新ブランドの価値。性能と価格のギャップが悩ましい。
シャオミ ノイズキャンセリング・コードレス イヤホン「Buds 3T Pro」
中国メーカーの技術開発力は凄まじい。人口が日本の10倍であるので、優秀な人材がある一定の比率でいるのなら、日本の10倍、優秀な人材がいることになる。中国のグローバルメーカーは、そんな人の集まり。実に優秀。経験はないが、才能に秀でている。そんなメーカーのひとつがシャオミ(Xiaomi)だ。
ベンチャー企業だったはずの同社は、あれよあれよという間に、スマートホンのトップメーカーへと上り詰めた。チャイニーズ・ドリーム・メーカーの一つ。当然、スマートホンの周辺機器、イヤホン、スマートウォッチなども、どんどん開発。1モデル毎に高性能化されている。しかも、同社のモデルは安い。ブランド力はないにせよ、コストパフォーマンスで推せるモデルが実に多い。
しかし、2022年春に発売された「シャオミ ノイズキャンセリング・コードレス イヤホン『Buds 3T Pro』」の位置付けは少々異なる。現在のシャオミが自社の持てる技術を全てつぎ込んだ最高モデルであり、そして最高の意欲作。
他のモデルのように割安感、コストパフォーマンスではなく、真っ向から高音質、使い勝手と向き合って挑戦している。そのため価格に打票がない。ソニー並、アップル並なのだ。遂に、スマートホンだけでなく、周辺機器も一流ブランドとしたい意志が明確に出ている。そんなモデルだ。
■デザイン デザイン、操作系も、アップルのAir Pods系。口さがないユーザーには、「うどん」とも「そうめん」とも呼ばれる軸があるタイプだ。このタイプは、軸先端をピンチ(掴む)ことで、操作する。よくある本体平面部をタップ(叩く)するモデルとはちょっと異なる。人の好みにもよるだろうが、個人的には、タップよりピンチの方が優雅に感じられるので、好きである。
しかし、本来なら、ここに独自性があっての「最高モデル」。ここに独自性がないと、やはり模倣の域を出ないように感じられる。素材感、色、形、等々。スマートホンの方が差が出しにくい中、それでも独自性を目指しているメーカーとして、少々寂しい。ワクワク感より、残念な思いが強い。
■初期設定 ケースに付いているボタンを押し、Bluetooth接続を行い、初回接続を行う。つながり良く、数秒もかからない。Xiaomiはスマートホンが本業であるので、接続はお手のものであ理、楽に接続できる。
合格。
■装着感 高価なモデルなので、落としたら大変。万が一、回収できないところへ落ちたりしたら泣くに泣けない事になる。実は装着直後の装着感はあまり良くない。しかし30秒もするとフィット、外れない感じに変わる。逆な言い方にもなるが、操作をピンチで行うので、この外れない感触はとても大切。そうでないと、怖くて操作できない。
実際、いろいろなシーンで使ったが、どこでも安心して使えた。合格。
イヤーパットは、S、M、Lが同梱されており、自分での調整も可能。このサービスは、高価格モデルなら当たり前。
■音質 ●ノイズキャンセリングOFF時。 シャオミらしい、やや硬く、前に押し出されるような特徴は当モデルにも窺える。外部からの音を完全にシャットアウトする訳でないので、ある意味、この音の方向性はあり。かなり明確に聞こえる。わりと気持ちを高揚させてくれる音。しかし、硬い。服て言うとフォーマルのお仕着せという感じ。フォーマルなので、間違えてはいない。しかし、着こなしてはいないので、柔らかさがなく、長時間聴くと疲れてしまう。
●ノイズキャンセリングON時。 基本はOFF時と変わらないが、ノイズが低減される分、音のクリアさと粒ダチの良さが感じられる。しかし、その分かっちり感も明確に出てくる。そう、漂うような音にはちょっと弱い感じだ。ジャンルとしては、クラシックなどより、音を前に前に出そうとするポップス、アニメなどに合う。
なお、ON時は、雑音はかなり遮断するが、人間の声、電車の駅名アナウンスなどは聞こえる。そういう意味では、程よいノイズキャンセリングレベルとも言える。
ただし、他社の高級モデルにも手が届く価格帯の製品としては、どうだろうか。ここの製品になると、正しく再生されるのはもとより、どう表現されるべきかを問われる。いわゆるメーカー・ニュアンスと言われるやつである。
「やや硬く、前に押し出されるような音」だけでは弱い。この価格帯の製品を使うユーザーは、自分の音楽性、モノの価値観を有しており、納得して買ってもらうためには、ブランド力に通じる「プラスα」が必要。
■使用時間 本体で最長:6時間。ケースでの持ち歩きで、最長:24時間。合格。
しかしスマートホンアプリを、シャオミが出していないため、電池残量などを数字で把握することはできない。スマートホン・メーカーでもあり、ここは十分考慮いただければと思う。
■まとめ その昔、オーディオはお金がかかる三代趣味の一つと言われた。理由は、専用のリスニングルームがあるのが当たり前だったからだ。今、それを擬似的に作るのが、高級ヘッドホン、イヤホンだとすると正しい再現は当たり前で、考えるべきはどう聴かせるか。
例えば、ヨーロッパの名ホール、オランダのコンセルトヘボウとドイツのベルチンフィルでは、同じ音を流しても違う音に聞こえる。これは正しい、正しくないの問題ではなく、どちらがより好きかの問題だ。
『Buds 3T Pro』は正しく再生されており、計測的には問題ないはずだ。しかし、音楽を聴く道具として考えると、まだまだのように思う。映画の効果音、アニメ、ゲームサウンドだと、シーンを構成する要素としてそれでもいいかもしれないが、音楽を聴くとしてはいささか消化不良。
これはある種の「熟成」。いろいろなトライ&エラーの末に出てくる話。時間もかかる。それなりにいい商品できましたでは、高価格と信頼は付いてこない。
そんな思いが、テスト中、渦巻いていた。当然、割高な感じが付きまとう。私にとってストレスが残るモデルと言える。
商品のより詳しい情報は、以下のURLでご確認ください。
https://www.mi.com/jp/mi-induction-heating-rice-cooker/
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2022年5月22日
タグ: Buds 3T Pro, イヤホン, エンターティメント家電 #オーディオ, コードレス, シャオミ, ノイズキャンセリング