー)で教えてあげなければ、それがプロって言うものです。

それはともかく、cadocuaura BD-E1、その後出たBD-E2は、そんなドライヤーです。

 
■究極のドライヤーを目指したら、スティックに!
人が一番使いやすい形に「棒」があります。杖もそうですし、刀もそれに入ります。理由は簡単で、形状誤差で感覚を惑わすことがないからです。シロウトでもまず、間違えなく使えます。

そうなるとだれでも確実に、楽に使いこなせることを考慮したドライヤーはスティックになります。「く」の字からずいぶん変わったものです。

後は、持ちやすく、覚えてもらいやすく、みんなに可愛がられそうな方向へ寄せていきます。それが「BATON」。体育祭のリレーで使うバトンです。身繕いするときに使うものでスティック形状のものがあればいいのですが、ちょっとないですね。

やるとなれば、徹底的に寄せるのが商品化の鉄則。ドライヤーのバトンは、リレーのバトンと形、サイズが同じ作り込んであります。

バトンは、蛇の様に「今あるパーツを長くし、入れ込みました」というのとは、ちょっと異なる。(蛇の内蔵は、全て細長くなっています。)いろいろな人間の知恵により合理的に進化しています。

 
■髪を傷めずに乾かす要素をふんだんにインストール
乾かし方ですが、バトンは、特に後頭部ですが、髪とドライヤーの距離が取れないことを考慮した近接型ドライヤーとして設計されています。高温風はなるべく使わず、風量で乾かします。これにより、髪の熱傷みを防止することができます。

●3つの切り替えボタンが並ぶ。
上:温冷、中:風量、下:風温
風量:大、中、小の順
風温:高温(赤、85℃)、中温(橙)、低温(黄)、スタイリングの順


動かし方は、ヘアブラシとほぼ同じ。ヘアブラシは3歳の娘でも上手く使いますから、人の手に馴染む動かし方と言えます。しかも、念が入ったことに、バトンには、マグネット吸着式のヘアブラシ型アタッチメントが付いています。付けると柄がバトンのヘアブラシ。ブラシングしながら乾かすことができます。しかも片手で楽々。今までのように片手にヘアブラシ、片手にドライヤーの、二刀流でスタイリングしていたのとは、ちょっと違います。優雅なモノです。

●アタッチメント装着時。


●アタッチメント裏側。


というより、髪の毛は、基本、触れば触るほど傷みます。キューティクルに傷がつくからです。バトンは、短時間使用に特化することで、髪の傷みを抑えるわけです。

 
■電源ケーブルの付け方は独特。だが、すごく傷まない
先ほども書きましたが、ドライヤーの泣き所は、電源コードの付け根。どうしても負荷がかかるので、ひどい場合には、カバーが裂けたりします。

バトンは、このことにかなり配慮しており、新しい提案をしてきました。ここへの負荷がほとんどかからない、付け根が固定されずードが360度クルクル回転するメカニズムを入れてきたのです。メカを入れるとちょっと重くなるのですが、バトンは重いものは支点=持ち手に集められています。付け根部分は握りませんが、ほとんど離れていません。

●カバーを外したところ。付け根が球状自由関節になっており、
瞬時に捻りを解消する。すげー機能。


名前は「ノンツイスト機構搭載」と質実剛健。虚仮脅しの長い聞いたことがないカタカナを並べるよりよほど好感が持てます。

というより、これは良い。一番壊れやすいところを壊れなくしちゃったということは、寿命が伸びるわけで、こうなると、高いドライヤーを勧めても良いかなと思います。3万円もするドライヤーに相応しい機能と言えます。

 
1月使ってみた結果は、次の通りです。

【長所】 (1)後ろ髪にも、的確に、効率的に使える。
(2)髪が熱をもたない。
(3)ヘアブラシとドライヤー別々に使う必要がない。
(4)使用音に低音成分が含まれていないためか、余り耳障りに感じられない。
(5)ケーブルの付け根が傷みダメになるという思いから解放された。

【短所】 (1)アタッチメントが、ヘアブラシ型しかない。今まで、自分にあったアタッチメントがない人もいる。
(2)長さがある。ケーブルをナチュラルに曲げられるようになるところまで、33〜35cm。キャリーバッグも薄いが長い。高さ的に引き出しに収まるが、長さが必要。
(3)引っ掛け収納に対応していない。本体とコンセント部に輪っかが欲しい。

●とにかく長い。


と、短所が圧倒的に少ないですが、鬼門は収納かもしれません。しかし、お試しの価値は十分ある逸品です。また、無駄な部分を根こそぎ落としたデザイン、そして長寿命化は、今みんなに求められているSDG’sにもかなうモデル。

アタッチメントの関係で、ゴージャスなヘアスタイルの女性には厳しいが、いろいろな女性に使ってもらいたい推しモデルです。

 
商品のより詳しい情報は、以下のURLでご確認ください。
https://cado.com
 


 

 
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2023年1月16日

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