アイリスオーヤマ、エアソリューション事業に新規参入。
国内初(※1) 空間除菌と表面除菌を同時に実現(※2) 「PlasmaGuard(プラズマガード) PRO(プロ)(TM) アイリスエディション」を発売。
アイリスオーヤマ(株)が、新たな社会課題の解決として「エアソリューション事業」に新規参入します。事業内容は、室内の空間や、壁や机上など物体表面の菌やウイルスを除菌(※2)する大規模空気清浄化の技術を国内で初めて採用(※1)した「PlasmaGuard PRO アイリスエディション」を、2022年5月24日より発売すること。ただ、この大規模空気清浄化の技術とんでもないものでした。
■コロナ禍でも判然としなかった空気清浄機によるウイルス除去
空気の中の不純物を除去するなら「空気清浄機」。コロナ禍の前までは当たり前のことでした。しかし、これでは言葉足らずですね。空気清浄機には、フィルターで濾過する「フィルター方式」と、浮遊物を帯電吸着させ除去する「帯電吸着式」の2つがあります。今、市場に出ている空気清浄機は「フィルター方式」。理由は、短時間で大量の空気を清浄できるからです。春先、外から帰ってくると多くの場合、花粉を室内に持ち込みます。当然、花粉はさっさと除去しないと、室内でも鼻グス状態になり、すごく不快になります。こんな時便利なのが「フィルター方式」。強モード、ターボモード、モデルにより名称は異なりますが、最大パワーで濾過すると8畳だと数分もすると濾過されてしまいます。よかった、よかった。これがコロナ禍前の状況です。
コロナ禍、とにかくウイルスをできる限り除去しなければなりません。ところがコロナウィルスは、数十nm〜100nmという微小サイズ。小さすぎるため、ウイルス単体だとフィルターを通りにけてしまいます。要するに除去できないわけです。帯電吸着を併用しても完全とは行きません。
このため、メーカーが考え出したのが、「OH-などの活性イオン」「次亜塩素酸」「オゾン」を使う方法。活性化の高い化学物質で、ウイルスを酸化させ、やっつけてしまう方法です。「イオン」で有名なのは、シャープの「プラズマクラスター」、パナソニックの「ナノイー」、ダイキンの「ストリーマー」です。「次亜塩素酸」はパナソニック、「オゾン」はアクア、カドー、マクセルなどが有名です。
しかし、この方法にも欠点があります。放出されたイオンがウイルスに出会うのは、偶然だからです。100発100中どころか、ほとんど当たりません。銃器で言うと自動小銃の感覚です。狙撃銃は100発100中を狙って作られますが、自動小銃は、どちらかというと空間制圧。当たらなくてもいい。相手の動きを封じられると、基本OKという考え方です。このため量で相手を圧倒するのですが、イオンでウイルスを抑え込むのは、そんな感じです。
このため、一番重要なのは、実は「濃度」なのです。高濃度にすると効力は上がります。ところがイオンは時間が経つと、元の水に戻りますし、イオン化するにも限度があります。このため、自宅のトイレなど狭い空間では、悪臭などもきちんと対応できるのですが、オフィスなどの広いところでは、実に効果が薄い。それが今までのウイルス対策でした。
■窒素までイオン化してしまおう
さてイオン化させる時、多くのモデルは水蒸気、水をイオン化します。水は分子ですから、イオン化させやすいですからね。少ないエネルギーでイオン化できるわけです。弱点は、水蒸気は空気成分としてはかなり少ない。つまりイオン濃度を上げにくいのです。
一方、空気の主成分は、窒素に酸素。原子ですから安定しています。しかし、イオン化できないわけではありません。しかし原子は、シンプルでかつ、極めてスマートな構造。これを壊し、イオン化させるためには、かなりのエネルギー量が必要となります。
この難題に取り組んだのが、プラズマガードLLC社。「低温プラズマ」という技術で、それなりのエネルギーでイオン化させます。作ったのは、今から約20年前。シャープが同じ頃、プラズマクラスターを製品導入、立ち上げにかかっている頃です。また、プラズマといえば、同じ頃パナソニックはプラズマテレビを手がけていました。ちょっと面白い。
窒素までイオン化できるのですから、広い空間でもイオンで満たすことができます。かなり優れた仕組みですが、2000年当時、メジャーな感染症はインフルエンザだけで、しかも対応法は確立されていますからね。あまり注目を受けませんでした。
■アイリスオーヤマの業務用ビジネスの考え方
アイリスオーヤマが業務用途に進出したのは、2011年。東日本大震災がきっかけです。
福島原発被災、発電停止により、「ベーショック発電」と国が豪語していた原子力発電の危険性が、顕になります。そりゃそうでしょうね、発電量より遥かに大きいエネルギーを持つ放射性物質を燃料に使うのです。通常の発電で使うエネルギーは実に微々たるもの。このため、原子力発電は、あまり効率を求めません。30%程度。水力の90%以上、火力の最高60%以上ですから、全く状況が違います。このため原子力発電は、安全性に多くのランニングコストをかけます。水力がほぼ無人で、火力でも2〜3人であるのに比べ、管理だけで10人近く必要。いざとなった場合、人数が全く足りませんので、同じ人数の予備チームが必要です。これが24時間、3交代。365日続くわけですから、大変です。管理コストに詳しい人ならよくわかると思いますが、人は大きなコスト要因。管理費、補強・修繕費を入れると原子力発電が安いのは、かなり盛っていることがわかります。
閑話休題
しかし、ベーシック、必ず発電できるとしていた原子力を止めることになったので、大騒ぎになります。天然ガスの緊急輸入、海外から火力発電施設の借り受け、計画停電など、あらゆる手を打ち対応します。
この時、幸運だったのは、エアコン、冷蔵庫、テレビなど、大型家電の省エネが進んでいたこと。そして、電力の30%近くを消費する電球、蛍光灯の次にくる照明、LEDの実用化が始まっていたことです。LEDの消費電力は、白熱電球の25%、蛍光灯の30%程度と言われています。寿命も長い。約4万時間と言われています。しかも、LEDの寿命は明るさが70%に落ちることを意味しており、即交換しなければならないことを意味しません。
