パナソニックは、オリンピックのトップスポンサー「ワールドワイドオリンピックパートナー」14社の中の一社。東京五輪だけでなく、複数大会に渡るスポンサーです。同社には、コロナが流行する前に、オリンピックとテレビの関係で取材させていただきました。

話はちょっとだl流戦しますが、有名なマーケット伝説、「五輪になるとテレビが売れる」に関しては、以下の2つにまとめてあります。
●「オリンピック」と「テレビ」の関係は今も健在か?
また、今買うテレビはどれだ?(前編)
●「オリンピック」と「テレビ」の関係は今も健在か?
オリンピックスポンサーの意義と今後のテレビ(後編)
そのパナソニック製品が、ドーンとテレビに映ったところがあります。それは自転車競技。サッカーと自転車をこよなく愛するヨーロッパの人に大人気のスポーツです。ただし、ここでも「黒子」。自転車競技「ケイリン(KEIRIN)」用のペースメーカーとして使用される電動アシスト自転車です。

「ケイリン」と言う単語。何か聞いたことがある響きだと思いませんか? そう、公営ギャンブルでもある「競輪」です。日本は良し悪しの二元論で語られることが多いため、競輪=ギャンブル=よくないものと見る人も多いでしょうが、実際に見ると次元が違います。まず、速い。普段乗っている自転車の3倍位のスピードでかっ飛んでいくのです。競り合いもすごい。その上何人もの人数で走るので、その競り合いの中に微妙な駆け引きが見て取れます。競輪、ケイリンはエキサイティングな自転車競技なのです。
さて、ケイリン選手のトップスピードは70kmと言われています。そして、ツール・ド・フランスのスプリンターの最高スピードは、80kmオーバー。数字だけ見ると、ケイリンがオリンピック競技に取り入れられる理由はなさそうです。自転車競技には「スプリント」という速さを競う競技が昔からありますね。
では、どうして「ケイリン」が、オリンピック競技になったのでしょうか?理由は簡単です。「ケイリン」と「スプリント」は似て非なるものだからです。
まず、スピード。スプリントが「最高速」ならケイリンは「加速」。クルマの競技で言うと、加速力を競う0〜400m競技(ゼロヨン)と、ルマン24時間耐久レースで使われるユノディエールの6kmの直線道路でのトップスピード競争の違いみたいなものです。ゼロヨンは、スタートして400mをどちらが先に駆け抜けるか。400mだと多くの場合、トップスピードには達していません。逆に、ユノディエールで6kmも走ると、もう加速の余地はないですね。本当のトップスピード。
この加速がケイリンの魅力なのです。それを世界に広めたのは、中野浩一選手です。ミスター競輪と言われた氏は、超スーパーアスリート。なんせ、世界線集権のスプリントで10年連続優勝。サッカーと自転車を愛する欧州では、今でもヒーローです。その彼の仕事が「競輪」選手。当然、競輪ってなんだとなります。
で、競輪に触れてみるとこれが面白い。このためそれをスポーツに移植したケイリンが出来上がりました。どこが面白いかと言いますと、スプリントは、2名の選手が250mのトラックを3周して順位を競います。早い方が勝ち。2名ですから、駆け引きも割と単純です。
それに対してケイリンは、5~8名の選手が、250mのトラックを8周して競います。ただし、残り3周になるまで、先導車を抜かすことはできません。先導車を入れるのは、選手が先導者の影に入ることにより、最小の疲労でその速度にするためです。この5周の間に、自分の有利なポジションを確保します。
そして先導者が離脱すると、スプリント勝負。加速、駆け引きを駆使して、相手を抑え、前へ出ようとします。競り合いの始まり時の速度は、先導車の50km/h。そこから猛然と加速するわけですが、人数が多いのでいろいろな思惑が交差します。単縦には行きません。これに勝ち抜くには瞬時の加速力、判断力、ある意味 駆け引きですから人間力も大いに要求されます。

