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「オリンピック」と「テレビ」の関係は今も健在か?
オリンピックスポンサーの意義と今後のテレビ(後編)


さて、オリンピックでテレビは売れると言うことを、解き明かした前編。
後編は、パナソニックがオリンピックスポンサーになった理由と、今からのテレビをレポートしてみたいと思います。
 
◾️パナソニックがオリンピック メインスポンサーを務める理由
テレビがそんなに売れないことは、家電メーカーの雄、パナソニックは熟知しています。
では、パナソニックは、メインスポンサーをしているのでしょうか?

今のオリンピックのスポンサー料は高額と聞きますし、あの巨大企業マクドナルドが途中で降りることになったのは、スポンサー料と広告効果が合わなかったからだそうで、他人事ながら心配になります。

 
コロナ禍前に、取材したところ、回答は、次のようなものでした。

「パナソニックがメインスポンサーを務めるのは、テレビを売るためだけではありません。オリンピックでいろいろ導入される放送、映像技術と自社との関わりを深めるためです。また、オリンピック・パラリンピックがスポーツを通じて目指す、より良い世界の実現への取り組みは、”A Better Life, A Better World” というパナソニックの理念に通じ合うという意味も含みます。」

 
実際、パナソニックがオリンピックのメインスポンサーを始めた1996年アトランタ五輪で、「IBC(国際放送センター)の設置から運営」。1998年の長野五輪では「DXCPROフォーマットのテスト」。2000年のシドニーでは「公式映像記録フォーマットに採用されたDVCPRO 50のサポート」などと・・・・。オリンピック毎、用いられる最新の映像技術のサポートを務めています。

オリンピックは、全てがライブ。しかも、それを地球上の人々が見るのですから、失敗が許されません。逆な言い方をすると大変に価値ある経験ができます。クルマも、F1などの大舞台のレース参戦で、技術が飛躍的に上がります。亡 ホンダの創始者 本田宗一郎が「サーキットは走る実験室」と言って国際レースで活躍したことは有名な話ですが、オリンピックは、電機メーカーにとって、一種のサーキットなのかも知れません。

が、パナソニックはテレビ事業自体を手放そうとしています。それでも放送に肩入れすることは意味のあることなのでしょうか?

 
◾️総合メーカーとしてインフラ整備にも
パナソニックは日本を代表する電機メーカーで、電器店、量販店に行って、パナソニックの家電がないことは、まずありません。

しかし、2014年、電気自動車メーカーテスラのギガファクトリー建設に参画したことに 象徴される様に、今では家電はパナソニックの一事業に過ぎず、パナソニック自体、B to Cビジネス(民生用ビジネス)ではなく、Bto Bビジネス(業務用ビジネス)がメインです。しかもその分野は多岐に渡ります。「車載事業」をはじめ、製造・物流・流通の自動化や省人化を実現する「ソリューション事業」、「住宅事業」「デバイス事業」 等など。まさに、どんなとこにもパナソニックと言う感じです。

特に、今回の東京開催は「地元」。

放送、映像だけでなく、積極的に動いています。名付けて、「5スマート」と「ネクスト3」。

「5スマート」とは「スマートトランスポーテーション」「スマートコミュニティ」「スマートコミュニメーション」「スマートペイメント」「スマートセキュリティ」の5つです。具体的には、トランスポーテーションは「サイクルシェア」「バッテリーシェア」。コミュニティーは「無電柱化に伴う地上設備の上の新規サイネージビジネス」「暑さ対策」。コミュニケーションは「多言語翻訳」「光ID」「観光ソリューション」。ペイメントは「ID連携による完全キャッシュレス」。セキュリティは「映像監視システム」です。

 

2018年7月、パナソニックは、仮設型ミストを用いた
夏の暑さ対策実証実験を国内各地で実施した。


 
そんな中、私が注目していたのは「暑さ対策」。
これは直径10μm以下の濡れにくいミストを利用したグリーンエアコンを中心とした事業です。とにかく日本だけでなく、世界的に夏の暑さは異常になっていますから、このまま行くと夏のイベントはすべてNGになっ可能性がります。昔は夏休みと言えば合宿。目一杯運動する季節でしたが、このまま進むと、運動全面禁止になりかねません。このため、東京の今の夏、マラソンを成功させるとこのビジネスも万々歳だったのですが、残念ながらマラソンは札幌で・・・。
ICOは、日本国民だけでなく、日本企業にも喧嘩を売っている訳です・・・。
(ここは筆者のモノローグの部分として、深く追求しないでください(笑))。

また、ネクスト3は「アクセシビリティ」「ウェルネス」「スポーツ」のことで、「ロボット電動車いす安全制御」「次世代フィットネスクラブ」「スポーツ映像解析、スタジアムソリューション」です。

中でも「スポーツ映像解析」は、スポーツマンガのように、そのスポーツがより分かりやすくなりますので、ネクストと言わず是非オリンピックに間に合わせて欲しい技術ですね。(NHKに納入されたと言う話は、まだ聞こえてきません・・・。)

パナソニックはいろいろなビジネスを展開しており、直接・間接需要を全部合わせると、累計関連販売2000億円を超える見込み(コロナ禍前の数字)だそうです。地元開催でもありますが、スゴいと思いましたね。テレビの売りを問題にしないわけです。

その上、オリンピックを契機に創出する新規ビジネスは、2022年までに累計700億円を見込むそうです。スポーツの祭典はある意味、技術の祭典、ビジネスの祭典でもあるようです。(あくまでもコロナ禍前の数字です)

 
◾️テレビはテレビでなくなるのか?
2021年、発表されたシャープの各テレビで、唸ったことがもう一つあります。

2021年の8K 液晶テレビのリモコン。


それはリモコンに、8つのネット動画サービスのボタンが付け加えられたことです。私も今はネット動画サービスですね。テレビより良質なコンテンツが集まっていますし、なんせ、自分の時間に合わせられる。pm9:00だから、テレビを観に帰宅などは、今は虚しいだけです。
その上、動画サービスは、どんどん新作コンテンツが作られます。お金があるので、各国で一流のコンテンツを作っています。そうなると、深い表現を持つ人も、どんどん前に出てきます。

今や、テレビは「速報性」以外、メリットがありません。しかも、その情報は、政治家に忖度したものだったりします。

 
エンタでネットの後塵を拝し、また自分の一番の価値、速報性を足蹴にしている様なものです。
その上、NHKの視聴料は完全義務化。

これで支持するほど、国民は馬鹿ではありません。

 
その結果、テレビのリモコンに、ネット動画サービスのボランが8つも付いたわけです。
テレビは、テレビ波受信機が本当の名前。ゲームなどで使うこともありまっしたが、それはやはり2番手。一番のコンテンツは、放送でした。

しかし、放送が堕落した今、テレビの一番手はネットになりつつあります。

実は、これに一役買っているのがデジタル化です。アナログからデジタルへの変更は、多くの機材変更が必要です。機材を買い替える必要があるのです。

そうなると、コンテンツ制作への投下予算は減ります。加えて、視聴率は低下一方。その昔より、いろいろな会社がTV CMをうっているのは、以前からの社会を健全に運営するための会社だけでは、枠が埋まらなくなったからです。そうしてみると、金の亡者の様なCMも多いですね。

 
こうなると、テレビが、「テレビ機能付き映像再現機」と呼ばれる日も近いかも知れません。
画質がどうのこうのではなく、放送が弱くなっていることが原因です。

今後、人の関心は、より細分化されると思います。今までの様に、視聴率一辺倒の評価を使う限り、二度と栄光の日々は戻ってこないと思います。

 
 
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2021年6月5日

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