レポート

2つの意味で面白い、バルミューダのスティック型掃除機「BALMUDA The Cleaner Lite C02A-WH」。


バルミューダのスティック型掃除機「BALMUDA The Cleaner Lite (C02A型)」の発表会。実は、すこぶる驚きました。それは2021年に発売された「BALMUDA The Cleaner (C01A型)」の大幅改良版だったからです。そして、C01A-WHが狙う市場、それはダイソンとバッティングする市場でもあります。
 

●BALMUDA The Cleaner Lite
色は、ホワイト、ブラックの2色展開。
発売日:2022年5月19日、販売価格:64,900円(税込)


 
■同時期に発表された「BALMUDA The Cleaner( C01A型)」と「Dyson Omni-glide」

●BALMUDA The Cleaner
2020年11月17日発売。
BALMUDA The Cleaner Liteの主力モデル。


「コードレス掃除機」の一つの完全版をDyson V12、Dyson V15で具現化したダイソン社が、2021年に出したのが、「Dyson Omni-glide」。

●ダイソン社のDyson Omni-glide。
2021年4月7日発売。


ダイソン社はこのモデルを、「全方向駆動コードレスクリーナー」という「コードレス掃除機」と別のカテゴリーに分類しています。意欲作と言えると思います。

●Wフラフィローラーを持つクリーナーヘッド。
奥行きはあるものの、かなりコンパクトに設計されたヘッド。


特徴は、2つの逆回転するフラフィローラーを搭載したOmnidirectional Fluffy(オムニダイレクショナル フラフィ)クリーナーヘッド。

前後がメインのフラフィクリーナーヘッドと異なり、360°自在に動かせるのがポイントです。テストしてみましたが、実に自在に動かせる。ヘッド以外のところをかなりスリムに作り込んでいるため、ダストボックスが小さいなどの短所もありますが、縦横無尽、自在に動かせるのはとても魅力的です。

 
そのほぼ半年前に発表された「BALMUDA The Cleaner」も、基本コンセプトは同じ。バルミューダではホバーテクノロジーと呼んでいますが、技術は基本おなじです。しかしテストしてみますと、動きが「鈍」。そのためそこかしこで、肩に力を込める始末です。

理由は「手に掛かる重さ」。Dyson Omni-glideが、全重量:1.9kgに対し、BALMUDA The Cleanerは約3.1kg。このタイプは自立型に近く、ほとんどの重さを床が支えます。しかし、これは静止時、ゆっくり動かした時の話。重さが1kg以上違うと、進める、止める、方向を変える。動きの一つ一つに重さを感じてしまうのです。使うのに、力が要るのです。

●BALMUDA The Cleanerの巨大なクリーナーヘッド。
大きさもさつことながら、1.5kgと超ヘビー。


自在に動かせるというのは、真っ直ぐ、曲がる、止まるという一連の動作が的確にできるということです。そして、これをうまくこなすには、運動エネルギーをうまく制するということです。

理論的には、難しくはありません。中学で習ったことを思い出してください。E=1/2mv2。(E:運動エネルギー、m:質量、v:速度) これです。Eをコントロールできれば良いのです。

まず速度ですが、掃除機の速度なんてたかが知れています。このため、実際に影響があるのは掃除機の重さとなります。普段から使うため、人が意識しなくても力を込められる前後はともかく、横斜めになると、人は力の動きを意識します。必要以上の力を込めたりします。ヘッドが重いと、持ち手から遠い分、制御しにくい。とても使いにくくなるのが、ホバー式なのです。

 
■コンセプトキープで改良した二代目モデル。
2021年4月、「BALMUDA The Cleaner Lite (C02A型)」 のオリジナルモデル「BALMUDA The Cleaner( C01A型) 」をテストした時、「コンセプトは秀逸。しかし技術が追いついていない残念モデル。」で、総合評価 ☆☆☆ とさせてもらいました。ヘッドを自在に動かせるコンセプトの掃除機ですが、重かったのです。このため、弾みが付き、それなりのスピードが出ると力を込めて制御しなければならなかったからです。

床にほとんどの荷重が乗る自立型で、ヘッドを好きな方向へ動かすことができる。一見、すごく良さそうに感じますが、それは「真っ直ぐ」前後に動かす時だけです。逆に横、斜めの場合は、ちょっと速度を落とす曲がりも含めて、いろいろな力が必要です。このため、ギクシャクする使い勝手になるのです。

ダイソンとまでは行かないまでも、「軽く」することは自社のコンセプトの「自在を達成する上で欠かせない」ものです。

■生まれ変わった2代目モデル
BALMUDAは、設計し直すことは、過去ほぼ例がありません。
それは自分たちで決めたコンセプト=BALMUDA製品群の魅力ですからね。

正確に言うと、自分たちで決めたコンセプト=売れるとは限りません。今まで出したモデルでヒットと言えるのは、扇風機とオーブントースターでしょう。双方とも、風、味というユーザーにもわかりやすい。

一方、使いやすいと言うのは、余程でない限り分かりにくい。彼らがホバー式を採用したのは、そのためでしょうが「BALMUDA The Cleaner」は、コンセプト実現までは行きませんでした。

