アイロンが売れないそうです。学生時代はともかく、就職するとまず指摘されるのが、服装。今は、クールビズ他、ドレスコードが緩くなりましたが、ピンとしたシーツのしたよれたシャツでは様になりません。
ドイツ ベルリンで行われる家電ショー IFAには、これでもかというほど、アイロンが展示されています。しかも、このスチームアイロン、ほとんどのモノが、水タンクが別に付いています。多い場合は3L位水が入ります。
欧州の人は、日本の家庭では、アイロン掛けをしない下着、シーツにまでアイロン掛けする人たちですから、それはそれは本格的です。
しかし、ドレスコードがかなりゆるい今の日本はそうではありません。今まで出荷されていたアイロンの半数、衣類スチーマーが売れています。当然、アイロンの出荷は半減。
まさに、衣類ケアが変わっている時でもあります。
■衣類スチーマーとは何か?
「高温のスチームを衣類に噴射し、シワやニオイを取り除く」、と言うのが、まぁ基本説明になりますが、ぶっちゃけ、洋服を吊した状態で使うことができるスチームアイロンと言う方が的確だと思います。
衣類のシワは、衣類が乾くときに変な形で固定化したためにできます。これを元に戻すのが、「スチーム」と「熱」です。固定化した繊維をスチームが解きほぐすわけです。熱も似た働きをします。
ところで、アイロンには、スチームアイロンとドライアイロンがあります。熱だけでも、ほぐす働きをしますが、今はスチームがメインです。そちらのほうが早いです。本当に「水」と言う物質は、いろいろところで実に素晴らしい働きをします。
アイロンは、衣類に熱をかけながらプレスをしてすることにより、完全にシワを伸ばします。そうではなく、スチームと熱、そして手の力を用い衣類ケアをするのが、衣類スチーマーなのです。
■衣類スチーマーの特徴
衣類スチーマーの最大の特徴は「簡便」なことです。なんせ、ハンガーに吊るしたままでケアできます。そして、着続けながらケアができることです。これで変わったのが洋服の扱いです。
通常衣類ケアは、「洗濯」「乾燥」「アイロンがけ」「保管」です。家で洗濯できるものは、これでもOKです。しかし、スーツ、ジャケットは、洗濯の代わりにクリーニング。このため、何日間か、連続で着たり、複数用意して交互に着たりします。しかし、この間、いろいろなことがあります。よくあるのは、焼肉臭(食物臭)でしょう。その昔はタバコ臭でしたが、今は少なくなりました。
ここによく重畳するのはファブリーズでしたが、衣類スチーマーはここに割って入ります。スチーマーの特徴は、「シワ取り」に加え、「臭い取り」に「除菌」です。(これは、アイロンの特徴でもあります。)
ジャケットをハンガーに吊るし、スチーマーを電源を入れます。数十秒後、スチームが出るようになると、衣類にスチームをかけます。ジャケット、シャツ、パンツの3点セットなら終了まで、全部で5分。
夏は少しホカホカしますが、実に爽快! 新品のウェアに袖を通した感じで、本当に気持ちがイイです。シワも臭いもない。スチーマーをかけてよかった。そういう気持ちが走る瞬間です。
この様に、クリーニング出さずに、継続的に気持ちよく着ることができる。これを楽勝でできるのが、衣類スチーマーです。
■なぜ匂いを取ることができるか
スチーマーは、どうして匂いを取ることができるのでしょうか?それは、臭いの元になる分子が揮発性だからです。スチームと熱で、強制揮発させニオイを取り除くわけです。
同じことを皆さんご存知ですよね。お風呂場ににおう服を干して置くと臭わなくなるという現象です。お風呂は、せいぜい40℃なので、時間がかかりますが、スチーマーは瞬時です。
また、部屋干しで臭い臭いの元になっているニオイ菌(モラクセラ菌)は、60℃で死滅します。スチームは、当てる時間は短いですが、140℃以上ですから、かなり殺せると思います。
こうしてスチームは、衣類を清潔にも保つことができるのです。
■衣類スチーマーの使い方ポイント
使い方のポイントは、3つあります。
