有機ELならでは!20段階で曲率調整できる“自由に曲げられるテレビ”。
42インチ有機ELテレビ「LG OLED Flex」その2。
あるいは、ゲームディスプレイとテレビの違い。
その1の続きになりますが、情けないことに、まだ新製品に関しては何もレポートしていません。まぁ、テレビという家電は、それだけいろいろなモノを背負ってきた家電なのです。では、LG OLED Flexをレポートして行きます。
■「没入感」を強調したモデル
一言で言うと、有機ELの特徴「曲げられる」、を全面に打ち出したテレビです。それは「湾曲したテレビ」のことではありません。湾曲しただけのテレビなら、液晶でも可能ですし、実際に発売されたこともあります。
なぜ、そんなに曲がっていることが重要なのか?
それは「没入感」です。
ディズニーランドを思い出してください。ランドに入ると、外とは遮断され、周りは全部ディズニー。スキーもそうですね。ゲレンデは、雪以外何もありません。集中し易いですね。
映像で言うと、映画館がそうですね。暗くして、スクリーンに集中させます。
映画は、盗撮→DVDという裏ビジネスで20世紀に一度ダメになりました。盗撮ビジネスで儲からない様にしたのが、今の映画館=プレミアムシアターです。御三家は「IHXシアター」「IMAXシアター」「ドルビーシネマ」ですね。
まずはルーカスフィルム、音響から始まった「THX」。今は音響は言うに及ばず、画もすごいです。THXは劇場認定ですので、劇場で見るのが一番です。次は撮影カメラ〜再生も完全に計算し尽くされた映像美の「IMAX」。同様にドルビービジョン(映像)、ドルビーアトモス(音響)を要する「ドルビーシネマ」。映画館で見る映画の質をアップさせて、民生用のカメラで盗撮しても、同じ質にならないようにしたわけです。これ以外にも、4DX、MX4D、BESTIAなどがあります。
しかし、もっと分かり易いのがあります。立体映画の「3D」、3面マルチプロダクションの「Screen X」などです。
私が、この夏、「トップガン マーベリック」でチョイスしたのが「4DX」と3面マルチプロダクションの「Screen X」の組み合わせ。今回は前回より戦闘シーンがスゴイと聞いていましたし、操縦席からのビューもバッチリと聞いていたので、操縦席ビューそのものを狙ったからです。そして念には、念を入れて席は、前側。お陰でバッチリ楽しめました。これも「没入感」を高めるためです。
全力で楽しむ時、「没入感」はとても重要です。
■曲率を変えることにより、没入感を自在に操る
テレビが大きくなる=エンタメ性が強くなるにつれ、目の前はテレビ画面でいっぱいになります。しかし、逆に端の方にはなかなか目が行きにくくなります。こんなとき、曲がっているととても見易いです。
一人でど真ん中にどかっと座る分には、かなり湾曲していても問題ありません。が、二人ならどうでしょうか? もう少し緩い曲率でいい感じです。 間に子どもが入るとかなり平面に近い曲率がいい感じです。
一人住まいでも、テーブルで食事をしながら見るのと、ソファーから見るのでは、距離も、見え方も異なります。
テレビは、リラックスした時に見るモノですから、映画館、机の様に、常に同じ位置とは行きません。超集中して見たい時もあるのですが、ただ単にダラダラ見たいと言うこともあります。
曲率固定だと、そんな曖昧なニーズに応えることはできません。しかし、自家発行型の有機ELテレビは、曲げの時に支障となる液晶バックライト基盤を持ちません。それなりの力が要りますが、いつでも曲げることができます。今回のモデルはこの特性を利用したモノです。
■ゲームディスプレイをテレビに
エンターティメントで、没入感を最も必要とするジャンルは「ゲーム」です。我を保ちつつも、ディスプレイに表示される視覚情報をどんどん読み取っていかなければなりません。そして瞬時に判断し、判断に基づきゲームを進行させることも必要です。こちらも瞬時。特に、キーボードとマウスという入力ガジェットは、応答性の良さを求められます。このため長時間PCを使う人は、「ゲーム用」の愛好者が多い。(私も使っています)それほど、スゴイと言えます。
この修羅場の様な環境に合うのが、有機ELなのです。自家発光デバイスなので、応答性が速く、階調もいい。階調がいいということは、見分け易い、視覚情報をより的確に入手できると言うことです。
大型の平面ディスプレイだと、大迫力でゲームを堪能できる一方、画面の端々まで視野に入れる必要があります。そして人が欲する没入度も様々。ここで活躍するのが、LG OLED Flexに搭載された、20段階も曲率段階を微調整可能な曲げのシステムです。