このため、多分初めて作り直したのでしょうね。コンセプトキープで設計し直したのが、「BALMUDA The Cleaner Lite」。名は体を表すとの喩え通り「Lite」。軽いことに集約される。

 

●BALMUDA The Cleaner Liteのクリーナーヘッド。
縦横共に前のモデルに比べて約10%、重さは35%減。
(筆者による測定、算出)


 
2.2kgまで全体を軽くした上に、ヘッドで自重を支えるタイプなので、実に自在に操ることができます。ワルツのようにくるくるヘッドを回転させることも楽々できます。その位軽いです。

 


 
こうなると、搭載した機能が全部プラスに活きてきます。特にいいのはヘッドの小回りさ加減。掃除機のヘッドは前後運動が基本。しかし、BALMUDA The Cleanerはヘッドが自由に動くのが一つの特徴。C01Aでは、重く扱いにくかったため、その良さがほとんど味わえませんでしたが、Liteは違います。自在に操ることができる小ぶりにヘッドが自在に動き込みを吸い取る。パイプ椅子の脚元でも巧みにヘッドを動かし吸い取ることができます。このヘッドの自在さがこのモデルの真骨頂と言えます。

 
吸引力も目に見えるレベルでは合格。かなり高レベルに仕上がったと言える。問題視されるのは、ダストボックスの容量だろうか、かなり小さく1回1回、捨てた方がいい感じ。考えてみるとサイクロンは込みを掃除機本体が保持し続ける。となると、毎回ゴミを捨てる方が利にかなっていると考えるのは、私だけだろうか? ここは毎回ゴミを捨てるという生活習慣を身につけ乗り切りたい。

 
■おしゃれなアタッチメント収納
デザインに煩いBALMUDAは、本体を実にシンプルに設計している。持ち手もなければ、ノイズに対する工夫もいない。このため、本体をハンディ掃除機として使うときは、専用のすきまノズル、ハンディハンドルを付けて使う。このため、この2点のためのスタンドにはツールボックスが設けられている。また専用ノズルセットも実に多彩。「延長ホース」「マイクロノズル」「フラットノズル」「ブラシノズル」「ファブリックノズル」からなるが、収納用の専用バッグも付属する。使わない収納時のことも、実にきちんと考えられている。

●ハンディ掃除機にしたところ。
アタッチメントはともかく、毎回ハンドルを付けるのは面倒。


●スタンドに付いているツールボックス。


●各種アタッチメント(別売)


●アタッチメントバッグ


■BALMUDAの良さはどこにある
バルミューダは、現在、多種多様な家電を市場に出し続けている。が、全てのモデルがいいわけではない。総合家電メーカーと言われるところでさえ、得手、不得手はある。実際、製品評価で、良いと言えるのは、「扇風機(GREEN FAN)」と「オーブントースター」だ。

ただ、BALMUDA製品の魅力は、機能は大したことがなくても欲しいと思わせるところがあることだ。理由は、BALMUDA製品が、バルミューダの欲求、視点、発想でできているからだ。

通常メーカーは膨大なユーザーニーズ調査を行い、商品化する。私も色々な商品を見てきたが、ユーザーアンケート調査により作りましたという製品にろくなものが少なくありません。理由は設計側が、その機能を欲しがっていないからです。そうなるとチグハグな製品が出来上がります。
政治で言うと「衆愚政治」のようなものですかね。今に名を残すソクラテスは、そんな時に死罪判決となりました。
一番重要なのは、ユーザーニーズを十分咀嚼して実現化できるレベルにすることですが、

一方、自分達の考えだけで作ってしまうBALMUDA製品は、よくも悪くもBALMUDA。最終決定者は、社長の寺尾氏ですから、製品が変わっても同じ目線、考え方です。そして「BALMUDA THE」(バルミューダの)が名前に冠されます。今回、大幅な手直しを行ったのは、自分達のコンセプトに達していなかったからです。

この逆が、スマートホン「BALMUDA Phone」です。これを見た時、「あ〜ぁ、やっちゃったか」と思いました。デザイナーセンスを持つプランナーは、芸術家と余り変わりません。自分の周りを、自分の好きなモノで埋めます。なければ、作ってしまいます。ここがクリエイターのクリエイターたルところです。そして、そのスマホ版が「BALMUDA Phone」です。極端に言うと、自分のためのスマートホンですから、物理的にトップ能力である理由はありません。逆に言うと、スマホを扱うメディアは、どこか変わった、どの機能が強化されたに終始。確かに、高スペックでないとできないこともありますが、ビジネスマンである寺尾さんは、スマホには実用的なところを求めていたらしく、そんなことにはお構いなし。まぁ、見方があっていないわけです。

それはさておき、「BALMUDA The Cleaner Lite」は、すごく良くなりました。BALMUDAファンはもちろんのこと、このスタイルの掃除機を考えている人は、ぜひ選択候補へ。かなり推せるモデルです。

 
商品のより詳しい情報は、以下のURLでご確認ください。
https://www.balmuda.com/jp/cleaner-lite/
 
 

*ファーストモデルです。



 

 
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2022年6月19日

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