1つめは、衣種により、アイロンと同じように区分があることです。
まず、洗濯マークを確認します。アイロンマークが載っていますね。スチーマーが使えるのは、この中の、上2つです。
底面温度200℃を限度としてアイロン仕上げができる | |
底面温度150℃を限度としてアイロン仕上げができる | |
底面温度110℃を限度としてスチームなしでアイロン仕上げができる | |
アイロン仕上げ禁止 |
ちなみに、その時の、スチームの温度は、メーカー差はありますが、だいたい180℃、140℃位です。アイロンのかけ面よりやや低い温度のスチームです。この様に、洗濯マークの確認が1番目最初にすべきことです。そして、洗濯マークに合わせ、スチーマー側の設定します。「高」「中」共にスチームマークが付いているモノは、その指示通りに使うのですが、「高」1つだけというモノもあります。こちらの使い方は、後述します。
次のポイントは「接近して使う」ことです。私は、当たるか当たらないか、もしくは、軽く触れる感じで使います。かけ面はアイロンと同じですから、衣類に当たっても問題はありません。
「高」で出てくる、約180℃のスチームも、少し距離を隔てるとみるみる温度が下がります。というのは、1分にスチーム化される水は15gと微々たるモノ。水は比較的温度をキープしやすい物質ですが、いかんせん絶対量が少なすぎます。しかも、室温との温度差は100℃以上ですから、劇的に温度は下がります。
確実なのは、かけ面のスチーム吹出口に当たるか、当たらないかの距離でスチームをかけることです。これなら、温度の下がりを最小限に留めることができます。
3つめのポイントは、スチーマーを動かす速度です。木綿、混紡のように、「高」の場合は、10cm、3秒が目安です。かなりゆっくりです。
ここまで説明すると、ピンと来た人も多いと思いますが、「高」しか設定がないモデルを、「中」で使うには、距離を離してやり、動かす速度を速くしてやればいいのです。
距離のイメージは、1〜2cm程度。速度は、通常の約3倍の1秒で10cmで動かします。
以上3つが、スチーマーを使う上でのポイントです。
後は、そのモデル毎の癖があります。ある程度以上、倒してはいけないとか、3回連続トリガースィッチを引いてはならないとか。高温家電ですから、取説の注意事項は必ずお読みください。
そうそう、シワを伸ばすために押さえる手には、防熱のためのミントグローブ(鍋掴み)をした方がベター。火傷すると厄介です。
■衣類スチーマーの弱点
すぐ使えて、シワものばせ、ニオイを取れる。いいことずくめのスチーマーですが、弱点はないのでしょうか?
衣類スチーマーの弱点は、続けて何枚もの衣類をケアするには向いていないことです。800gに近い重さを持ち続けるわけです。まずこれが結構な負担。
次に、多くのスチーマーは5分前後で、水足しをしなければなりません。これも少し面倒。
要するに、衣類スチーマーは短期決戦型。長引くと、厳しいと言うわけです。
■衣類スチーマーのポジション
私は、衣類スチーマーだけで、1ヶ月過ごしたことがあります。
ジャケットの手入れ、急なシワ取りなど実に楽ちん。着心地も良くなりますし、シワも、ニオイも取れますので、実に便利です。
逆に、ちょっとしんどいのは、まとめてのアイロン掛けです。
独身の人、子どもがいない世帯には、アイロン兼用スチーマーは、実に魅力的な選択です。実際実用性に富みます。また、子ども、親せきの入社時のプレゼントとしてもイイです。半身のアイロン台&アイロン兼用のスチーマーがあれば、社会人として必要な身だしなみが可能だと思います。
そして、子どもができましたら、アイロンを買い足すのです。そうすると、枚数があってもこなすことができます。また衣類スチーマーは健在ですから、ジャケットを長く着ることができます。クリーニング代も少なくて済みます。
初め自分で衣類ケアする人には、アイロン兼用の衣類スチーマーがいいと思います。
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