新製品

有機ELならでは!20段階で曲率調整できる“自由に曲げられるテレビ”。
42インチ有機ELテレビ「LG OLED Flex」その1
あるいは2022年テレビの動き。


LGエレクトロニクス・ジャパン(株)から、平面から最大900Rまで20段階で曲率調整が可能な42インチの有機ELテレビ「LG OLED Flex(型番:42LX3QPJA)」が、2023年1月18日(水)から発売開始されます。(※ 2022年12月1日(木)から予約開始)

今回は、2022年のテレビの状況がわかるように、当モデルを中心に、いろいろな資料をまとめレポートします。
 

●LGエレクトロニクスの42インチの有機ELテレビ
LG OLED Flex(型番:42LX3QPJA)


 
■自家発光型テレビがテレビだった時代 〜「有機ELテレビ」前史〜
2008年だったと思います。誰もが、フィギュアスケーターの浅田真央を応援していた時代。

年末の商戦、テレビ売り場では、当然のように彼女の画像がリピートされます。そのうち、彼女のテレビ中継が入るというので、ライブ映像に。とたん液晶テレビがギクシャクした映像になりました。液晶の応答性が真央ちゃんの切れ味鋭いスケーティングの速さに追いつかいのです。この時、私が思ったのは「自家発行型のテレビが欲しい」でした。

●当時、みんなが熱狂したフィギュアスケート。
この静止画のような動画再現は、当時の液晶テレビではできなかった。


液晶モニターの応答性が悪いのは、映像業界では常識。細田守監督の人気作品 映画「サマーウォーズ」は、仮想空間での夏休み決戦を描いた作品にもそのくだりが出てきます。ラブマシーンというハッキングにより仮想空間では無敵を誇るAIに、真田家の末裔、陣内家の大家族が手を変え、品を変え戦いを挑みます。その内の一つに「ストリート・ファイト」があります。格ゲーというやつです。

 

●キングカズ。世界的に有名な、無敵のストリートファイター。
映画「サマーウォーズ」の無料使用可能シーンを使用。


キングカズマで、必勝を期す佳主馬(カズマ)は、電気屋を営む太助おじさんに「ブラウン管モニターある?」と聞きます。おじは頷きながら「あるある。」 自家発行型のブラン管を使うことにより、遅延をなくそうというわけです。その勝負の行く末は・・・。

この作品が2009年です。日本のテレビメーカー各社は、まだまだチャンスがあるとし、自家発光型テレビを開発、液晶テレビの雄 シャープの後を追いかけます。当時の一番手は「プラズマテレビ」を有したパナソニック。強みは当然自家発光型の鮮やかな画。諧調が豊かななおで、暗いところの描写でも色潰れしません。弱点もありました。発熱と電力消費。プラズマという状態にするためには、膨大なエネルギーが必要なのです。そのため、発熱も激しい。暖房が要らないとまで言われたモノです。

●当初、パイオニアもプラスマテレビで頑張っていた。
名は「KURO(黒)」。
経営不振で事業はパナソニックに買収される。
当時、最高のディスプレイの誉高かった。


プラズマは、消費電力に目をつぶれば、とてもよくできたテレビでした。応答性が早いのもそうですが、なんたって「色がきれい」。液晶のようにバックライトを使用しないので、黒の時明かりが漏れることもありません。黒が白っちゃけた黒ではなく、ビシッとした黒で再生されます。当時DVDの画質チェックをしていた私もテストモニターとして使っていました。

液晶は、この応答性と色の悪さを克服する一方、生産性の高さで世界に打って出ます。生産品質は日本の十八番。当時の液晶のシャープ亀山工場、パナソニックの尼崎工場と言えば、世界でも一二を争う最新鋭設備でした。

 
プラズマも液晶も欠点があります。特にパーフェクトなテレビを目指すなら、新しい自家発光デバイスをモノにするしかありません。そこで目をつけられたのが有機系の発光デバイス。有機系ですから、素材に寿命があります。が、「そこは技術で!」といろいろなメーカーが挑戦しました。

プラズマと液晶がマッチレースをする中、次世代テレビとして、有機ELがそれを追いかける構図ができあがったわけです。

 
そして、2011の地デジ化を経て、日本メーカーはテレビ事業で大きな痛手を被ります。
単純に言うと投資額に対し、安く売りすぎたのです。

 
■日本のテレビ事業は崩壊した理由を再度考える
面白いのは、1963年、第一回東京オリンピックの前の年に似たことが起こっていたことです。白黒テレビの普及は、類を見ないほどの角度で立ち上がります。53年の発売開始後、約10年で世帯普及率:90%。まさに怪物家電です。60年には、一部カラー放送も開始されましたが、こちらが寄与するのは65年以降。しかし、この尋常でない普及曲線を見て、投資をしないメーカーはないでしょう。実際、メーカーは開発、製造に大いに投資をします。

●パナソニック社史「パナソニック百年史」より転載。
注意文、マーカーは筆者追記。


ところが1963年に需要が横ばいになります。需要が一巡したのです。1958年の皇太子御成婚(平成天皇)でもパレートがテレビ中継されるとして、ここでも売りまくりましたので、需要が一巡したとしても可笑しくはありません。また世帯普及率も90%、またテレビが世に出て10年経っていませんので、ほとんどのテレビは、寿命というほど使われていません。

この年、63年の夏、松下幸之助は、主だった販売会社を熱海に集め、売れなくなった理由、売り方の問題点を聞き、対応策を練ります。「松下が悪かった」と言って頭を下げたというエポソードが残るビジネス史に名高い熱海会談です。当時は定価販売が主な時代であり、値下げて売るということが余りなかった時代。ただ、パナソニック(当時の名前は松下電器ですが、パナソニックで通します)は、20%までは値引きに耐えられる価格で販売店に卸していたそうです。逆にいうと、店が20%値を下げて売ることはできるのですが、利益は目減りします。