LED化は、生活インフラに対し、とてもプラスになります。
特に、店舗のような大量に照明を使うとことを変えると一気に変わってきます。
これを皮切りに、アイリスオーヤマはその時の生活に必要なモノを導入していきます。
「法人向けLED照明」の次は、楽にコントロールできるように「照明制御のIoT化」。コロナ禍では、「Aiカメラ、AIサーマル」の販売。そして労働人口不足を補う「ロボティクス化」。まだ小さい規模ですが、皆さんの生活に寄り添うように、理想を求めるのではなく、その時有効な実行策としてのB2Bビジネスです。
このビジネスはタイミングが重要。アイリスオーヤマは、自社開発にこだわらず、その時有効な対応策を持つメーカーに、アイリスオーヤマ・エディションを作ってもらい販売します。
■値段は、標準システムで100万円のイメージ。施工は1時間程度。
今回発売する「PlasmaGuard PRO アイリスエディション」は、前述の米国のプラズマガードLLC社の大規模空気清浄化技術を採用。空間と物体表面の両方を除菌できます。独自の低温プラズマ放電技術により発生する活性酸素や活性窒素を含む長寿命なイオンにより、菌やウイルスを99.9%除菌できるそうです(※2)。
また、空調ダクトに本体を取り付けて建物の空調システムと連動することで、1台で最大約840㎥(
部屋高さ:2.5mとすると、336m2。畳数換算:約100畳。)(※3)まで対応可能です。
あとIoTで、空気の状態を「見える化」。付属のPMセンサーで空気中の微粒子濃度を測定し、スマートハブを通じてクラウド上に測定データを収集します。このデータは、スマートホンやタブレット、 パソコンで確認できるため、目に見えないイオンの効果を可視化します。
また、既設の空調ダクトに直接本体を設置するため、新たな空調設備の入替工事が不要で、施設を長期間閉鎖することなく1時間五度で、設置できます。
これでシステム標準価格:100万円ですから安いです。ちなみに、プラズマ・システムは放電を繰り返しますので、金属が摩耗してきます。大体2万時間で取り替えとなります。24時間連続使用で、約2年。
どう考えても、お買い得のシステムです。
■アメリカでのテスト結果に加え、日本で実証実験も
基本技術はアメリカで、こちらはアメリカの第三者機関のテスト認定を受けています。
また、実地という意味では、三井不動産株式会社の協力のもとで同社が所有する「三井二号館」(所在地:東京都中央区日本橋室町2-1-1)(※5)にて実証実験中です。
三井不動産株式会社では、新型コロナウイルス感染症対策として、独自の感染対策基準「三井不動産9BOX 感染対策基準」を、2021年10月1日に策定しており、専門家の監修による医学的・工学的知見に基づき、「3つの感染ルート×3つの対策項目」からなる独自の感染対策基準を推進しています。 (※6)「PlasmaGuard PRO アイリスエディション」は、その対策項目のうち「エアロゾル感染対策・空気清浄」の項目に対して効果を発揮する可能性があると期待されています。また、既存の空調機へ簡単に取付けができ、大空間の空気清浄が容易であることや、空気中に浮遊している微粒子を測定し、測定データが数値化して確認できるなど効果測定が容易であることなども実証実験を推進する要素になりました。
■まとめ
アイリスオーヤマは当年20億円、3年後に100億円の売上を狙っています。
日本メーカーのイオンはどうしても濃度が足りません。また次亜塩素酸は、水とタブレットの補給が必要。そしてオゾンは元々が劇薬。濃度によっては命に関わる時があります。そんな見方も含めると、売れるだろうと思われるシステムです。
近々、マスク着用が見直されると思いますが、そんな時、安心な環境を持つ建物が増えることは、とてもありがたいこと。コロナ禍、大いに注目したいシステムです。
■商品仕様はこちら https://www.irisohyama.co.jp/b2b/air/products/plasmaguard/ お問い合わせ先:エアソリューション事業部 TEL:022-253-7095
■注釈一覧
※1:当社調べ。 2022年5月24日時点。
※2:試験機関1.:米国Innovative Bioanalysis社 対象ウイルス:SARS-CoV-2デルタ株(COVID-19)
除菌効果:空間除菌99.997%(試験時間:59分間、 試験環境:36㎥、 24~26℃、 41%RH、 289㎥/h、 8ACH)
除菌効果:表面除菌99.994%(試験時間:60分間、 試験環境:1.5㎥、 21℃、 48%RH)
試験機関2.:EPA(米国環境保護庁) 対象ウイルス: MS2ノンエンベロープ型RNAウイルス
除菌効果:空間除菌99%以上(試験時間:60分間、 試験環境:85㎥、 21~23℃、 30~35%RH、 7ACH)
※3:建物の空調システムの送風能力によって変動します。
※4:本製品のプラズマ放電ユニットは2万時間の寿命があります。 日常使用上の消耗品はありませんが、 寿命時間になるとプラズマ放電ユニットを交換することで使用を継続できます。
※5:延床面積:28,479.05平方メートル (8,614.91坪)。 今回、 実証実験を行っている区画は、 約190平方メートル 。
※6:詳しくは、 三井不動産株式会社のニュースリリースを参照
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2021/1001_01/
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2022年5月25日
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