【ヨキヨキ】今熱い、キャニスター型「紙パック掃除機」。
東芝 紙パック式クリーナー「VC-PK9」。
掃除機。令和の今、「コードレス スティック型掃除機」が主流です。今後伸びるのは、「ロボット掃除機」でしょうが、今はスティック型掃除機が一番多く販売されています。それにも関わらず、昭和の時代から使われている、「キャニスター型紙パック掃除機」はラインナップし続けられています。2022年5月に発売された東芝 紙パック掃除機「VC-PK9」のテスト結果をレポートしながら、令和時代の紙パック掃除機を考えてみたいと思います。
■なぜ、令和の時代でも紙パック掃除機は生き残っているのか?
今、手に入れられる掃除機は、大まかにいうと4種類あります。
「キャニスター型紙パック掃除機」「キャニスター型サイクロン掃除機」「コードレス スティック型掃除機掃除機」「ロボット掃除機」です。そして、後3つは、平成デビューなですから、比較的新しい。しかも主流のコードレス スティック型掃除機掃除機は、バッテリー性能が上がり、小型モーター、効率の良いヘッドも作られ、今が旬。しかし、それでも紙パック掃除機は作り続けられています。
考えてみると、紙パックは、それを不要とするサイクロン掃除機と競争してきました。「サイクロンシステム」は紙パック」の欠点である、ゴミを吸うにつれ、排気フィルターの役目も兼ねた紙パックを空気が通りにくくなって行きます。いわゆる吸引力が落ちるというわけです。サイクロンシステムは、ゴミを遠心分離させることにより、ゴミを排気を完全分離。排気抵抗がないために、吸引力が落ちない効力を持ちます。
このように理想的なサイクロンシステムは排気フィルターを持たずにすみます。しかし、実際は、排気フィルターはあります。何事も理論と現実のギャップはあります。ただ、サイクロンシステムの方が排気フィルターにかける負担は少なく、紙パック掃除機に比べ、吸引力が落ちにくいのは事実です。
そして、今のスティック型掃除機は、このサイクロンシステムの原理が使われています。そういう意味では、スティック型掃除機は、キャニスター型サイクロン掃除機の正当後継者と言えるかもしれません。これはサイクロンを作ったダイソン社が、『今後、「キャニスター型サイクロン掃除機」の開発は中止、全力で「スティック型掃除機」の開発を行う。』と宣言したことからも言えると思います。
しかし、それでもキャニスター型紙パック掃除機は残りました。何故でしょうか?
■サイクロンシステムの欠点は「ゴミ処理」にあり。
コードレス掃除機は確かに便利です。しかし正直アレルギーが酷い人には余り勧められない。それは、サイクロンシステムの場合、ハウスダストなどをふくむゴミが剥き出しのままダストボックスに溜められるからです。溜められたゴミは、ほとんどの場合、手で触らず、ワンタッチでゴミ箱に捨てられますが、ゴミ箱の底に叩きつけられるわけですから、昔の汲み取り便所のようにお釣りがくることが当然あります。ハウスダストなどの微細なゴミは、部屋を二次汚染する可能性を秘めているわけです。
「微量なので、問題にならないのでは?」という人もいるでしょうが、アレルギーのきつい人、アレルゲンに敏感な人は、体調が悪いと一気に喘息の発作が起きることすらあります。ドイツのミーレ社は、この問題に超真面目に取り組み、2016年にIFAで、「モノサイクロン技術」と名付けた技術を持つ掃除機のプロトタイプを展示したことがあります。https://www.seikatsukaden.com/?p=16565
これはアレルゲン以下のサイズのゴミを目の細かいスポンジでトラップ。スポンジを洗うことで、アレルゲンを含む細かいゴミを水処理しようとしたものです。しかし手間がかかりますし、ほぼ理想的なサイクロンシステムを作り上げなければなりませんので、本体サイズがものすごく大きくなります。
かなり頭でっかちなモデルで、価格も割高なためでしょうか? 流行したという話は聞きません。
■紙パック型の良さは、「紙パック型の合理性」
そんな時、お勧めなのが、昔ながらの製品ですが、紙パック掃除機です。紙パック掃除機の魅力の一つは、その「衛生さを簡単にキープできる」ことにあります。というのは、昔の紙パックは一層。ペラペラでした。これだとフィルタリング性能もイマイチ。微細なゴミは外に出てしまいます。
排気の二次汚染ですが、昔より重要になって来ています。というのは、今ドキの建物は、エアコンで密閉度がとても高い。その上掃除の時、窓を開けない人も数多く出て来ています。このため、掃除機サイドでは徹底的なフィルタリングをします。
