豆知識

何故、マッサージチェアは、身体前面をマッサージしないのか?


マッサージチェア。最強のマッサージ家電です。値は張りますが、とても気持ちがイイ。最強のご褒美家電でもあります。
しかし、マッサージ師がしてくれるマッサージと違うところもあります。それは身体の前側はマッサージしてくれないこと。それは何故でしょうか?

フジ医療器のフラッグシップ AS2000を使用する社長さん。
胸に当てているのはヒーターで、マッサージ効果はない。


■JIS規格
マッサージチェアはいろいろな法律、規格に縛られています。

縛りで一番大きなのは、「薬機法」。正式名称は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」。以前「薬事法」と呼ばれていた法律です。

このため、マッサージチェアは既両利き認証番号を必ず取得、取説などに掲載されます。そして、堅苦しい文言「使用目的または効果 あんま・マッサージの代用。一般家庭で使用すること。疲労回復、血行をよくする、筋肉の疲れをとる、筋肉のこりをほぐす、神経痛・筋肉痛の痛みの緩解」が書かれています。

実際、マッサージチェアのマッサージ効果は高いですから「薬機法」で縛るモノも無理はないと思います。

 
そんな中、特定部位の施術が規定されているのは、JIS-T2002:2018家庭用マッサージ器及び指圧代用器。冒頭の「JIS」は、Japanese Industrial Standardsの略。日本語でいうと「日本産業規格」です。

JISマークいろいろ。個人的には、旧JISマークの左が好き!


JISが定められているのは、自由に放置すれば、多様化・複雑化・無秩序化する可能性を防ぐためであり、互換性、量産性、安全性、環境適応性などを確保するためです。

その中に「5.2 構造」という項目があり、その中の「e)」で次のようにうたわれています。

装着形機器 装着形機器の構造は,次による。 1) 容易に着脱でき,停電時及び故障時において危険のない機器でなければならない。 2) 顔部,喉部,胸部及び腹部を圧迫する構造であってはならない。

この規格のため、上半身の前側は対応できないわけです。

 
■加えて自主規制
しかし、頭皮、太ももの前などの記述はされていません。これらは何故でしょうか?

こちらは自主規制だそうです。
私は、マッサージチェアが好きなのですが、妙な感触を覚えるときがあります。それは、横になった瞬間です。ベッドに横たわるのとかなり違います。手足を固定されているわけですから、「これで停電になったらいやだな」と言うわけです。

見方を変えると、椅子にめり込んだ状態とも言える。
不意の時、すぐ動くことはできない。


腰をうまく曲げられれば、身体の自由は得られるはずなのですが、まぁできませんね。体勢が悪すぎるのです。脱出するとしたら、足で反動を付けるのが一番ですかね。

しかし、個人的に、こんな不安を覚える家電は、マッサージチェアだけなのです。(洗うとき、ミキサーの刃が怖いなどはあります。) そのために、マッサージチェアメーカーは、前を閉じない仕組みにしているそうです。前を閉じないと言うことは、モミ玉、エアーマットを仕込むことはできませんので、マッサージの部位はサイドまでということです。

 
私は、時々、1つのマッサージ器で、楽に、全身、頭の天辺から、つま先まで、マッサージできないものかとも思いますが、いろいろな面から、まだ現在は無理のようです。

 
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2019年7月14日

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