【太鼓判】骨伝導イヤホンの最高峰。
というより、ここまで来たのかと感心する、BoCo社の「PEACE TW-1」。
モノをウォッチしていると、時々あるのですが、モノと技術のバランスがとれていないものがあります。技術熟成が足らないのですね。そんな時、メーカーは2つの道を選択することになります。諦めるのか、やり抜くのか。
今回紹介する、BoCo社の「earsopen」ブランドから発売される、”耳を塞がない”骨伝導式イヤホン、完全ワイヤレスモデル「PEACCE TW-1」が、まさにそれです。
骨伝導ヘッドホンがオーディオ用としてデビューして10年以上。ようやく、技術が熟成したのかと思いました。
◾️骨伝導とは?
骨伝導とは、空気を伝って鼓膜(中耳)を振動させ聴覚神経(内耳)に伝わる「気導音」に対して、声帯などの振動が頭蓋骨を伝わり直接聴覚神経に伝わる「骨導音」ことを言います。
そのことを一番感じるのは、自分の声を録音して聞くこと。十人中九人が、まず間違いなく「これ誰の声?」と言ってしまいます。かく言う私も経験者。余りの差に、結構しょげました。
これは、自分が聞く自分の声は、気導音と骨導音が合わさったものだからです。録音した自分の声に聞き覚えがないのは、空気伝導によるって伝わる音のみですから、全く違う、やせぎすの声に聞こえるのです。
この逆も真なりで、難聴をはじめとする耳に障害がある人に対しては、振動を使って音を聞かせることができるのです。
有名なのは、かの作曲家ベートーヴェンの例でしょう。
彼は、20代後半に難聴を患い、ほとんど何も聞こえないの状態になり、自殺まで考えました。(映画にもなりました。)しかし、このとき彼は、指揮棒を歯で噛み、ピアノに押し付けて骨伝導で音を聞き取ることで、作曲を続けることができた、と言われています。
その結果、生まれたのが、交響曲第3番「英雄」、第5番「運命」、第9番「合唱」ほか、ベートーヴェンの傑作と言われる作品。もしかしたら、骨伝導がなければ、ベートーヴェンは有望な若手で終わっていたかも知れません。そして、傑作と言われる名曲がなかった何も知れないのです。この一つでも、骨伝導技術は、実にありがたい技術であることがわかります。
◾️イヤホンが目指すべき音
では、骨伝導イヤホンは、どんなレベルを理想とするのが良いのでしょうか?
一言で言うと、「音楽を正確に再現できる」ということに尽きると思います。
これは、イヤホン全てに共通の課題です。
デジタル化が進んだ今でも、音をきちんと再現するには、それなりの機材が必要です。それでも「楽しめるレベル」ということで、完全再現など夢のまた夢、というのが現実です。ですから「楽しめるレベルかどうか」がポイントです。
ところが、骨伝導イヤホンでは難しい。
正直、今まで何度だまされたことか。音楽どころか、電話機の再生音にも負けるレベルモノすらありました。購入後、一聴して「使えない」と感じたときの悔しさは、それはそれは言いしれぬモノがあります。(注:こういう書き方をすると、ベートーベンの逸話まで疑う人がいますが、ベートーヴェンは耳が聞こえる時、楽器の音と振動の感じを良く熟知しており、脳内再現ができたと思います。あと、一番裏切られた製品は箱詰めでなく、ブリスターパックだったために試聴ができませんでした。)
骨伝導の品質が良くなったのは、ここ数年。中でも、BoCo社は、新興会社ながら、オーディオというモノを良く知っており、そのデザイン、遊び心、音質は共感できるところがあります。
今回のモデルは、その最高峰。完全ワイヤレスモデル「PEACE TW-1」です。
◾️今まで聴いた骨伝導イヤホンで最もナチュラル
BoCo社の「PEACE TW-1」は、今流行のワイヤレスイヤホン型。専用ケースで充電するタイプです。円盤とドラム缶とをつないだ独特の形状です。耳への装着は、円盤とドラム缶で耳を挟み、円盤を耳の穴側にセットします。耳たぶでも、耳たぶの上でも構いません。この装着は楽です。以前使っていたモデルでは、耳への装着が一苦労した場合もありましたが、今回は何度やっても楽に装着できました。グッドです。
そして、ペアリング。
私の場合は、iPhoneでした。手動で行いましたが、すぐペアリングしました。ここらへんは、どのモデルもこなれています。
さて、音質ですが、イイ。かなりのものです。ここまでくると、後は微妙なニュアンスまであれば完全というわけですが、それはあったり、なかったりです。理想から言うと、もう一声なのですが、基本、良いです。これならと行けると思います。
というのは、骨伝導イヤホンに、ノイズキャンセラーはありません。必ず「外の音」が入ってきます。このため、なかなかニュアンスまで、気にすることはないのが、実際のところです。このため、大まかなニュアンスが伝わればOKと言えるからです。
むしろ、気になるのは、時々「ビリビリ」とくる強い振動です。音楽に集中すればするほど、この強振動が不意にくるのはちょっと興醒めの感じがします。ゲームのように何かした後、その反応として振動が伝わるのではなく、振動を伝えるわけですから一歩先立つ新道なわけです。原理上、しかたがないのですが、ちょっと違和感があるわけです。
◾️どこで使うのか?
私が骨伝導イヤホンに注目した理由は、スポーツ用としてです。
自転車、ランニング、ウォーキング、登山、釣り。いずれも自分のペースで楽しんでいますが、途中で飽きるときがあります。そんなとき、音楽があると気が変わっていいのです。
その時に便利なのが、骨伝導イヤホンです。というのは、身体を動かしているときに、外部音が聞けないとなると、やはり危険度が上がります。外側の音が聞こえる骨伝導イヤホンは、ベターと言えます。
ここでもう一つ言いたいのは、警察に対して。自転車に乗る時、ヘッドホンはNGなのだが、骨伝導イヤホンは認めて欲しい。また、メーカー、業界団体も警察にアピールすべし。そうでないと、安全を考えながら楽しく自転車に乗っているのに、警察と揉める可能性がありますので。
逆に注意したいのは、人前で使うとき。当然ですが、音はある程度漏れます。自分が聞こえている曲は周囲にも聞かれている、という認識が必要です。
◾️よくぞ、ここまでと言う意味で「太鼓判」
骨伝導イヤホンは、それ一つで全部対応できるイヤホンではありません。
このため、分野としてはややマイナーなのですが、よくぞ、ここまで達成させたと言う意味で、「太鼓判」を押します。安全にスポーツを楽しむなら、一度試して欲しい一品です。
また高感度のマイクも搭載しているので、テレワークのウェブ会議にもおすすめです。
ちなみに、発売は2020年7月30日。キャノンオンラインショップほかで、好評予約受付中です。
商品のより詳しい情報は、以下のURLでご確認ください。
https://boco.co.jp/
お買い求めは、キャノンオンラインで。
https://store.canon.jp/online/default.aspx
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2020年7月24日