目標は、0.3μm(300nm)以上、99.9%以上。どこから出た数字かというと、空気清浄機です。逆にいうと、これより小さいサイズは、フィルタリングで対応しにくいのです。というのは、手頃なフィルターがないのです。逆に言うと、この目標は、HEPAフィルターの性能そのものです。
紙パックは、パックを複層構造にすることにより、この性能にアプローチしています。少々割高ではありますが、紙パックの性能=掃除機の性能となるところがあります。単なるゴミ袋ではなりません。昔はともかく、今の日本人はランニングコストを支払うことを嫌がる傾向にあります。サイクロン掃除機の場合、フィルターという交換パーツはあるものの、紙パックのように、必ずかかるランニングコストはありません。サイクロン掃除機が支持された理由の一つでもあります。
日本メーカーの場合は、3層構造で、3枚入り約1000円です。家の事情にもよりますが、だいたい1〜3ヶ月持たせることができます。最高でも、4000円で賄えます。紙パック掃除機とサイクロン掃除機では、サイクロン掃除機の方が1万円以上高いことも多いです。差額で2年以上の紙パックが賄えるわけです。
■紙パック掃除機「VC-PK9」の実力
■使って驚くのは「吸引力」
紙パック掃除機「VC-PK9」を使ってびっくりするのは「吸引力」ですね。コンセントから電力供給なので、すごく力強いです。バッテリー駆動のスティック型掃除機とは一線を画します。やはりエネルギー無制限は嬉しいものです。
■紙パックに関する重要なあれこれ
その分、排気も強いです。しかし、純正の紙パックはなんなく受け止めます。と言うより、当紙パックありきで設計されたわけですから、当たり前と言えば当たり前。また、ゴミの捕獲、消費電力なども、この純正パックで設計されています。読者の中には、第三社の紙パックを使いたいと思っている人もいると思いますが、お勧めできません。というのは、今多くのところで必要とされているのが、空気清浄機並みのフィルタリング性能ですからね。
ただVC-PK9の場合、純正品でも何種類かのフィルターが使えます。これは、紙パックも常に開発されているからです。そんな時は、最新のものがお勧めです。VC-PK9では、3層品(VPF-7)ですね。下写真は同梱されていたVPF-5(3層構造。990円(税込)。5枚入り)。ただし、このモデルに書かれている通り、VPF-6(2層構造。770円(税込)。5枚入り)も使えます。前述のVPF-7は、3層構造。1150円(税込)。3枚入りです。割高ですが、最新の方が高性能というより、数段ハイスペックです。
●参考 東芝オンラインショップ https://www.toshiba-lifestyle.com/jp/vacuum_cleaners/betu/vc_paperpack/
ただし、嫌なところも。東芝の場合、フィルターのパッケージには「フィルタリング性能が高い」と書いてはあるものの、数値データーが記されていません。そのため、性能がHEPAフィルター並なのかは、わかりません。官能表現は、一種の逃げであり、このデジタル時代に、ユーザーにとって、あまり望ましいこととは言えません。東芝は、いろいろなことがあったものの規範を示すべき大手ブランドだと思います。ここら辺は、きっちり対応してほしい。
また、電池、紙パックのような消耗品を同梱する場合は、安価なモノを使う傾向があります。今回のも、それですね。安価、多くの場合は古いモノを使ったため、「VPF-7」が記載されていません。こちらも、ユーザーに紙パック掃除機を、よりよく使ってもらうためには、不適切ですね。こう言うところもしっかりして欲しいものです。
■ブラシアタッチメントは装着しっぱなしでOK
スティック型掃除機の場合、本体はハンディ型。このため、細かなところはハンディ掃除機で対応します。スティック型掃除機の大きなメリットですが、多くの場合、ブラシなどの別アタッチメントをつける必要があります。しかし、このアタッチメント、本体装着されていないことも多く、持ち歩かなければならないことも多いです。
このVC-PK9のいいところは、ブラシアタッチメントが、予め装着されていることです。パイプ(延長管)などを外し、スライドさせるとすぐ使うことができます。昔のように、掃除しにくいところに差しかかる度に、アタッチメントを取りに戻らずに済みます。アタッチメントはなくてはならないものですが、メイドさんのように大きなポケットのエプロンを常にしており、そのポケットに入れて置けるならともかく、その都度、取りに戻ったり、探すのはやりきれません。
