米を嗜好品として捉えた場合の精米機の条件とは何でしょうか?
■嗜好品としての米で、精米機に求める条件
一般的に精米機に求められるものは、玄米を種々の米に精米することです。
種々の米とは、分つき米いわゆる七分づき、五分づきと言われるヌカを一部残した米、胚芽米、上白米、無洗米を意味します。
しかし、今回は嗜好品のためのツールであるので次のような条件にしました。
(1) | 上白米が、米のキズが少なく、きれいにヌカが取れていること。 精米時の問題として、割れたりするが、それが少ないこと。 |
(2) | 5合炊きの合う量の米が、精米できること。 最小単位がkgとなると、精米保存の必要が出てくるため。 |
(3) | 食べる度に精米するので、精米時間は短いこと。 |
(4) | 食べる度に精米するので、手入れが簡単なこと。 |
(5) | 嗜好品の道具であるため、優雅なデザインであること。 |
で、今回は、カタログ・スペックがこの条件に最も近い、山本電気、家庭用精米機[匠味米]RCシリーズから、MB-RC23をレポートします。
■山本電気とは?
山本電気は元々の家電メーカーではありません。本業は「モーター屋」さん。
自動車用モーター、掃除機用モーター、ブラシレスモーター、ミシン用モーター等々、幅広いモーターを手がけています。
もしモーターに「YDK」のマークがあったら、それは山本電気のモーターです。
創業は1934年と言いますので、昭和9年です。所在地は、福島です。
家電は、最近の事業ですが、自社のモーターを活かした、フードプロセッサー、ブレンダー、精米機です。
例えば、ブレンダーの指標の1つに氷破砕性能がありますが、対応しています。モーターが優秀である必要があります。山本電気の大きな特長は、やはりモーターなのです。
もう1つの特長は、プロデュースを、あの「道場六三郎」氏が行っていることです。
1993年から放送された「料理の鉄人」の中で、最も強かった和の鉄人です。現役時代の対戦成績:27勝3敗1分、勝率:87.1%生涯成績:33戦5敗1分、勝率:84.6%は並大抵ではありません。大相撲で言えば、6場所(1年間)連続優勝横綱 白鳳関のここ1年の勝率は、83勝7敗、勝率:92.2%。の様な、無類の強さです。
手順、動きの無駄のなさ、そしてどんな食材も巧みに取り込んでしまう創作性は、プロの料理人の中でも凄かったです。
■今回、その他の条件
(1) | 米:コシヒカリ 生産地:新潟県越後滝谷町 特別栽培米:減農薬・減化学肥料栽培 造り人:今井農場 今井昭 購入:カワキタ商店@成城(家に近いところで、玄米売りが基本であるため) 玄米、5kg(2012年生産分) |
(2) | 水:サントリー 南アルプスの天然水 |
(3) | 炊飯器:パナソニック Wおどり炊き:SR-SPX103 通常、銘柄炊き分けコンシェルジュモードの 2つを使用。5合炊き |
■精米の実際
山本電気の精米機は、金属のスクリーン(ザル)に玄米を入れ、ブレードで撹拌。米と米、米とスクリーン、米とブレードがぶつかり、ヌカをこすり取る仕組みです。
とりあえず、5合をセットし、上白米と無洗米を作成してみました。
状況は動画の通りです。
5合だと、玄米で入れた時はスクリーン一杯ですが、ヌカが落ちると体積が20%近く減りますので、問題はありません。しかし重量はかなりのものです。これを均一に回す小型モーターは、山本電気の十八番技術です。
取扱説明書(マニュアル)にある通り、3分10秒できちんと、精米されていました。
無洗米は、6分55秒です。
玄米は含水率:15%が農林水産省の基準ですが、精米でもかなり失われます。また、熱も出ます。
上白米精米時で、手元の温度計を入れますと約30℃、無洗米では40℃近くです。当然、無洗米の方が水分も失われます。
「嗜好品としての米02」にも書きましたが、米自体の含水率が多い方が美味しいと言えます。
コーヒーのグラインダーでも、発熱は問題になります。大きな歯の方が良いなど、いろいろな対応がなされていますが、現時点で最終解答というものはありません。
■味は?
パナソニックの通常モードでの味のみ、ここでは記載します。
光沢、モチモチ感、甘みというコシヒカリの特長を良く引き出した感じです。
しっかりした食感は、長い間、日本一をキープしてきたに相応しいといえるでしょう。
香りは少々薄め。玄米でも、ほぼ1年ですので、新米同等とは行きません。しかし精米したては、それでも香ります。
日本人は香りの話を余りしませんが、嗜好品、コーヒー、お茶、酒、葉巻などなど は、香りが重要です。
山本電気の精米機で精米したコシヒカリは、美味かったです。
■セットと後片付け
セットは簡単。
脚は吸盤状ですので、多少振動があっても周りにそれを伝えることはないですし、精米機自体もしっかり固定されます。
あとは、ヌカボックス、金属のスクリーン、ブレードをこの順に入れ込み、上から玄米を入れるだけです。
注意すべきは、玄米専用のカップを使うこと。
簡単にヌカといいますが、実際は玄米の10%以上を占めるものなので、白米用のものを使うと、量が足らなくなります。
またヌカはかなりの量がでます。再利用をお勧めします。
多いのはヌカ袋とヌカ床。ヌカ袋は、江戸時代定番の石けんですね。ミネラル豊富ですので、美容にもイイとか。
肥料にする場合も多いですね。
とにかく軽いので飛散しやすいことに気をつけてください。
また、ヌカの汚れ物は、軽く洗えます。
■台所に置いてみて
精米機は、コーヒー、お茶と違い、やはり台所に置かれる可能性が高い。
しかし、今の炊飯器は非常にきれいです。
お櫃、しかも高級な漆塗りのお櫃を思わせるデザインが1つの主流になりつつあります。
(もう1つはお釜です。)
山本電気の精米機は、これに負けません。
色、形も非常にきまってます。正直、テーブルで用いられるコーヒーミルと正面切って勝負させてもイイくらいです。
イイ米をワクワクしながら扱える感じです。
■ちょっと気になった点
気になった点は、5合という容量です。
1合、2合、3合、4合、5合、それぞれの合数で動作を確認したのですが、正直、3〜4合がベストマッチングだと思います。気になったのは1合。少量ですが、米が飛ばされ、ピシピシ音がするのです。米の硬さから考えると、これで米が割れることはないと思っていますが、気になりました。
子どもが巣立った後を考えると、1〜3合の小容量が欲しいです。
■食事のバリエーションも拡がる一品
今回は、嗜好品に対する精米機として上白米の評価してみましたが、七分炊き、無洗米も美味しく出来ます。
薬膳の考え方がありますよね。医と食はおなじという考え方です。
RC23があれば、体調の悪い時には七分炊き、調子のいい時は上白米ということも可能ですし、味を変えることに、食事に刺激を与えることも可能です。
いつも食べている米を自在に操れる、山本電気[匠味米]RC23は、お買い得と思います。
■主な仕様
サイズ | 20(W)×23.8(H)×27.4(D)cm |
重さ | 約3.1kg |
コード長 | 1.4m |
容量 | 1合〜5合(1合刻み) |
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