【花粉症 2020】花粉のサイズと花粉アレルゲンのサイズを追加。
空気中 浮遊物大きさくらべ 改定レポート
以前、花粉が飛来する場合、花粉として飛来。強く地面で踏んづけられたりした場合、中の花粉アレルゲンが出るとように言われてきましたが、その後、いろいろな検証が行われ、実際は、空気中にも花粉アレルゲンの状態で浮遊していることがわかったそうです。それに加えて、環境科学の最新情報に基づき、以前レポートした「空気中 浮遊物大きさくらべ」を再編集しました。
■スギ花粉
ご存じ花粉症発症物質。
花粉症は、スギ花粉などが目、鼻の粘膜等に花粉が接触すると、花粉表面のユービッシュ小体に局在しているアレルゲン(タンパク質:Cry j)や1花粉が割れ中からアレルゲン(タンパク質:Cry j2)が体内に侵入し発症します。発作性反復性のくしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみなどが出ますね。酷い人になりますと、四六時中頭がボーッとします。
サイズは、30〜40μm。
■スギ花粉のアレルゲン
スギ花粉がそのままの状態であれば、上記、スギ花粉でいいのですが、近年アレルゲンの状態で浮遊している場合があることが分かってきています。割合は、空気がキレイな状態で約20%だそうです。
が、その後の調査を続けていくと、空気中の黄砂、自動車排気ガス、ゴミ焼却排気、工場排気などと当たった場合は、実に80%がアレルゲン剥き出しの状態になり、その上、一部はぶつかった時、その化学物質がアレルゲンに吸着、新しい汚染物質になっている可能性があることがわかりました。(可能性が指摘されているだけで、まだどのような汚染が発生するのか、わかっていません。)
整理しますと、まず30〜40μmのスギ花粉が飛んできます。空気がキレイな状態では、地面に落ち踏まれるなどして中身のアレルゲン物質が出てくるのが20%、残り80%は花粉状態です。しかし、空気が汚いと、アレルゲンが出ているのが80%、花粉状態が20%。
そしてアレルゲン単体のサイズは、極小。質量:40 kDa(キロダルトン)前後。(Daは原子、分子の質量を表す。炭素の場合、原子1つの質量は12Daとなる。)これはウィルスレベル同等と考えて問題ありません。そして、いろいろなモノに付着したりして浮遊を続けます。浮遊しているときのサイズは、PM1.1以下にピークを持ちます。
スギ花粉アレルゲンはCry j1、Cry j2というタンパク質ですから、空気中のウイルスと似た挙動になるはずです。空気中の酸素などにやられて、個体数は減っていく可能性が高いわけです。しかし、その詳細はまだ研究されていません。個人的には、ウィルスと同等レベルではないかと考えております。
サイズ:1.1μm以下。
■ハウスダスト
アレルギー性物質として有名ですね。代表例は、ダニの死骸、糞が上げられます。
ダニ自体は1mm程度ありますので、血を吸って腹が大きくなると、肉眼でも十分確認できるサイズです。
ハウスダストは、その死骸の一部(ダニの死骸は、割合簡単にバラバラになります。怖いのでハウスダストの写真はなし。)や糞ですので、10〜40μmです。
■黄砂
中国など、東アジアの内陸部の砂漠で、大砂嵐が発生。上空に巻き上げられた砂塵が広範囲に飛散します。この砂塵が黄色いことから黄砂と言われます。
中国の北の大河「黄河」は、この黄砂が大量に水に入っているために黄色に見えるそうです。
上空高く舞い上がるだけありまして、大きさは4μm程度です。
ちなみに、中華料理にやたら油が使われるのは、水が悪いからです。
■カビの胞子
高温多湿の日本では、多種多様のカビがいます。
ほったらかしにしていると、必ずカビるのが日本と言った方が良いかも知れません。
種類も多種多様。
中には、航空機の機体に生える(ジュラルミン=金属が菌床!)カビまであるのですから、感動モノです!
胞子の大きさも多種多様。
サイズも、2〜100μmと大きく違います。
■PM2.5
PMとは、Particulate Matter。「粒子状物質」の意味です。
2.5は大きさで、単位はμmです。
右のグラフから、粒径分布は、2.5μmを中心に、1.2μm〜5.0μmであることが分かります。
PM2.5は2.5μm以下の部分を指しますので、実際のサイズは1.2μm〜2.5μmです。
世界保健機構(WHO)が、2013年に発癌物質としました。
■細菌
極小生物です。バクテリアとも呼ばれますね。
人間に有用な菌。有害な菌。取りあえずは悪さをしない日和見菌などなど、いろんなものがいます。
サイズは500〜1000nm(0.5〜1μm)程度です。
ちなみに、アンパンマンに、ライバルとしてバイキンマンが出てきますが、バイキンは「黴菌」と書きます。
「黴(カビ)」と「細菌」の意味です。
■ウイルス
細菌とウイルスを似た物とする人がいますが、全く違います。
ウイルスは、遺伝子がタンパク質で包まれたユニットです。生物の基本となる細胞で形成されていません。
遺伝子は持っているモノの、自分で動くことはできません。
しかも増殖の仕方が全く異なります。ウイルスは、分裂、生殖で増えるのではなく、コピーで増殖します。
ここら辺、書き始めれば切りがありませんので、2つだけ付記します。
ウイルスが増殖できるのは、他の生物の中に入った時だけです。カビ、細菌のように、栄養があれば、増殖する言うことができません。
次に割合早く死滅します。それは細胞を護る細胞膜に当たる防御システムを持つものがほとんどないためです。環境によっては、かなりのスピードで死にます。空気中の酸素でも死にます。
例えば、温度:32℃、湿度:50%(高温高湿、夏場)の環境下、6時間後のウイルスの生存確率は、0%です。温度:7〜8℃、湿度:22〜25%(低温低湿、冬場)の環境だと、63%。
多くの場合、サイズは500nm以下です。
また、ウィルス種によりサイズは変わります。下表には、有名ウィルスの一部を種毎に掲載しました。
■HEPAフィルター
JIS規格 Z8122:コンタミネーションコントロール用語の中で「定格流量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルター」として定義されています。
サイズの定義ではなく、性能の定義となります。
HEPAフィルターだけでは、ウイルスは完全にはトラップすることができないことが分かって頂ければ幸いです。
ただし、インフルエンザウィルスは飛沫感染ですから、当然サイズはこれ以上となります。
■N99マスク
サージカル(元々は外科用の意)マスクなどには、「N××(××は数字)」という表記がされています。
Nというのは、耐油性がないこと、××は、細菌濾過率、微粒子濾過率です。細菌は3μm、微粒子は0.1μm(100nm)です。
この数字、高ければ高いほど高性能になりますが、医療用では主にN95レベルが用いられます。何故でしょうか?
理由は、医療はかなりの肉体労働であるということです。フィルターの目が小さければ、小さいほど、空気を吸うときに力が必要です。よく陸上選手が、肺を鍛えるためにマスクを付けてトレーニングするのは、これが理由です。
サージカルマスクは、元々空気中に汚染物質が漂う中の作業に使われていたものです。このため耐油性、防油性などもあるのですが、外科の手術ではそんな必要ありませんので、耐油性なし。外科手術は長時間、立って、細かい作業をしますので、95%でOKにしたわけです。
また、N100の時の捕集率は、99.97%。HEPAフィルターに近い性能ですから、完全100%なんて無理です。
まとめると、下表のようになります。
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2020年3月7日