ケイリンは2000年シドニー五輪で正式採用ました。以降、2012年には、女子ケイリンも正式種目化され、入れ替えなく毎回行われている人気種目です。
東京五輪2020のケイリンで使われる先導車は「電動アシスト自転車」です。先導車は始めは30km/h。途中から50km/hで走ることが義務付けられています。これが中々難しいというより、我々の感覚だと、すごーく気合を入れてペタルを回し続ける必要があります。そのための電動アシスト自転車です。

しかし、それだと先導自転車が要求する速度に達しません。そのため、先導車にはバイクが使われてきました。こちらは、私でもできます。
しかしカーボンニュートラルが当たり前になりつつある今、ガソリン車に頼るわけには行けません。このため、パナソニックは、先導車用自転車をわざわざ開発したわけです。市販スポーツモデルをベースにしていますが、一般道では使われないしピードで走るわけですから、いろいろなところが新設計されています。

(1)最高時速60km/h(予備10km/hですね)を発揮する高出力モーター
(2)選手が追従しやすい非常に滑らかで安定した加速を可能にするアシスト制御
(3)あらゆる速度域でも正確にラインをトレースし直進安定性を確保するフレーム設計
です。が、フレームまでいじってありますので、別物に近いです。
より具体的に言うと、モーターは市販車の1.4倍のパワーを持たせ、バッテリーは市販車の1.4倍の容量を持っています。そしてアシスト制御は、強い漕ぎ出しの力を保つのはもちろんのこと、市販車では気にならない、速度の2乗で増える「空気抵抗」を考慮して、1年半以上時間をかけて作られました。高スピードを維持するには、「直進安定性」が必要。こちらは低重心化とヘッド角を寝かせた、フレームをややロースタイルに改造することで対応しています。
こうしてケイリンの先導を務めることができる電動アシスト自転車が出来上がったわけです。運動会の紅白帽子でなく国旗由来でしょうが、カラーリングは赤と白でした。

具体的にフィードバックされたのは、大きく2つです。
1つは、前述の走行安定性を重視したハンドリングと跨ぎやすさを向上した「新フレーム」。



スポーツ自転車として有名なのは、ロードレーサー。細いタイヤが有名です。設置面積が小さいためペダルを回し易いのです。しかし、反面、滑り易い、パンクし易い、乗り心地が硬めと言う短所があります。特に市街地では、スピードが出せない分、短所の方が強く出ます。しかし電動アシストだと、太いタイヤでも楽に回すことができます。エアボリュームが生み出す快適性を享受できます。乗り心地もそうですが、パンクが少ないのは、大いに魅力tきです。

これは、乗り味と走りはスポーツ。そして実用面はママチャリに近い、すこぶる欲張った自転車なのです。特に、通勤などの日常使いが楽になります。

自転車競技が盛んな欧州は、実は、このスポーツ系電動自転車が大人気。カテゴリーもできており「e-Bike」と呼ばれます。
一方、日本はママチャリ・モデルが人気です。平坦のように見える東京は凸凹だらけ、数限りない程、ちょっとした坂があります。幼稚園の送り迎え、スーパーで爆買しての帰りも楽々こなす便利なママチャリタイプに人気があるのは仕方ありません。
しかし自転車は、最も楽にできる有酸素運動でもあります。ランニングはもちろん、散歩より楽です。理由は、自転車は座ったままの運動なので、体重負担がないからです。
今後、高齢者が増えていく日本ですが、e-Bikeで、健康で余力のある生活が維持できる可能性が十分あると思います。特に都市空間では、クルマを買うより電動アシスト自転車と言う時代になりそうです。オリンピックで使われた技術をフィードバックした、パナソニックのスポーツタイプ電動アシスト自転車。すごーく魅力的です。
商品のより詳しい情報は、以下のURLでご確認ください。
https://cycle.panasonic.com/products/eb_sports.html
*2020年モデル。このレポートと関連しません。

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