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2019年発売の炊飯器のトップ3に入る美味しさ、日立 炊飯器『ふっくら御膳』RZ-W100CM


日立は、日本を代表する家電メーカーですが、どちらかというとその歩みは「牛歩」。じっくり、一つ一つ課題を片付けて上市するメーカーです。このため「技術的にはしっかりしている」が全体のバランスが取れていないことも多く、味のように、最終はバランスが重要という課題に対しては、遅れを取ることが多かった様、思います。
炊飯器もその例に漏れず、「悪くはない。どちらかというと上等。しかし、訴えかけてくるものに欠けるなぁ。」という感じでした。

日立 炊飯器「ふっくら御前」 RZ-W100CM
実に美味しい! 2018年モデルと雲泥の差。


内釜も新しい鉄釜を採用。


しかし、試食会で食べたご飯は、昨年と雲泥の差。月とスッポン。現在のトップ3(生活家電.comでは、象印、タイガー、パナソニックが上位の炊飯ジャー。シロカの「かまどさん電気」も美味いが、こちらは炊飯機能のみ。)の中に割って入る美味しさでした。

 
■基準が明確に
メーカーはよく、「『かまど』で炊いたご飯を目指しました!」と言います。耳タコです。しかし、考えて見てください。江戸時代は、皆、かまどで炊いていました。その中にも、美味い、まずいはありました。

単純に言うと、かまどで炊いた美味いご飯というのは、美味いお米を言い表していないのです。

あの京都で行列ができる「八代目儀兵衛」。


今回のモデルを作るに当たり、日立がターゲットにしたのは、京都の老舗の米屋、「八代目儀兵衛」です。私も食べたことがありますが頷ける味です。その料理長 橋本晃治氏に監修を依頼したそうです。

料理長 橋本晃治氏。
店では、土鍋+火で炊く。


料亭は常に客との真剣勝負。味も接客も一流です。厨房にいる時間も長く、余暇は余りありません。しかし、それでも引き受けたのは「米の美味しさを、皆が享受できる炊飯器が必要」と考えたからです。

 
■「外硬内軟」
今、かまどに最も近い炊き方は、「土鍋のガス炊き」でしょう。一番の違いは、「粒だち」です。

今、若い世代がお米を食べなくなっています。コーヒー豆でいうと、スペシャリティと冠されるレベルの米が、いろいろなところで売っているにも関わらずです。米は、味としては、どちらかというと淡泊です。しかし、ご飯のお供という言葉がある位、ちょっと強めの味と組み合わせるととても美味しい。

実は、ご飯粒は、外は硬いです。炊いてもそれは変わりません。このため、ご飯を口に含んだ瞬間は、味があるほどではありません。しかし、噛んで外が破れ、中の旨み(でんぷん質)が出てくると、唾液で糖、甘味成分に転化します。要するに、噛めば噛むほど甘くなります。

昔から「よく噛んで」というのは、お米を美味しく食べるコツでもあります。

 
今の炊飯器で炊くと、かなり外側が破れているモノもあります。ベチャっとした食感のお米です。糖化はしやすいです。こうなっていったのは、お米を食べるメイン槽が高齢化して行ったためだと思います。

このため、ユーザーアンケート結果ばかりに、囚われていると、変な穴に入り込みます。

閑話休題

タイトルの「外硬内軟」の四字熟語は造語ですが、炊けたときのお米のいい状態を表す言葉ですね。

「ひと粒ひと粒の輪かくがしっかりわかり、かむと甘みが際立つ食感。
そして喉元をすっと通っていく感じ、おいしさ。」のことです。

 
■ 「浸し」
米を美味しく炊くには、「浸し」「加熱」「蒸らし」がポイントです。
ピンとこない人も多いかも知れませんが、「浸し」は特に重要です。

江戸時代、米炊き職人は、「とぎ屋」と「炊き屋」に分かれていたそうです。とぎ屋は、「米とぎ」と「浸水」。炊き屋は、それ以降の担当。二人一組で米を炊いたそうです。

ちなみに、どちらの給金が高かったと思います。
それは「とぎ屋」なのです。どの位、磨いて、どの位水を吸わせるのか、これが米の味を決めるためだそうです。水温と時間で管理します。

刺激物がない(そうでなかったら、黒船来航の時の「泰平の眠りを覚ます上喜撰 たった四杯で夜も眠れず」が通じません。上喜撰は、高級なお茶。お茶4杯で夜も眠れないなんて・・・)時代ですからね。しかも江戸っ子は、五白「白米、豆腐、大根、白魚、白身魚」が好物と言います。極端な贅沢はしていないのでしょうが、繊細な味を楽しんだことと思います。

日立は、この浸し水温は常温から、ゆっくり40℃まで上げて浸します。高温の方が、外皮を通り水がしみ込みやすいのですが、ここは我慢します。

 
■「加熱」「蒸らし」
炊き屋の仕事は、唄に残っています。
有名な

はじめちょろちょろ中ぱっぱ
ぶつぶついうころ火を引いて
ひと握りのわら燃やし
赤子泣くともふた取るな

です。
「はじめちょろちょろ中ぱっぱ」は、沸騰までの火加減ですね。途中まではゆっくり、そして急加熱です。沸騰すると、釜の中で、お米は踊り狂います。象印の「炎舞炊き」、パナソニックの「Wおどり炊き」は、ここに力を入れたモデルです。

「ぶつぶついうころ火を引いて ひと握りのわら燃やし」これは強火での火加減。温度の強弱を付けてやるわけです。ぶつぶついうころは、ほぼ踊り終わっている頃です。つまり、ほぼ、炊きあがり。では何故、ひと握りのわらなんて、燃やすのか?これは水分微調整のためだそうです。これをしないと、ご飯はべっちょりします。

「赤子泣くともふた取るな」これが蒸らしです。ここでご飯の中に十分な蒸気を吸わせるためです。蒸らしすぎると、水分が多すぎべっちゃりします。

で、蒸らしが終わると、フタを開け、しゃもじで、切るようにご飯をかき回し、余分な蒸気を飛ばします。

日立のプログラム。余りに歌詞通りで、ニンマリしてしまった。


今回、日立のプログラムは、この歌詞通り。日立らしいです。

 
■食味鑑定
試食には、3合、「極上ひと粒炊き」モード(もっとも美味しく炊けるモード)で炊いたお米が出されました。正直、ここまで化けるとは思いませんでした。ほぼ、土鍋で丁寧に炊いたお米と同じです。

 
際立つのは食感、食味の良さです。特に、適度な粘りと粒の感触があり、噛んだら噛んだ分だけ甘くなるのは、「あぁ日本人に生まれて良かった!」とつくづく思いましたね。

ひと粒ひと粒のほぐれ、くっつき具合が、実にバランスがいい。


本日は、上のモードで炊いたご飯の試食でした。今回、日立は、一合でも美味しく炊ける「少量」ボタンを用意。上空間が広くても、温度が維持できるようヒーターを上にも付け対応しています。

普段は1〜3合。来客時5合というニーズは強い。
この少量炊きには期待したい。


こちらは近々レポートして見たいと思っています。
良ければ「太鼓判」ですね。

しかし、今までと2ランク位、一気にレベルを上げた「ふっくら御膳」。2019年、注目すべき炊飯器です。

 
商品のより詳しい情報は、日立のホームページにてご確認ください。
https://kadenfan.hitachi.co.jp
 


 

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2019年7月10日

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