オゾンって何?
嫁さんに、「アクアって洗濯機でオゾンを使うんだって」と言ったとき、「えっ、オゾンって猛毒じゃなかったっけ? でも森林浴でオゾンは体に良いって聞いたような気がするし・・・」との回答が帰ってきました。
オゾン層の破壊などで名前は知られている「オゾン」ですが、一般によく知られているとは言えません。今回はそんな「オゾン」を解説します。
■オゾンって何?
通常は、青みかかった気体で、生ぐさい刺激臭を伴います。化学式はO3です。
Oは酸素原子です。ちなみに酸素分子はO2です。似ていますね。
化学的ではありませんが、分かりやすく言いますと酸素分子に、酸素原子を強引にくっつけた状態の物質です。
酸素分子(O2)はかなり安定しており、反応させるには高エネルギーと反応する相手が必要です。例えば、モノを燃やした場合、反応し、二酸化炭素(CO2)などに変わります。
オゾンは、酸素原子を強引にくっつけただけですので、すぐ酸素原子が取れ、反応します。 強い酸化力を持ちます。酸素の兄弟分ですが、その点著しく異なります。
オゾンに似た作用をするものに、過酸化水素水(H2O2)があります。
先ほどと同じような表現をしますと、水(H2O)に酸素原子を強引にくっつけたものです。このため、酸素原子がすぐ取れ、反応します。
過酸化水素水を3%含ませた水溶液は、オキシドールといいます。商品名はオキシフル。
怪我などをした時、殺菌・消毒のために使う薬液です。
私も、幼い頃、オキシフルと希ヨードチンキの愛用者でした。
殺菌・消毒の作用は、酸素原子によるものです。
酸素原子が、菌を酸化し、やっつけるのです。
もうお分かりのことと思いますが、オゾンも同様な働きをします。しかも過酸化水素水より劇的に作用します。
ちなみに、オゾンは「毒物」に分類されます。
オゾンは気体ですので、鼻、口から気管、肺に入ります。その間に酸素原子が発生すると粘膜が酸化されます。機能の低下、停止が起きます。そうすると呼吸器麻痺、肺水腫が発生します。粘膜は酸化されやすいですから、眼なども侵されます。
過酸化水素水も重量6%以上の水溶液は、「毒物及び劇物取締法」により「劇物」に指定されています。手にかかると、皮膚が侵され白斑が残ります。またオキシフルの様に薄めたものでも体腔内で使うことは禁じられています。
高濃度だと「毒・劇物」、適切な使い方だと「薬」。 過酸化水素水はそんな液体ですし、オゾンもそんな気体です。
ネットで調べると「毒」と書いてありましたと慌てないでください。ほとんど薬は、多量に使うと毒です。
■オゾンの有効活用
オゾンはフッ素に次ぐ強い酸化力を持ちますが、もう一つ優れた特徴があります。それは反応後は、酸素人間に不可欠な酸素であるが、40%以上という高純度酸素内では人間は生存できない。言い方を変えると、酸素も毒と言えます。という無害な物質になってしまうことです。
つまり上手に使えばとっても便利なわけです。
実際オゾンは、無臭化、殺菌、洗浄を中心に、環境保全、医療、IC生産技術など、広範囲に使われています。
一番有名なのは、水道水を消毒・殺菌するのに使用されていることでしょうか。
例をあげますと、東京では利根川系の水を水道水として使用していますが、多摩川上流部、相模川に比べるとあまり原水水質は良くないです。
このため高度浄水処理を浄水場で行っています。高度浄水処理は、通常の浄水処理に加え、「オゾン処理」と生物活性炭吸着処理を組み合わせたものです。
東京都水道局のホームページでは、オゾン処理は「かび臭原因物質やトリハロメタンメタンを構成する4つの水素原子のうち3つがハロゲンに置換した化合物の総称。溶媒や溶剤として利用されています。代表的なものにクロロホルム (CHCl3) があります。のもととなる物質などを、オゾンの強力な酸化力で分解します」とあります。
私の幼い頃は、水道水消毒は「塩素」だったのですが、カビ臭が取れない、塩素消毒により発生するトリハロメタンがガン発生物質の可能性があることから、どんどん切り替えられています。
ちなみに、ミネラルウォーターの殺菌はオゾンで行うことがあるそうですが、水質への問題はないそうです。さすが自然界にある物質といえます。
また食品への使用も多いです。
実は、オゾンの有効活用なくして、「食」が成り立たないのが現実と言えます。
■オゾン水
オゾンを溶かした水です。無臭、透明。酸化作用を持ちますが、酸ではないため、pHは中性です。ただオゾンが析出した時は、オゾンの臭い(生臭い刺激臭)がします。
基本的には、オゾンの水バージョンと考えて頂ければいいと思います。
溶けているオゾンの濃度によっては、危ないと言えますし、時間が経てば、ただの水になってしまうのも同じです。
酸化作用による殺菌・消毒・分解効果を有するのも同じです。
スーパーで販売されるカット野菜の殺菌・洗浄などに使われています。
■最後に
オゾンは、上手に使えば、とっても便利なことは間違いありません。
オゾンを使用する家電は、メーカーが繰り返しテストを行い、確証を持った上で商品化を行ったものです。
このため取り扱い説明書の通りにお使い頂ければ、その商品が欠陥商品でない限り、問題は発生しませんし、メーカーが言う効果が期待できます。
もし不明確な点があれば、メーカーへ確認してみてください。きちんとした対応をしてくれるはずです。
万が一、納得できない場合は、使用を一端止め、消費者センターへ連絡してアドバイスを受けてください。
使用量、濃度が問題になりますので、知識、経験がない限り、判断しないでください。
なお、刺激臭を感じる物質は、人間人間の五感の内、鼻が最も敏感です。逆にその刺激を受け続けると脳がくたびれてしまいますので、1分ほどで、その臭いに対し鼻が鈍感になるのも事実ですに取りなんらかの問題がある場合がほとんどです。
刺激臭があるものは、十分な換気を行った上で、そのまま使用しても安全なのか、確認願います。(例えば、メーカーに確認を取るとかです。)
2013年8月29日