【太鼓判】まるで凄腕メイドか、有能執事。なぜ、他メーカーは追いつけないのか。
アイロボットのロボット掃除機『ルンバ s9+』
ロボット掃除機ルンバのメーカー・アイロボット社の社長は、2年前に『ルンバ i7+』を発表した時「創業当時に作りたいものが作れた。」と宣言しました。そして2020年、それを超えるモデルとして、『ルンバ s9+』が上市されました。今回は、これをレポートします。
◾️時短家電の定義
令和の時代、家電三種の神器として挙げられているのが「ロボット掃除機」「食器洗浄機」「乾燥機付き洗濯機」です。これ、全て「時短」家電でもあります。
「時短」はいろいろな所で目にする言葉です。しかし、本当に時短で使える家電は、そんなにありません。理由は「完全」自動ではないからです。完全とというのは、放ったらかしておけるという意味です。例えば「ロボット掃除機」。勝手に始めて、勝手に終わる。加えて、ゴミ捨ての必要もない。床掃除をまったく意識しない。これが「完全」自動です。
食洗機も近いです。突っ込んだら、洗って放っておく。乾燥までしてくれて、そのまま食卓へ出せる。乾燥機付き洗濯機は、畳んで収納しなければならないので、ロボット掃除機、食洗機ほどまで威力を発揮しませんが、それでも長時間放っておけるのは楽です。
ポイントは、「完全」自動ということです。
◾️アイロボット社の開発方法
一言、「完全」と書くのは楽ですが、それを実現するには色々な技術を作りあげていかなければなりません。で、アイロボット社がとったのが、「サイズ固定」方法です。
ルンバの基本は、高さ:約9cm。直径‘約30cmの円型です。2002年にデビューしてから、変りません。以前、副社長にインタビューする機会があり、日本では、もう少し小さい方がベターだと思うのだが、どうかと訊いてみたことがあります。答えは「ノー」。その理由が、サイズ、形を変更すると、開発が遅れてしまうというものでした。
これはスゴイと思いました。今の日本のメーカーは、良くも悪くも市場の意見をリサーチして取り入れます。それが正しいとされています。しかし創業者の多くは、そんなことしません。作りたいものを作るために、創業したわけですから、それが出来ないうちに、守勢にまわることはしません。
当時、副社長をインタビューした当時、ルンバの完成度はかなり高いものでしたが、彼らにとってそれは、まだ不完全なモノだったわけです。で、アイロボットは、自分たちが目標としてきたレベルに達成した、ルンバ i7+を完成させるまで、ルンバの形状を変えませんでした。
自分の作りたいものを作るという強固な意志を秘めた創業メーカーと、製品より、二世代、三世代と、会社の維持、拡大を考えているメーカーとでは、見えているものが違います。こうだけら、技術があっても、日本メーカーは、トータル的にルンバに勝てないのです。
◾️「i7+」と「s9+」で何が変わったのか?
見てすぐ分かるのは、「形」です。「円」から「D」へと形を変えました。このことからも、「i7+」はアイロボットの目標だった事が窺い知れますし、サイズより形の方を先に直す必要があった事がわかります。
「D」型は、ルンバ以降いろいろなメーカーが取り入れている形で、四隅を掃除する時、有利だと言われています。第一人社であるアイロボットも、それに倣った訳で、特許などがなければ、ルンバもいずれは全部「D」型になるかも知れません。
が、動かしてみると、それだけではない事がわかります。「i7+」に比べて「s9+」は、より安定した動き、紳士的、淑女的な動きです。一つ一つの動きがというより、全体が動きが滑らかなのです。ロボットらしい動きと、それが進化した人間に近い動きと言えばいいのでしょうか?
より流麗に、より確実に掃除をしてくれる様に進化しています。
6年前までは、ロボット掃除機は、普通の掃除機を使った時の80〜85%位の清掃度だったものが、「s9+」では、95〜98%。ルンバが掃除した後、もう一回掃除しなければならないという気は起きませんね。
◾️価格差をどう捉えるか
問題は価格です。
ルンバの最高機種は、「クリーンベース」と呼ばれる掃除したゴミを溜め込む機構をもつまで、イメージ 10万円以下でした。(米国、1000ドル以下)
普及という意味では、極めて正しい選択です。しかし「洗練」というのは、とても金食い虫です。生活レベルを一つあげると、そんなに差はないのにお金が吹くように飛んでいくあれです。
オンラインショップで確認すると、ルンバ s9+は、186780円(税込)。前のルンバ i7+が、142868円(税込)ですから、差は43921円。最安価モデルのルンバ e5の49800円(税込)がほぼ買えてしまうに近しい金額です。
ただ考えてみてください。
クルマなどもそうですね。5人乗り、ものが運べると言う実用能力だけ比較すると、みんな軽自動車でOKします。しかし、国民車が作られたのは、ずいぶん後なのです。そうモノが創られる場合は、原型ができるまで、ひたすら性能を求めます。同時にそれが使われる環境が整備されます。そこで生み出されたのが大衆車(クルマの場合はT型フォード)とアスファルト舗装です。同時に始まるのが、自動車レース。少年マンガではありませんが、バトルは人の性とも言える事ですから仕方ないですね。ここで出てくるのが、高級スポーツカー。速く、強く、美しくです。
ロボット掃除機の場合、T型フォードは、ルンバ e5。原型が、ルンバ i7+。そして、今回のモデル ルンバ s9+は、高級スポーツカーです。
しかし、アイロボット社以外の、メーカーモデルがちょっと追いついていないのも事実。レースの様に、追い着き追い越せと言うことにはなりません。今のメーカーの残念さはここです。
◾️お金を払う価値はここに
それともう一つ。アイロボットは、この「+」が冠されたモデルを「スマートホーム」と呼んでいます。ロボット掃除機ではありません。要するに、掃除を考えなくても良い家と言うわけで、その仕様と言うわけです。ロボット掃除機よりもっと強い概念ということです。
アイロボットが、価格をあげたのは、開発費がかかっていることもありますが、数数間に一度は手入れが必要なロボット掃除機ではなく、半年に一度の手入れで済むからです。つまり心的負担が著しく違うわけです。価格差は、その差分と言うわけです。
目指したモノが本当に違ったわけです。
コンセプトは分かった。性能もすごそうだ。しかしお金がないと言う人は、アイロボットは、サブスクリプションを利用するのはどうでしょうか? まだ s9+はラインナップされていませんが、そのプロト、i7+ はラインナップされています。それでチェックして、よければ買うという形はどうでしょうか?
自分に合った買い方を模索するのも、一つの面白みだと思います。
日本メーカーも、このレベルに追い着き、よりいいものを作り、床掃除から人を解放して欲しいモノです。
そうそう、アイロボットは、床掃除のルンバと床拭き掃除のブラーバの連携も可能です。ブラーバは使う毎にメンテナンスが必要なのが面倒ですが、より気持ちよく掃除する事が可能となります。
ロボット掃除機の次のあり方を示す、「ルンバ s9+」。文句なしの太鼓判モデルです。
商品のより詳しい情報は、以下のURLでご確認ください。
http://www.irobot-jp.com/
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2020年5月24日