ただ装着してあるアタッチメントは、径がパイプ径と同じモノであり、先の細くなっているアタッチメントなどは別。完全ではありませんが、かなり便利です。
■気になる徹底度
今、掃除機は、ほぼどんなケースもで掃除できるように、種々のアタッチメントが開発されました。いい例が「ふとん用」。一時ふとん用掃除機が流行ったことがあります。が、今は、きちんとしたアタッチメントさえあれば、ふとんをきれいにすることができます。
「キャニスター型紙パック掃除機」「キャニスター型サイクロン掃除機」「コードレス スティック型掃除機掃除機」は、万能型として設計されています。床から、桟の上まで、ホコリが取れるように設計されています。しかしそれはなかなか感じることはできません。
それはアタッチメントがフルに入っていないからです。超高性能のスーパーカーでも、安価な燃料パイプがなければ動きません。それと同じ。どんな高性能モデルでも、その場所にあったアタッチメントがないと対応できません。
また機能も同じです。掃除機は吸引「標準」「強」だけでなく、ヘッド機能、細かいホコリを見えやすくする「LED」。今、どのサイズのゴミを吸い込んでいるのかをセンシングし、ハウスダストの有無を検知する「ダストセンサー」などが、考案、実用化されて来ました。
こちらも必要とされるべきものですが、搭載されていないものもあります。
■私が「紙パック掃除機」にこだわる理由
最後のアタッチメント、機能に関しては、不要と考える人もいますが、私はそうは思いません。と言うのいは、実生活に取り込める価格で、一番衛生的な掃除機だからです。
二次汚染がない分、アレルギーが酷い人にはお勧め。
「喘息予防・管理ガイドライン」という本があります。通常は「ガイドライン」は治療用です。というより、「予防」は基本ありません。しかし、アレルギー性喘息はアレルゲンを吸い込むことにより発作が始まります。喘息の発作が起こると、気管支は細くなります。首を絞められている状態。半窒息状態になります。私も子どものこと喘息を患っていましたが、何度となく医者に匙を投げられたものです。
しかしアレルゲンがないと発作は起きません。
このために推奨されているのが掃除機を使った「掃除」です。1994年神戸の保健所でのテスト結果からまとめられたものですが、1m2/20秒が基本です。
長いような気がする人もいると思いますが、パナソニックが「クリーンセンサー」(文中のダストセンサー)を出した時テストしてみましたが、それもキレイになるのに、ほぼ同じ時間がかかりました。アレルゲンとなるハウスダストは、もともとがホコリダニの死骸が脱皮カス、フンです。フンはともかく、ダニの死骸や脱皮カスは棘があります。これらが吸い込みの邪魔をするのです。
そして人は、見えないものに関しては、判断が甘くなります。そのための「ダストセンサー」です。また「LED」があると掃除し残しがわかりやすいです。
総合すると、「キャニスター型紙パック掃除機」こそ、一番「衛生的な清掃」が実現できるのはないでしょうか。全部載せは高くなりますが、大掃除などここ一番、確実な掃除機でもあります。
■紙パック掃除機「VC-PK9」の魅力と不満点
使って感じた魅力は、次の3つです。
1)パワフルな吸引力。
2)面倒なメンテナンスがほぼない。またアタッチメントが容易に使える。
3)吸引ゴミによる二次汚染の可能性がなく、衛生的。
1)〜3)紙パック掃除機の魅力でもありますが、強く感じられました。
逆に、不満なところは、フル装備でないところ。
最低「ダストセンサー」と「ふとんアタッチメント」は欲しいところです。
ただ、この売価を考えると、それなりに充実しているモデルとも言えます。
商品のより詳しい情報は、以下のURLでご確認ください。
https://www.toshiba-lifestyle.com/jp/vacuum_cleaners/lineup/?type=紙パック式クリーナー
※今回レポートのモデルとは異なります。
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2022年8月18日
タグ: VC-PK9, キャニスター型紙パック掃除機, ホームケア, 掃除機, 東芝, 生活家電.com, 紙パック掃除機