レポート

【太鼓判】1.1kgは愉悦の重さ。使いやすさに太鼓判。
日立 スティック型掃除機「ラクかるスティック PV-BL3J」。
前編「何をもって軽量と言うのか?」。


日立は、スティック型掃除機に対し、4シリーズで対応しています。主力は、製品重量:1.7kgの「パワーブーストサイクロン」シリーズ、1.4kgの「パワかるスティック」シリーズ、1.1kgの「ラクかるスティック」シリーズの3シリーズ。今回は、その中の最軽量「ラクかるスティック」シリーズのモデル:PV-BL3Jを詳しくレポートします。2022年時点の軽量モデルをかなり掘り下げてみますので、よろしくお願いいたします。

●日立 スティック型掃除機
「ラクかるスティック」シリーズ PV-BL3J
本当に軽い。


重いと自在に扱えない。これはどんな道具にも共通します。何かするとき、人間で最も役に立つのは両手です。汎用性が高く、自在な動きをすることもそうですが、自分の体ですから、重さを感じないのも大きな理由です。しかし、そんな両手も疲れてきているのに、上に上げて作業をしなければならない時などは、本当に大変。「もう、いいや」と仕事を投げ出したくなります。

 
肌身離さず自分と一緒にある両手でそんな状態ですから、それが一定時間以上使う道具ならますますもって、重さが重要になります。そんな家電がスティック型掃除機。しかし、バッテリーを内蔵するスティック型掃除機はかなり重いのです。今の軽量スティック型掃除機をレポートする前に、簡単に重さとスティック型掃除機の関係を見てみましょう。

 
■重いバッテリーをどうするのか?
現在のスティック型掃除機のフォルムを作ったのは、スウェーデンのエレクトロラックス社です。実にシンプルなフォルム。24時間部屋の中に出しっぱなしにしても全く違和感を覚えないデザインで登場した時は、息を飲みました。エレクトロラックス社「エルゴラピード 2in1」それほど、ショッキングな上、完成度の高いものでした。

●エレクトロラックス スティック型掃除機 最新型
25.2V Pure Q9 マホガニーブロンズ
コードレススティッククリーナー
フレームにハンディ掃除機(本体)を挟み込み固定。


まずバッテリーですが、標準で20分、強で5分以上使えました。これはユーザーニーズではありません。新しい商品として、ユーザー認知してもらえる最低レベルとしてメーカー側で設定したスペックです。当時のバッテリーの容量と重さから割り出されたものです。

それでも重い。このためエレクトラックスが取った方法は、本体となるハンディ掃除機をフレームに嵌め込む方式でした。ヘッドなどが装着されたフレームは、荷車の役割をします。荷車&荷物の重さは重いのですが、車が付いているので、荷車を使うと荷物を担いで運ぶより楽に運べます。荷車の代わりがフレームというわけです。

もう一つのポイントは、ハンディ掃除機の装着位置です。手ではなく、床がほとんどの重さを支えてくれるように、思い切り床に近づけたのです。私のブログ「生活家電.com」で「自立式」と呼んでいるスタイルがこうして出来上がったわけです。バッテリーが少々重くても、使いやすい。ここにユーザーに認められるスティック型掃除機が商品化されたわけです。

 
■ユーザーニーズと手持ち式
スティック型掃除機が世に出てから、格メーカーともユーザーニーズを調査しています。「どの位の時間使いますか / 使いたいと思いますか?」と言う回答はどのメーカーも同じ答え、「標準で60分使用」でした。当然、毎日ではないです。大掃除で、掃除機をかける時間を総計してもちょっと多い気がしないでもないです。しかし、こうも、ユーザー認識が揃うとなまじのことではひっくり返せません。ユーザーの意識をお金をかけて変えるなら、その技術を確立して他社より優位性のある商品を作るのがメーカーの発想。これが今、最重量モデル適用されている、自動モード;60分です。デビュー当時の3倍容量です。

尚、付記しますと、「標準モード」というのは、メーカーが標準と定めた回転数でずっと回すこと。「自動モード」というのは、センサーで吸い込むホコリ量、サイズを確認しながら、常に標準モードで掃除したのと同じ結果が得られるモードのことです。今の住宅は密閉性が高いので、外ホコリがほとんど侵入しません。このため、センサーなどを使っても、節電になります。要するに、バッテリーがやや貧弱でもユーザーニーズを満たせるというわけです。

 
また、自立式の弱点も見えてきました。ヘッドを前後に動かしての掃除はイイのですが、左右に動かすのにちょっと弱い。それはそうでしょうね。ヘッド荷重ですから、ローラー方向以外動かしにくくなります。

