思うこと

相撲道 〜サムライを継ぐ者たち〜
試写をみて感じた音の差


「相撲道 〜サムライを継ぐ者たち〜」と言う映画が30日から、封切られました。
その試写会に参加してきました。
感じたことを何度かに分けて、お話しします。
 
 
◾️何故か、音声ドルビーアトモス
この映画は、スポーツドキュメンタリーです。まぁ、普通画質にはこだわっても、音までと言う例は少ない。ところが、このドキュメンタリー、音声がドルビーアトモスなのです。東京で上映しているTOHOシネマズ錦糸町(楽天地・オリナス)はドルビアトモスに対応していません。この作品、メジャータイトルではありませんので、多分、上映してくれる多くの映画館は、ドルビーアトモスはまだ入れていないと思います。何故、それなのに試写会の音声がドルビーアトモスなのでしょうか?

映画が始まると、国技館が映し出されます。そして相撲見物に来たお客よろしく、キョロキョロしながら通路を通り、会場へ。土俵が見え、大歓声。撮影されたのがコロナ禍より前なので、大歓声です。そして、その再現性が凄い。国技館にいるようです。相撲の映像再生はいろいろみていますが、初めての体験です。

1994年依頼、年に数回、国技館で相撲を見ていますので、聞き間違いはないです。実にリアルな再現です。一瞬、「あ〜、また相撲を観に来たんだ。」と言う感じになりました。

 
ドルビーアトモスは映画用の技術ですが、今、欧米では中継のリアルさを上げるため、放送でも使われています。サッカーなどは大迫力でしょうね。こうなると大外面にお金をかけてもいいかなぁと思います。

今回の音声を仕掛けたのは、ドルビー ジャパン。日本でも放送に採用してほしいと言う試金石として、この映画に使ってもらったそうです。

そして私は、その価値を体感したわけです。

 
◾️ドルビーアトモスとは何か?
ドルビーアトモス、ドルビーアトモスと書いていますが、あまり知らない人もいると思います。簡単に説明を入れます。

ドルビーアトモスは、2012年から使われ始めたサラウンド記録再生方式です。
様々なデバイス向けに規格が用意されています。映画館用の規格は、従来の制作時にミキシングを行う方式ではなく、ミキシング前の三次元位置情報(パン情報)が含まれたマルチトラック(128本)を再生側でミックスして出力する方式です。

ちょっとわかりにくいですね。我々がスピーカーで聞く音は多くの場合、2次元再生です。すなわち、同一平面上にあると考えてください。しかし、現実では、音は四方八方だけでなく、上からも下からも聞こえてきます。例えば自分の真上にシャンボジェットが落ちてきた時などは、すごい音が上からくるわけです。顔をしかめながら、首をすくめるでしょう。音のプレッシャーがあるからです。逆にそうでないとリアルさはありません。

ドルビーアトモスは、横方向だけでなく縦方向の音も制御できるサラウンドなのです。

ちゃんこ作りのシーンでは、ドルビーアトモスを使った音遊びがある。


 
◾️スポーツと立体音響
日本のスポーツ中継は、音がプアです。

これを打破すべく、友達のAVルームで、サッカーのW杯を友達数人と観たこともあります。まぁ、盛り上がりましたが、音は感心しませんでした。

理由をいろいろ考えた時、思い当たったのが高さ方向です。サッカー場、野球場、国技館・・・。これらは皆、すり鉢形をしています。
理由は簡単ですね。そちらの方が多い観客がよく見えるからです。

歓声は、それぞれのお客の高さから発せられます。要するに、高さ方向の音が聞こえないと、競技場らしくないのです。しかし、スタジアムはまだいいのです。トイメンの観客席は距離があります。ところが国技館は間近。リアルに再現するには、より高さ方向の音が求められるわけです。

 
◾️NHKの相撲中継は、色と音が悪い
実は、私、国技館に行くようになって、NHKの相撲中継を観ないことが多くなりました。理由は面白くないからです。大きく見えるのは嬉しいことなのですが、色と音があまりにもプア。これは8kの放送でも変わっていません。

わかりやすいのは、回しです。重量以上は、絹になります。光沢がある上に、染めも綺麗。それがライトに照らされると、あまり外に出ない白めが多い力士の肌と相まって、とても綺麗です。それがテレビになると、暗目でなんか垢抜けません。

その上、音もプア。脳内で補正しても、国技館の興奮はやってこないのです。これは懸賞金の読み上げ時、ボリュームを下げるからではありません。
リアルさの追求が甘い=エンターティメント性が削がれているわけです。

大きく映し出してくれるので、相撲の動きはわかりますよ。ただライブに必要な臨場感はないです。

 
ところが、今回の「相撲道」では、音はリアル、色もそれなりに改善しています。すると国技館で観ている雰囲気になってきます。本物は東京へ行き、相撲を見なければ体験できませんが、こちらは体験できます。是非、体験してほしいと思いました。その位リアルです。

 
◾️劇場アニメなどは、もっと技術をふんだんに使うべき
今、大ブームの「鬼滅の刃」。映像最新版は、劇場版です。
感動コメントの中に、こんなのがあります。「劇場なので音が良かった。より感動した。」

劇場は、音の広がりを考慮して作られた空間ですから、音をよくすれば、よくするほど、意図が観客に伝わります。
しかし残念なのは、高さを意識した音作りにはなっていません。今の少年ジャンプのバトルは、昔のケンカの様に2次元ではないのです。ドラゴンボールの孫悟空も、ワンピースのルフィも、僕のヒーローアカデミアの緑谷出久も、左右だけでなく上下に目まぐるしく動きます。

鬼滅の炭治郎もそうですね。水の呼吸の剣技は、立体なものが多いです。もし、そうなると、より面白くなると思います。

 
 
テレビは、コンテンツの豊富さでネットに敵いません。確かにテレビ局は有能な才能がいます。しかし、ネットに関わっている人数を考えるとよほどのことが
ない限り、ネットの勝ちは目に見えています。ネットに勝つには、より面白く、よりエンタメするしかないです。しかし、ドラマは、今後時間が自由になるネット見が多くなると思います。そうなるとテレビに残るは、ライブです。ここに徹底的に力を入れるべきです。

今回、映画「相撲道」で、NHKができていない(していない?)国技館のリアル再現は可能であることがわかりました。
よく相撲のテレビ中継を「テレビ桟敷」とか言いますが、桟敷席の迫力はあんなものではないです。運が悪いと力士が降ってくる可能性すらあるのです。その位間近で見る醍醐味は到底再現できていません。

しかし、音がリアルになるとかなり雰囲気が変わります。
私は、ドルビーアトモス音声のスポーツ中継を強く希望します。

 
映画「相撲道」の公式ホームページはこちら。
https://sumodo-movie.jp
 

 
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2020年11月1日

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