とにかく、ここで、パナソニックは販売店(主には街の電気屋)と win winの関係を再確認します。ところが思ってもみなかったちょころから矢が飛んできます。ダイエー(大手スーパー)が、20%引きで販売したのです。独禁法は、当時すでに施行されていましたので、ダイエーがいくらで売ろうと、パナソニックは口を出せません。変わりに、パナソニックはダイエーには卸さなくなります。以降「価格破壊」を標榜するダイエーとパナソニックで「松下・ダイエー戦争」と呼ばれる状態に入ります。

公取も動き、テレビの価格を巡り、いろいろな動きがなされます。そして価格イニチアシブは流通に完全に渡ります。俗にいう「オープン価格」です。これが衣類ブランド品なら、メーカーが持つ直営店だけでうり、高価格ブランドとして固めればいいのですが、家電にそんな考えは通用しません。第一、水道哲学を旨とし、日本国民を家電で豊かにしようと夢見た松下幸之助に「売らない」という選択肢はありません。水道料金のように値下げなく、全国どこでも均一というならよかったのですが、ただ家電は、水道とは異なり、価格は店側で最終的に決められてしまいます。いわゆるブランド品に近い売り方をされているのは「高級オーディオ」だけです。

 
これと同じことが、2011年に再現されたわけです。ユーザーは欲しくないと言っているに、「地デジになるから」と強引に売りつけたわけです。しかも、この時は、エコポイントで加担すらしています。言い方を変えると、国民の税金で値下げ加担、日本のテレビ事業を追い詰めるのに加担したわけです。

馬鹿な政策を取ったものだともいえますが、逆にいうと、テレビの電波利権はそれほどのもの、メーカーのテレビ事業より重要だったわけです。以降、4大家電の一つ、テレビを日本メーカーは語らなくなります。

 
■こういう時強いのは財閥系
そして、有機ELテレビをモノにしたの、韓国のLG。韓国第4の財閥です。

中にLG化学も有しますし、いろいろな事業を持っています。財閥系のすごいのは、意志統一した時です。それでなくても韓国有数の規模を誇るLGが、一丸となって頑張るわけですから、その凄さは、1メーカーが新規事業として頑張るのとは一線を画します。大手メーカーとして名高いパナソニックも多くの事業部を持っていますが、基本は家電。家電もあれば、重機も扱う、そして化学メーカーも持っているという多分野性には敵いません。ちなみに、LGエレクトロニクスは世界で有数、LG化学は韓国NO.1。どちらの事業部が頑張っているのかは知りませんが、今はバッテリーでも名が通っています。

私も、有機ELが上市されたあと、2015年、ヨーロッパで最大の家電ショー IFAでLGの基調講演を聞いたことがあります。講演というより、勝利宣言のようでした。ある意味、それまで歯が立たなかったテレビで、日本メーカーの上を行ったわけですから、その気持ちはよくわかります。

●ベルリンの地に、これでもかと立つLG OLED(有機EL)tvの旗指物。


●発表も、注目を最も浴びるトップで。


●説明は、こんな調子。途中で何度、営業トークを
聞いている気持ちになったことか!


 
■液晶の凄み
では、液晶はどんどん有機ELに変わっているかというと、正直、そんな感じはないですね。幾つかの理由が考えられますが、一番大きな今の液晶テレビに大きな不満点はないところまで、改良されたということです。

00年代でのフィギュアでは違いがわかりました。しかし、以降、改良を加え、普通の人は問題がないレベルに到達しています。その位、今の液晶テレビは満足度高いのです。

しかも、8Kテレビも商品化されており、有機ELテレビを迎え討つ準備は十二分に整っていると言えるでしょう。

●2018年 日本のCEATECに展示されたシャープの8Kテレビ。
開発はNHKと共同で行われた。


 
もう一つ大きな理由があります。それは、液晶テレビはなかなか故障しないことです。例えば、バックライト。昔、電球、今、LEDです。LEDの発光効率はだんだんと落ちますが、電球のように切れて、その部分が見えなくなるということはありません。それは全素材にいえることで、今やテレビは10年以上確実に使えます。

しかも全世界似た品質で作っていますから、価格もお求めやすくなっています。有機ELもこなれてきてはいますが、液晶ほどの安さではないです。

 
確かに、有機ELと液晶とでは、色、応答性とはことなりますが、ほとんどの人が考えなくても済むレベルに仕上がっているというわけです。

 
■有機ELの牙城「ゲーム・ディスプレイ」
そんな有機ELを指名買いする分野があります。

「ゲーム」です。

●ゲーム用ディスプレイとして置かれた有機ELテレビ。確かに欲しい!


一つ目は自家発光型なので応答性がよいこと。2つめは、色よく、黒の締まりがよいため、暗い空間の描写が極めて正確であることが挙げられます。

その上、画面を曲げられます。理由はバックライトに必要な硬い導光板がないからです。曲げると「没入感(集中力)」が格段に上がります。人間の情報源は視覚。それを正確にコントロールするなら、有機ELがよく、それを一番要求してくる分野がゲーム分野ということです。

また、ゲームで負けるのはいやですから、ゲーマーはディスプレイにお金を惜しみません。

▶︎▶︎▶︎ to be continued

 
 
商品のより詳しい情報は、以下のURLでご確認ください。
https://www.lg.com/jp
 

※今や、OLEDの価格もこなれてきている。

 

 
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2022年12月4日

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