 
そんな時期、今後スティック型掃除機が主流になるとして、本腰を入れたメーカーがあります。サイクロン方式で有名なイギリスのダイソン社です。

ダイソン社が採用したのは、フレームを使わない方式。ハンディ掃除機に延長管(パイプ)とヘッドを付けるという方式です。ヘッドに重さが乗らない分、左右の動きも楽、きめ細やかな動きができます。生活家電.comでは「手持ち式」と呼んでいます。

●ダイソン dyson micro 1.5kg
ハンディ掃除機に延長管とヘッドをつけた「手持ち式」。


逆に言うと、床が支えない分、手に対する負担がズンと来ます。要するに重いのです。当時、男である私でも重いと思う掃除機がいっぱいありました。

このため、商売柄どの位の重さなら楽に扱えるのかを、色々なメーカーの掃除機で試してみました。バッテリー位置により、若干の差が出るのですが、自立式並みにt楽に使える掃除機を手持ち式で作ろうとすると、1.5kgを切ることが必要であることが分かりました。

また、個人的には、2kg以上あると「自在に動かすのはちょっと」と思いました。

●テスト期間:2017〜2019年 ●筆者測定


 
 
■軽量化の目標スペック
となると、「軽量」を謳い文句にした場合、スティック型掃除機の目標値は次の様になります。全て、日本市場ではということでお願いします。

●総重量:1.5kg以下 手に負荷が大きい「手持ち式」で優位性をうたうなら、やはり自立式並みの1.5kgを切るしかないと思います。
●動作時間 自動:60分、強で10〜20分
モードが「標準」でなく、「自動」になっているのは、吸い込む時のホコリ量を解析することのより、節電しながら掃除することが可能になったからです。

●吸引力 「自動」モードで不足ないこと ユーザーの官能的な達成感ではなく、実際にゴミを吸引していること
●サイズ 自然な姿勢で楽に扱えること。扱いが、標準モデルと極端に変わらないこと

例えば、背を低くすると軽くできますが、人は前屈みにならなければなりません。これは結構苦しいですし、第一、そうまでして、そのモデルにこだわる必要もありません。またヘッドを小さくすると軽量化できます。その代わり、倍も前後に移動させなければならないとしたら・・・。そも本末転倒です。ユーザーが使いやすいようにするための軽量化が、ユーザーの手間を増やしていますので。と言うことで、これらに加え、次の一項目が必要かも知れません。

●今までと、同じ感じで、掃除できること。少なくとも負担を感じることはないこと。

 
■ダイソンのラインナップと重さ
さて日本でもとても、人気の高い、ダイソン社の掃除機。
2016年だったと思いますが、「今後、キャニスター型の掃除機は開発しません」と宣言したメーカーですからね、不退転の決意で、スティック型掃除機の開発は進められました。

また、大きな役割を果たしていると思われるのが、同社の電気自動車計画。こちらは頓挫していますが、同社はその過程で、バッテリーメーカーを買収しています。ダイソンの得意なモーターは物理ですが、電池は化学の世界ですからね。このバッテリーメーカーは、当然、掃除機のバッテリー開発もします。

荘子てできたのが、以下のラインナップ。
日本だと少々重いように思われかも知れませんが、海外、特に欧米人のサイズを考えると妥当な思いです。

そして、日本市場を強く意識したモデルは、1.5kgで、最大動作時間:20分。どっかでみた数字、そう前述の「軽量化の目標数値」そのものです。

 
●dyson V15 direct 現時点での最強モデルです。動作時間:60分、重さ:2.61kg
ボクシングのヘビー級チャンピオンの位置付け。

●dyson V12 direct slim 現時点での国際標準モデルです。動作時間:60分、重さ:2.20kg

●dyson digital slim 国際軽量モデル。動作時間:40分、重さ:1.90kg

●dyson micro 1.5kg 特に日本市場を考慮して作られた軽量モデル。
動作時間:20分、重さ:1.50kg

 
▷▷▷ To be continued ▷▷▷
【太鼓判】1.1kgは愉悦の重さ。使いやすさに太鼓判。日立 スティック型掃除機「ラクかるスティック PV-BL3J」。後編「1.1kg化はどうしてなし遂げられたか。その成果は。」

 
 

*レポートしたモデルと異なります。

 

 
#ホームケア #スティック型掃除機 #日立 #ラクかるスティック #PV-BL3J #生活家電.com

2022年6月4日

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