テレビとゲームディスプレイをごっちゃにした様な書きっぷりですが、それには理由があります。この2つは基本的に同じものだからです。テレビはゲームディスプレイに「テレビ波受信機」を付けたものです。ちなみに、テレビはテレビ波を再現するモノという意味です。
ゲームディスプレイの場合、机の上に置き、ごく近くにキーボード、マウスをセットします。ディスプレイとの距離はかなり近めです。机の上に置けること、一目で隅々まで見回せることを考慮すると、42V型レベルが最大となります。
一方、日本では、家屋が狭いせいもあり、大型のテレビは、平面型と言ってもあまり好まれません。今のテレビは一声、50V型以上の画面サイズが当たり前と言われますが、50V型でも大きいと感じている人も多いのです。このため、日本市場だけは、50V型以下のラインナップを充実させる傾向が出てきました。これは日本独特の特徴です。
LG OLED Flexは、実際、海外ではゲームディイスプレイとして販売されています。それを日本市場では、テレビとして扱った方が利点が多いと言うわけです。
■平面テレビの泣きどころ、「音」はなかなか
底面テレビ最大の泣きどころは「音」です。音は空気の振動です。小さな振動を、ホーンなどで増幅しユーザーに届けます。このためにはスペースが必要なのですが、平面テレビは、ブラウン管テレビであった奥行きがありません。要するに、いい音を作り出すためのスペースがないわけです。このため、貧しい音で満足するか、それともサウンドバーなどお金を払って機材を追加するかです。
しかし、LG OLED Flexはいつものとはちょっと違います。LG OLED Flexは画面を湾曲させるアームが付いています。当然、モーターも必要ということで、パネル+アームと釣り合わせるため、かなり大きめのスタンドを有しています。この中に、スピーカーも入っています。振動に強い筐体を持ったスピーカーになったわけです。音もパワーアップしています。
■ゲームディスプレイの底力
ゲームディスプレイとして作られただけあり、画の見やすさは一級品です。
01で、液晶がフィギュアの動きに対応できなかったと書きましたが、間違ってもそんなことはありません。特徴を、列挙しておきます。
●ハイフレームレート(HFR) 4KのHFRに対応し、通常の2倍にあたる最大秒間120フレーム(120Hz)での表示が可能。なめらかな動きを実現します。
●「応答速度0.1ms」で高度な映像もくっきりあざやか レースゲームなど画面の切り替えが速いシーンでも残像感が少なく、スピード感あふれるゲーム映像が楽しめます。
●「ゲームオプティマイザ」の手動設定でさらに自分好みに 自分のプレイ環境やゲームジャンルに合わせて、画質・音質モードを自由に選択。
●「エコーキャンセリングマイク」で、ヘッドセットなしでもボイスチャットが可能 スピーカーから聞こえるゲーム背景音を小さくし、ボイスチャットの声を明瞭に伝えるエコーキャンセリングマイクを内蔵。ゲーム用ヘッドセットがなくてもボイスチャットができ、チームメイトとの意思疎通もよりスムーズに行えます。
●「LEDライティング」で背面も自在にカスタマイズ ●「ゲームダッシュボード」でプレイ中も設定が一目でわかる ●クラウドゲーム「GeForce NOW™」に対応 ●「スイッチングハブ」で1つキーボードとマウスでテレビとPCを操作
■懸念点
有機ELの良さを全面に押し出したモデルですが、懸念点がないわけではありません。あまりにもストレートに、ゲーム仕様なところがあります。
前項の『「LEDライティング」で背面も自在にカスタマイズ』などは典型的な例で、切り忘れると、リビングがゲームセンターと化す。アゲアゲのゲームとリラックス、リビングライフでの差はとてつもなく大きい。ここは「いつか自分もゲームをするかも知れない。まっいいか。」という感じで対応しましょう。
■最後に
当テレビは、最新の有機ELパネルをうまく使ったユニークなモデル。
価格も手頃であり、PC用マルチモニターとして、私が欲しいと思うくらいです。特に、能動的な活動をしている時は、安定している変わらない環境と同じくらい、目先が変わるのは重要。兼用ディスプレイとして、とてもいいモデルだと思います。実際、発表会会場でいじってみましたが、かなり集中しやすいです。
■参考情報
●新製品
「有機ELならでは!20段階で曲率調整できる“自由に曲げられるテレビ”。
42インチ有機ELテレビ「LG OLED Flex」その1
あるいは2022年までのテレビの動き。」
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2022年12月15日
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